わかる「時間」19

タイムトラベルは可能か

 「オリオン星雲まで2年で行ける?」

問題

・ 「オリオン星雲は地球化から1500光年、つまり光の速さで1500年かかる距離にある」

・ 「光速の99.9999%であれば2年強で着いてしまう。」

・ 「超高速で運動する物体上での時間の経過は遅れる(ゆっくりになる)」

考察

(1) 光の速さ

 光の速さで運動すると、時間が止まるということである。すると、光は光の早さだから、時間がとまっているはずだ。すると、オリオン星雲からの光は、時間が経過していないということになる。

 時間が経過していないのに光は進んでいる。

 オリオン星雲からの光は時間が経過しないのだから、一瞬で地球に着いたことになる。本にもあるように、普通は、オリオン星雲からの光は地球に来るのに1500年かかることになっている。

(2)「光速の99.9999%であれば2年強で着いてしまう。」

 普通は速度は距離÷時間である。すると、1500光年÷2年=750になり光速の750倍の速度であるということになる。

 相対性理論は違う計算式を使うから光速の750倍ではなく、時間の進み方がゆっくりになるからであろう。時間がゆっくりになれば、速度もそれに合わせてゆっくりになりそうだが、そうではないようである。時間を無視して、速度はそのままのようだ。

 漫画では、時間が止まると、みんな動きが止まる。主人公だけは、普通の速度で動きまわることができる。これは外の時間が止まって自分の時間だけが動いているからである。

 この場合は反対で、自分の時間がゆっくりで、回りは普通の時間が流れていることになっているから、ロケットの1年の間に、回りは750年経過していることになる。ロケットから見ると、外はものすごい速さで時が流れているように見えることだろう。外から見ると、750年の間にロケットは、1光年弱しか進んでいないことになりそうだ。光速の750分の1の速度にしかならない。ところがそうではないようだ。

(3)「超高速で運動する物体上での時間の経過は遅れる」

 「特殊相対性理論による時間の遅れは、おたがいさまだということです。」と、P47にある。

 すると、オリオン星雲を基準にすると、オリオン星雲が1500年経過する間に、宇宙船は2年でやってくることになる。しかし、基準を宇宙船にとると、オリオン星雲のほうが光速の99.9999%で動いていることになり、宇宙船は止まっているのだから、宇宙船の時間は1500年経過し、動いているオリオン星雲のほうが、2年で、宇宙船にやってくることになる。

 なんとも不思議な世界だ。

(4) どちらの時刻が正しい時刻

ア 宇宙船が動いているとした場合

オリオン星雲と、宇宙船の時計を西暦200年に合わせる。そして宇宙船が出発する。

 オリオン星雲に到着したときは宇宙船の時計は2002年を指している。オリオン星雲の時計は3502年を指している。これは本質的な時間の流れを代弁している。

 どちらが正しい時刻なのだろう。どうして、違う時刻なのに、同時の世界に存在できるのだろう。

イ オリオン星雲が動いているとした場合(アインシュタインの相対性)

 反対に宇宙船の時計が3502年を指し、オリオン星雲の時計が2002年を指している。

結論

 二つの問題がでてくる。異時刻なのに同時に存在していることと、どちらが動いているか同等であるという、相対性による問題である。 

 オリオン星人が時計を見ると、遅れているのはロケットのほうである。ロケットの人が見ると、基準のロケットは止まっているのだから、遅れているのは、オリオン星人の時計である。お互いにそちらの時計が遅れていると論争になりそうである。

 これはどのように考えたらいいのか。これが事実に一致するであろうか。ひじょうに疑問である。GPS衛星のときも、ジェット機に積んだ時計のときも、相対性理論家はこの問題は黙って、ないことにしている。それはちょっとずるいんじゃないですか。

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