CANDY☆ 【翌日・ご対面編】


 2.


「…ね。何て呼んだら良い?」
「へ? …ぃだっ!」

 突然180度向きを変えた話題に、横に振り続けていた首が一瞬、おかしな方向を向く。(ぇ)
 痛む首を押さえしゃがみこむ雪花。

「だ、大丈夫…?」
「へーき、でぇす(泣)」

 顔が真後ろに向いたように見えた(!)快斗が、心配げに雪花の顔を覗く…

「えと…呼び方、でしたっけ…ぇ?」
「いや。無理しなくても良いから…ι」

 こんな状況にも関わらず質問に答えようとする雪花に、さすがの快斗も冷や汗。

「…ちょっとじっとしてなさい」
「はぁい…ぅ、いてぇ(泣)」
「当たり前でしょう。どこが痛いのか確認してるんだから」

 簡単に診察(笑)を済ます哀に、雪花は涙ぐみながらも痛みに耐える(笑)。
 どうやら軽く捻っただけのようで…軽傷、軽傷(笑)。

「…あ〜、痛かったι」

 ──過去形?!

「えっと…、なんでしたっけぇ?」
「何て呼んだら良いかなって」
「なんでもいいですよ〜ぉ? それこそ呼び捨てでもちゃん付けでも…ゆきでもせっちゃんとかでもなんでも来い!」
「…気合い入れてどうするのよι」

 哀ちゃん。ナイスツッコミ☆

「せっちゃん…?」
「おぅよ! 好きに呼んでくれぃ!」

 …雪花のテンションが江戸っ子調になっている(爆)。

「あ。女史もお好きなようにv」
「そうね…考慮しておくわ」
「ありがたき幸せ♪」

 今まで固有名詞で呼ばれていなかったため、ここでしっかりアピールする。

 押さえるトコは押さえる女──桜月 雪花。←?


 とにかくテンションの高い雪花。この状態を快斗が見逃す筈もなく…

「…だったらせっちゃんって呼ぶ〜♪」
「ほいよぉ! 好きなだけ呼んじゃって〜ぇ♪」
「それじゃあ、せっちゃん!」
「ほいさほいさぁ!」
「ウチで一緒にご飯食べよう!」
「はいさぁ! ………あ。」

 簡単に流される単純女──桜月 雪花。

「はぁい、決定☆」
「………馬鹿ねι」
「あうぅぅ(泣)」

 簡単に引っかかった雪花に、飽きれた口調でつぶやく哀。
 それとは反対に、快斗はにっこりと笑い、

「そうと決まれば善は急げ!新一もそろそろ起きる頃だし行こうよ♪」
「…ぅう、ここで断れば女が廃る…」

 なんの心理だよι

「…工藤君、昨日遅かったの?」
「うん。事件でさぁ…」
「そう…、そろそろ、対策練った方が良いかしら…?」

 快斗の言葉のある部分で反応を見せた哀に、快斗は困り顔で頷く。

 最近の名探偵の出動件数(…)は半端ではないのだ。
 当然、それに伴い生活も不規則になる…

「警察も、もっとしっかり出来ないのかしら(怒)」
「だよねぇ。オレも何度か警部に直談判しようとしたんだけどさぁ…」
「…工藤君に止められたんでしょ?」
「ぴんぽ〜ん(泣)」
「せめて食事だけでもしっかりさせたいものね」

 そう話を続けながら出かける準備を始める哀に、それまで黙っていた雪花が声をかけた…。

「なんでしたら、警察の方押さえちゃいましょうか?」

 …………。

「え?」
「押さえる…?」

 ポツリ、と聞えた声に、珍しくも一瞬フリーズした2人。
 しかし次の瞬間にはその真意を聞こうと、雪花の言葉を言い返す。

「はい。話を聞いてる限りですけど、そうしたらお2人の心労も軽減されるのでは…?」
「まあ、確かにそうだけど…」
「なにか手でもあるのかしら?」

 雪花の確認に頷く快斗と、手段を尋ねる哀。

「うふv」
「(ビクっ!) ……な、ナニスル気デスカ…?」
「とりあえず、1番その方に近い人は誰ですかぁ?」
「…目暮警部かしら」

 一瞬漏らした雪花の笑みを垣間見た快斗が2歩ほど後ずさる(笑)。
 …どうやら、質問に答える小さな科学者が、新薬の実験をする時と同様の気配を感じたようだ…ι

「目暮サン…、と」

 哀から名前を聞いた途端、雪花は何処からともなく取り出したA5サイズのノートを捲り始める。

「…今、どっから取り出した…?」
「…黒羽君でも解らなかったの?」
「………」
「…………」
「──あ、いたいたぁ♪」

 パラパラと捲っていたページを、とある処で止めた雪花がにっこりと呟いた…。

「目暮警部サン。お名前は十三サンですねぇ? …そこそこの実力と部下からの信頼を持ってる方ですねぇ…」

 開いたページに軽く目を通し、雪花は唇に指を当てる。

「う〜ん…、この人じゃちょっと無理かもしれないなぁ」
「……無理ってι」
「あ、女史〜ぃ。警部サンの部下も、身近ですよねぇ?」
「…そうね」
「んぢゃ、目暮警部サンの部・下〜♪」

 呟く快斗を完全無視し、哀に確認を取った雪花は関連のあるページへと手を動かし始め……ピタリ、と止めた。
 そのページに記されているのは…

 ──高木 渉 巡査部長。






乗せられまくりだな…雪花(笑)
快斗君…素敵にコツを掴んでますねぇ♪(違)
そして目をつけられた(…)高木さん…


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