膨張を続ける宇宙
宇宙の重力に打ち勝って、宇宙が膨張するということである。このエネルギーはものすごいエネルギーであるだろう。地球ひとつだって、太陽の万有引力から飛び出させるのには、並大抵の力ではできない。それを全宇宙の星をばらばらにするのである。どこからこのエネルギーは出てくるのだろう。謎のエネルギーである。
巨大な銀河同士を結び付けている銀河団は宇宙膨張力に打ち勝っているという説もある。銀河系と、アンドロメダ銀河は宇宙膨張に打ち勝って、近づいているという。
これを今さらばらばらにはできまい。そのためには新しい巨大なエネルギーがいる。どこからそれは涌いてくるのか。
事実を無視した考え方である。実際この近辺では、宇宙膨張の力によって離れていっている星や、銀河は直接観測されていない。(前章で述べたように赤方偏移は、膨張の直接の観測ではない)
「ブラックホールは長い時間をかけて光を放って蒸発し始める」
ブラックホールは、何物も外に出られない特異点に収縮し、消えるという理論であった。光どころか時間も空間もでられないということだった。
それが、全宇宙の物質が、ブラックホールになったら、光を出すという。光を出したら軽くなって爆発さえするという。特異点で、消えてなくなったはずが、宇宙の終わりではまた出てくるという。時間や空間は光のように、またしょぼしょぼ蒸発してでてくるのだろうか。理論に統一性がない。
特異点という人智の及ばない現象をおいとけば、なんだってそのせいにして思いのままだからね。
これも空想に過ぎない。科学ではない。
収縮する宇宙では「最終的に銀河もとけてなくなるだろう。」ということだ。
「とけてなくなる」とは科学者の言葉とは思えない。物質はとけてもなくならない。氷は溶けて水になる、水は蒸発して、水蒸気になる。見えなくても、決してなくなったわけではない。子どもならいざ知らず、科学者の言葉とは思えない。
「そして時間のない、無の状態に戻るだろう」
どうして時間がなくなるのかの理由がない。時間とは何かということが分かっていないのに、時間が無くなると断定することができるのだろうか。できるわけはない。それを証明する、事実も理論もない。何もないのに結論だけ断定するのは仮説にすらならない、御伽噺のたぐいである。
「宇宙は時間も空間も存在しない、無の状態に戻るであろう。」
重力が、空間も引き込んだということなのだろう。
銀河系の中心には巨大なブラックホールがあるという。するとこのブラックホールは、周りの空間を引っ込んでいるはずだ。空間はそこでドンドン収縮しているはずだ。観測によると、物質が引き込まれているらしいのはわかるが、空間が引き込まれている様子はない。ブラックホールの周りの星はケプラーの法則でブラックホールの周りを回転しているようだから、空間は引き込まれていないと類推できる。
もし空間も重力が引き込むなら、銀河系全体も、空間とともにやがて引き込まれてしまうだろう。ところが銀河系ができて少なくとも100億年は立っているといわれているのに、空間はちゃんと、銀河系に残っている。
他のもっと大きな銀河では、もっと巨大なブラックホールがあるだろうといわれている。その銀河も、ちゃんと、空間は維持している。
このことから、いくら大きくなっても、ブラックホールは空間を引き込まないということがわかる。
すると、どのくらい重力が大きくなったときに空間が引き込まれて収縮を始めるのだろう。すると、重力源から遠くはなれた空間は、重力に引き込まれずに、残ってしまわないのだろうか。ブラックホールごときでは引き込まれないのだから。
銀河の星は引き込まれていないから、空間も同じであるとはいえない。星や物質は質量や位置エネルギーや、熱エネルギーを持っている。これが運動エネルギーになり、重力に対抗した斥力となり、銀河の回転運動になり、重力とつりあって、なかなか引き込まれないのだ。ところが、空間は、質量がないから位置エネルギーがない。熱による運動もない。重力に対抗するものは何もないようだ。だから一気に引き込まれそうである。ところがびくともしていない。
空間は重力には引き込まれないといえそうである。元々、相対性理論では、重力は、空間のゆがみであるというのだから、引き寄せる力はないはずである。引き寄せる力はニュートンの万有引力の考え方である。つごうのいいところだけ、ニュートンを借りてはだめだ。
また、「無の状態」とはどういう状態なのか。そこには何かが詰まっているのだろうか。それとも何もないのだろうか。何もない真空の空間とどのように違うのだろうか。無の状態の説明がない。
時間の終わりも、空間の終わりも、まだまだ、空想物語であるようだ。