ずっと一緒に居られる
それが証明されれば
それだけを証明してくれれば
もう、他に望むモノなど何もないから
〜籠から出た蒼い鳥[27]〜
「新一…」
真っ赤になった新一を抱き締めて。
快斗は甘く囁く。
「大好きだよ。本当に。もう誰にも渡さない。例え―――」
―――死神にだって。
それは甘美過ぎる囁き。
とろける様な甘い甘い極上の甘味。
「ばーろぉ…そんなの…」
まだ確証はない。
確かに物的証拠(?)は挙がっているかもしれないが、それでもまだ確信には至らない。
けれど、それは快斗とて分かっている事で。
「ねえ、新一」
「ん?」
「哀ちゃんに…謝りに行ってもいいかな?」
新一をぎゅーっと抱き締めたまま。
けれど『ぺたん』という表現がピッタリな程へこんでいる快斗に新一は苦笑する。
「ったく、そんなにへこむなら最初からあんなこと言うんじゃねえよ」
「だって…」
「俺だって分かってるよ。お前がそれだけ俺のこと大切だと思ってくれている事は。でもさ……」
優し過ぎるのだ。
本当は。
綺麗過ぎるのだ。
本当の快斗の心は。
快斗本人は汚れていると思っている。
いや、汚れていると思い込もうとしているという方が正しいのだろう。
きっと、それで自分を保ってきたのだ。
でなければ彼は『私』の存在を認める事が出来なかった。
一人ぼっちで何もかも抱え続ける事など、他人が考えるよりも単純な事ではないのだから。
それは新一もよく知っている。
けれど、自分には最初から博士が居て。
同じ境遇の哀が居て。
ずるいのだろう。
きっと彼より。
恵まれていたのだろう。
きっと彼より。
彼は自分を綺麗だと言うけれど、本当は彼の方が何倍も何十倍も綺麗な心の持ち主なのに。
いつも汚れた振りをして、結局は余計傷付いてしまう。
そんな彼が何よりも誰よりも―――愛しい。
「お前が傷付くのなんて俺はみたくねえんだよ。例え俺の為でもさ」
「新一…」
仕方が無い。
こんな時ぐらい素直に言ってやるのもいいだろう。
「好きだぜ。快斗」
ああ、まったく。
何てしあわせそうな顔をするのだろうか。この男は。
たかが言葉なのに。
「新一…大好き…」
思いっきり抱き締められて。
何もかも忘れてしまいたくて。
彼の告白を聞きながら新一は長過ぎた暗闇を終わらせる為に目を閉じた。
to be continue….