割れたカップに自分が重なる
何時か来る終わりと
何時か来る別れと
もう少しだけ傍に居たかったのに…
〜籠の中の蒼い鳥[11]〜
「新一! 大丈夫!?」
カップの割れる音。
零れ落ちる液体。
なんだかソレが自分の様で、痛む胸を押さえながら新一は酷く遠い事の様にソレを見ていた。
「新一! しっかりして!」
快斗に抱きかかえられ、それでもどうする事も出来ない。
彼には。
彼にだけは。
知られない様にと思っていたのに。
こんな僅かな時間でばれてしまうなんて情けない。
そんな思いしか浮かんでこなかった。
「新一。今病院に連れて行くから…」
自分を抱き上げようとする快斗を、新一は小さく首を振ることで止める。
「いい……」
「新一…」
「連れて……行かなくてい…い……」
苦しげに、それでもしっかりとそう告げる新一に快斗は泣きそうな顔を浮かべる。
その事に新一も、痛い胸が更に締め付けられる様な気がした。
「いいんだ……」
「解った。だからもうしゃべらないで?」
ぎゅっと新一を抱き締めて。
快斗はその背をゆっくりと撫でる。
その優しさと温かさに新一は静かに目を閉じた。
to be continue….
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