気付いた瞬間愕然としたんだ
気付かなくていいなら見ない振りをしていいなら
どれだけ幸せだったのだろう
でもそれは
探偵としての自分には出来ぬ事
バロック4:確信
「アイツってまさか…」
「ああ。そのまさかだよ」
ソファーの背に身体を投げ出す様に寄りかかり、新一は天井を見上げる。
白過ぎる程真っ白な天井の壁は嘗ての魔術師を思い起こさせる。
それを嫌うかの様に新一はそっと目を閉じる。
真っ暗な闇が広がる筈なのに、瞼の裏に焼き付いて離れない『白』。
それは……新一が一番欲しかった筈のモノ。
「でも…彼だっていう確証は何も…」
「被害者の名前をよく見てみろよ」
新一は志保の言葉を遮って、冷たく言い放つ。
彼女の慰めなんか聞きたくなかった。
だって、何をどう言い繕うともこの世の中で自分と、目の前に居る彼女と、そして彼以外の人間があの薬の成分を知っている筈はないのだから。
「―――!?」
資料をもう一度最初から眺めだした志保は全ての被害者の名前に目を通し、息を呑んだ。
被害者は順番に、
香月藤夜(カツキトウヤ)
伊藤裕子(イトウユウコ)
富田美鈴(トミタミスズ)
上田直人(ウエダナオト)
木村良子(キムラヨシコ)
月野玲子(ツキノレイコ)
土井裕也(ドイユウヤ)
という人物達だった。
「解っただろ?」
志保が息を呑んだ事を気配で悟った新一は静かに瞳を開く。
天井を見詰めたままの新一の視界に広がるのはやはり『白』。
それは自分が一番欲しかった筈のもの。
「ほんとうに…彼なの……?」
「ああ。それは奴からの俺達宛のメッセージだよ」
全ての被害者の頭文字。
それを全て繋ぎ合わせて出来上がった単語は―――
―――――― 『カイトウキツド』
to be continue….
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