好きなのに
愛してるのに
何も出来ない自分がもどかしい
唯解るのは自分の無力さと
彼が苦しんでいるという事だけ
〜籠から出た蒼い鳥[8]〜
寝室からリビングへと逃げ込んで。
快斗は崩れ落ちる様にソファーへと身体を埋め天井を見上げる。
「最低だ…」
自分が傷つけたのに。
彼が必死に隠し通そうとしていた秘密に自分が耐え切れなくなって、彼の心に土足で踏み込んであんな顔をさせたのに。
其の辛そうな顔を見ていられなくて逃げ出した。
本当に自分で自分が嫌になるぐらい最低だ。
とてもじゃないが料理をする気分になんてなれなくて。
溜め息を吐きながら視線を下ろせば目に付いたのは手近にあった一つのクッション。
それを目にした瞬間、衝動的に思いっきり右手をそれに叩きつけていた。
ぼふっという音と共に数メートル先へと飛んで行ったクッションを視線だけで見送る。
けれどそんな事で気持ちが気持ちが晴れる筈がなく。
心に広がっていくのは自分に対する嫌悪ばかり。
「情けねえな…」
彼を幸せにしたいのに。
彼に笑顔でいて欲しいのに。
泣かせているのは紛れもなく自分自身。
『好き』だから。
『愛してる』から。
だからこそ縮まらない距離が、噛み合わない心が苦しい。
「ほんと…情けねえよな…」
何をどうしたら良いのか解らない。
何も聞かず偽りの日常を演じ続けるのが『幸せ』なのか。
彼を苦しめてでも全てを聞き出して、其の苦しみを分かち合うのが『幸せ』なのか。
どちらが良いかなんて選べない。
だってどちらも彼を苦しめる事に変わりはないのだから。
『愛してる』の分だけ、相手を大切に想う気持ちの分だけ身動きが取れなくなる。
ただ傍に居たいだけなのに。
ただ彼を幸せにしたいだけなのに。
其の想いだけは誰にも負けないと胸を張って言えるのに…。
「ねえ新一…。俺はどうしたら新一を『幸せ』に出来る…?」
to be continue….
このまま行くとどうやら二桁に突入しそうです。
でもトータルはそんなに長くない(ぇ)
要は短く切りすぎなんですねι(爆死)
でも…じゃないと最初が入れられないからどうしても短くなってしまう(苦笑)
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