あの光景は何を意味するものなのか
あの色は何を意味するものなのか
その瞬間悟ってしまった気がした
〜籠から出た蒼い鳥[23]〜
「新、一……」
新一の口元の紅を見つけてしまった瞬間快斗は愕然とした。
彼に何があったのか悟ってしまったから。
「快斗?」
けれど、その快斗の様子を自分の状態を知らない新一は不思議そうに見詰めるだけ。
「新一…」
「どうしたんだ?」
「………」
快斗は何も言えず、ただ新一を抱き締めた。
先の事も。
今の事も。
何も考えたくなかった。
「快、斗…?」
新一はただ快斗の中で不思議そうにその名を呼ぶ。
「泣いて…るのか……?」
耳元に響いた快斗の声だけが、新一の耳に響いていた。
「ねぇ…新一」
快斗が泣いていると分かって、新一は何も言わなくなった。
ただ、快斗に抱き締められて、そして快斗の背に回した手でそっと快斗を抱き締めていただけ。
どれくらいたったのか。
窓から見える空が白み始めた頃、快斗が漸く口を開いた。
「ん?」
「キス、していい?」
どうして改めて聞くのか。
どうしてそんな事を今聞くのか。
新一には分からなかったけれど、してくれていいと思ったから頷いた。
「ありがとう」
その時の新一はその言葉の意味が良く分からなかった。
分かったのは完全に夜が明けてから。
合わせられた唇は――――紛れも無く血の味がした。
to be continue….