ベルガマ


 イズミルからトロイへの中間点あたりのところに「ベルガマ」があります。
 ベルガマには、「ペルガモン」と呼ばれた王国の都の跡と古代の総合医療センターの「アスクレピオン」があります。
 「ベルガモン」の歴史は、アレキサンダー大王の将軍の一人リシマコスに遡りますが、大王の死後分割された莫大な財産を受け取ったリシマコスが、その財宝を部下のフィレタイロスに託し、フィレタイロスによって都が築かれ、その甥エウメネウス1世がペルガモン王国の初代の王となりました。
 その王国は紀元前263年から133年の130年しか続きませんでしたが、ヘレニズム時代の主要都市、特に文化の中心としての誉れが高かったところです。
 古代都市ペルガモンは、丘の上のアクロポリスのある上市、中市、下市とその郊外にアスクレピオンが位置しています。



「アクロポリス」(ペルガモン王国)

「アスクレピオンからアクロポリス」  郊外にあるアスクレピオンの聖なる道から丘の上のアクロポリスを写したものです。
「トラヤヌス神殿説明図」  アクロポリスの「トラヤヌス神殿」の説明図です。
「トラヤヌス神殿」  修復中の「トラヤヌス神殿」です。
 皇帝トラヤヌスが建設を始め、パドリアヌス帝が完成させた白大理石のコリント式神殿で、上市で最も魅力的な建造物であったと言われています。
「トラヤヌス神殿」  同上。 真っ白い大理石の柱と彫刻がとても素晴らしい。
「大劇場」  急傾斜面に扇形にに広がる「大劇場」です。
 1万人収容の劇場で、観客席は80段からなり、2つの踊り場で上中下3つに分けられています。
 ヘレニズム時代のペルガモン建築のほとんど安山岩が使われていたそうです。
「水道橋」  アクロポリスから眼下を望む。
 中央に見えるのは、「水道橋」跡です。
「図書館跡」  蔵書20万冊もあったという「図書館」跡ですが、それらしきものはものはほとんど見あたりません。
 ベルガモン王国が最も栄えた紀元前2世紀に建てられたもので、 収蔵書が、アレキサンドリアの図書館を超えて世界一になったことを妬んだエジプトが、パピルスの輸出を禁止したが、ベルガモンは、羊皮紙を考案し、これに替えたという。
 
「ディオニソス神殿」  大劇場下段のテラス端には、酒と演劇の神「ディオニソス神殿」跡があります。
 前2世紀のオリジナルの神殿を3世紀初頭に大理石の立派のものに改築されたもので、今に残る大理石の階段からかっての豪華さを忍ぶことができます。

 
「ゼウス祭壇説明図」

 「ゼウス祭壇」の説明図です。
 建物の荘厳さもさることながら、長さ120m、高さ2,3mの壁を取り巻く浮き彫りは見事なもので、現在、ベルリンのペルガモン博物館最大の呼びものとなっているそうです。

「ゼウス祭壇跡」  「ゼウスの祭壇跡」です。
 5段の基壇だけが今日まで残され、その上には松の古木が枝を延ばしています。
 ペルガモン王国の宿敵ガラティア人を打ち破った戦勝記念に、ゼウスに捧げる豪華な祭壇を建設したものです。


「アスクレピオン」








 アクロポリスの西に「アスクレピオン」の遺跡があります。
 医療の神アスクレピウスの神殿を中心にヘレニズム、ローマ時代を通じて第1級の医療施設として名声を誇っており、暗示療法や水浴、散歩、音楽や演劇、読書など医学の原点を示すユニークな遺跡です。


「聖なる道」


 「アスクレピオン」へのアプローチ「聖なる道」です。
 紀元前4世紀から紀元前2世紀にかけて使われていた古代の総合医療センターへの道です。

 

「蛇装飾の柱」  蛇の装飾が刻まれた柱です。
 当時、蛇は再生のシンボルとされてましたが、今でもヨーロッパの薬局の看板にも使われているそうです。
「列柱回廊と劇場」  回廊列柱とその向こうは劇場があります。
「劇場」  劇場。
「図書館跡」  左側は、二重壁の図書館の外壁で書物の湿気を防ぐための工夫が見られます。
「地下道」  病室に続く「地下道」で、地上の穴からの太陽の光と、地下道の両側を流れる水音を利用した暗示療法も施していたそうです。
 この地下道は、「俗の場」と「神聖な場」との境界でもあったとのことです。
「病室」  写真は、アスクレピオンの「病室」です。

2003年9月8日

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