「め〜たんて〜♪」

 白い怪盗が今宵工藤邸にやって来た。

 ………激しくおかしな口調で(笑)








〜Trick or Treat?〜








「お前何なんだよその口調は…ι」

 頼むからその格好で語尾に音符マークはやめてくれ…。

「今日はいいの♪」


 しかし、そんな名探偵の切実な願いも、次の瞬間さらっと無視された(爆)
 その事におもいっきり疲れた顔をする新一とは対照的に、快斗は満面の笑みを浮かべる。


「何だよ…今日はいいって…」


 もう推理する気力すら失っている新一に、快斗はう〜ん…と唸りながらヒントを与える。


「ん〜、これなら解るかな? 名探偵♪ ……Trick or Treat?」


 その言葉に一瞬瞬きをした後、意味を理解した新一は小さく溜息をついた。


「成る程な…今日はハローウィンで、お前はKIDに仮装した快斗って訳か」
「大正解♪ 流石名探偵♪」
「ったく…このアニバーサリー男が…」


 新一が呆れた様にそう言えば、快斗は小さく口の端を持ち上げ改めて問う。


「Trick or Treat?」
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ…か。そりゃ子供の特権だろ?」

 いい歳して何やってんだか…。


 呆れきっている新一の言葉に、快斗はちっ、ちっ、ちっ、と言いながら人差し指を左右に振る。


「甘いね名探偵。俺は今日『KID』なんだぜ?」


 子供だから言ってもいいの〜♪と快斗はわざとらしくマントを翻しながら答えた。


「卑怯者…」
「何とでも♪」

 それじゃ本題。名探偵、お菓子か悪戯か…どっちにする?♪


 心底楽しそうに言う快斗に、新一は…………意外にも不敵な笑みを浮かべた。


「んじゃ、これやるよ」


 突然放られた物体を快斗は慌ててキャッチすると、まじまじと手の中の物体を見詰めた。
 その物体とは………昔懐かしの(?)5円チョコ(爆)


「な、何で新一がこんな物持ってるの!?」

 絶対甘い物なんて持ってないと思ったのにぃ〜!!しかも何で5円チョコ!?


 余りの驚きで、快斗は思わず自分が『新一』と呼んでいる事にもさっぱり気づいていない。


「ああ、それか? 宮野に『護身用に』って今朝貰ったんだよ」
「し、志保ちゃん…ι」

(護身用ってあんまりじゃない…?)


 そうか、これの為だったのか…なんて一人納得している新一の横で快斗は複雑な気持ちを抱えつつ肩を落としたのだった。






「そういや快斗」
「なに?」


 新一にチョコ貰えたのは嬉しいけど結構複雑…なんて一人悶々としていた快斗に今度は新一が楽しげに尋ねてきた。
「Trick or Treat?」
「へ…?」


 新一からの本日二度目の余りに意外な行動に、快斗は今度こそ固まった。
 新一が甘い物なんて持っている訳が無いと高を括っていた為、それこそ飴の一個すら快斗自身は持ち合わせていなかったのだ。

 それに、悪戯に託けて「そのままベットにでも連れ込もうvv」なんて計画していたのだから(爆)


「どうした? 『KID』さんよぉ?」

 まさか言い出した本人が用意してないなんて事ないよなあ?

「うっ……」

(完全に読まれてる〜ι)


 楽しげな新一の様子に、快斗はふと手の中のチョコに縋るように目を向ける。


「あ、もちろん俺がやったそれを返すなんて真似まさかお前がする筈ないよな?」


 黒羽快斗…完全に逃げ場消失(爆)


「し、新一〜」


 泣きそうな声で彼の名前を呼べば、新一は更に楽しげな口調で快斗を追い詰める。


「そうか…『KID』は悪戯をご希望って訳か」


 口元に笑みを浮かべつつ、新一はゆっくりと快斗へと近づいてくる。


「し、しんい……んっ…」


 そのまま快斗の唇は新一の唇によって塞がれた。
 普段の新一からは絶対に考えられない展開に、今度こそ快斗の思考は完全にストップしたのだった…。






「ったく、仕掛ける側が準備不足なんてざまあねえな」


 唇を離したと同時に新一が口を開く。


「ん〜vv でも、こういう悪戯なら大歓迎vv」


 おもいっきりやに下がった顔になっている快斗に、新一は少しだけ頬を赤く染める。
 そんな新一の様子が可愛くて快斗は新一を腕の中へと閉じ込めた。
 そのままそっと新一の耳元に唇を寄せ、吐息を吹き込む甘く低く囁く。


「ねえ新一…俺も悪戯したいんだけどいい…?」


 その言葉に新一は今度こそ耳まで真っ赤になってしまう。
 真っ赤になったまま、快斗の腕の中で動けなくなってしまった新一を急かす様に快斗は更に熱っぽく囁いた。


「新一…」


 が、しかしそこら辺は工藤新一。
 何の対策も無い訳がない(爆)


「甘いな快斗」
「…へ?」
「俺が唯単に悪戯しただけだと思うか?」

 チョコやった俺にお前が手出せねえの解ってて俺が悪戯したんだとしたら?

「…し、新一…?」


 うろたえる快斗の様子に新一は爽やかな(…)笑みを浮かべる。


「お前は俺に手は出せねえよなぁ?」

 なんたって俺はお前にお菓子やったし。

「うっ…」
「だから今日は大人しくしてろよ?」

 もっとも俺は何しかけてもいいんだろうけどな♪


 工藤新一の本日の計画名…『ハローウィン生殺し大作戦』(爆)


「………新ちゃんの意地悪…」
「ん〜? まだ悪戯が足りないか? だったらさ…」
「うわぁ〜!! ごめんなさい! 俺が悪かったです!!」


 流石魚嫌いな快斗君。
 『さ』の字の時点で気づいてます(笑)


「だったら大人しくしてろよ〜♪」
「………はい」


 黒羽快斗…惨敗。
 どうやらそんな快斗の様子に満足したらしい新一はソファーに腰を下ろすと、読みかけだった推理小説に取り掛かる。

 当然の事ながらかまってもらえなくなった快斗は大人しく新一の隣に腰を下ろすと、まだ手に持っていた5円チョコに目を向ける。


「新一は虐めるし…チョコでも食べて大人しくしてよう…」


 いじけつつも、そこら辺は甘い物が大好きな快斗。
 いそいそと5円チョコの包装を開封すると………。


「ん……? 快斗??」


 肩に重みを感じた新一が重みの原因に目を向ければ、思いっきり気を失っている快斗に気づく。


「おい!どうし………ぷ…」


 快斗の手の中にあった物…それは…………見事な魚型チョコレート(爆)


「やべえ…。宮野、お前最高……」



 その後数分間、工藤邸には新一の堪え切れない笑い声が響き渡っていたのだった…。









END.


ハローウィン〜♪
ほんとは仮装パーティーでも開きたいんですが…(ぇ)
現実的に無理なんでお話しだけ…(爆)
ちなみに右下の壁紙の羽は新一君の背中に生えてると思ってくださいv(笑)

おまけ


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