知られてしまった

 彼にばれてしまった


 だとすれば

 俺はどこまで彼に話せばいいのだろう








籠から出た蒼い鳥[12]〜








「んっ……」


 目を覚ました時、一番最初に視界に入ったのは快斗の心配そうな顔。
 自分があれから気を失ったのだとそこで気付いた。


「新一。気分はどう?」


 心配そうに顔を覗きこんで来る快斗に新一はこくんと小さく頷いてみせた。


「もう大丈夫だ」
「それなら良かった…」


 本当に。
 心の底から安心したような顔をした快斗に、新一の胸はまたちくりと痛む。


「ねえ、新一。あのさ…」


 聞きずらそうに言われた言葉。
 快斗が何を聞きたいかなんて最後まで聞かなくても解っていた。


「俺の身体の事だろ?」
「う、うん…」


 どうしようかと。
 最後の最後で悩んでいた。

 彼に本当の事を言うべきなのか。
 それとも本当の事は伏せ、彼を安心させるべきなのか。

 どちらも一長一短な気がした。


 だから選び取ったのは―――。



「唯の発作だよ」



 ――――あくまでも彼を安心させるという選択肢だった。


「発作って…」
「ああ、薬の副作用らしくてな。時々胸が痛くなるんだ」
「時々って、それ…」
「別に身体の何処が悪いって訳じゃねえんだ。小さくなってた期間が長いから元に戻ってもこの身体にまだ細胞が馴染んでないんだと」


 よくもまあ、これだけペラペラと嘘が出てくるものだと自分でも思う。

 それでも必要な事だから。


「そう…なの?」
「ああ」
「大丈夫なの…?」
「ああ」


 何があったのか。
 どうしてそうなったのか。

 聞きたい事は快斗としてはいっぱいあったのだけれど、それでもそれを聞くのは後回しにした。

 それだけ新一が心配だったから。


「そっか…。それならいいんだけど…とりあえずゆっくり寝てなさい?」
「ん…」


 快斗によしよしと頭を撫でられて。
 新一はゆっくりと瞼を閉じた。

 優しい温もりに包まれて、今の幸せを噛み締めながら眠りについた。





to be continue….



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