時間のはじまり
「現在の宇宙は、膨張していることが知られている」
これは実証されていないので仮説である。宇宙論者の満場一致であっても、科学は多数決ではないので仮説であることには違いない。今までも満場一致の学説が覆されたことは限りなくある。天動説しかり、神が生き物を作った、しかり、大陸は動かない、しかり、宇宙は星々の集まりできている、しかりである。これらを、地動説や、進化論や、大陸移動説や、アンドロメダ銀河が銀河系外の島銀河であることの実証などで覆した。
ビッグバン宇宙論もそのひとつである可能性が高い。
科学はニュートンの海である。分かっていないことのほうがはるかに多いのである。そして、ビッグバン論者は声高に実証されたように言っているが、ビッグバン宇宙論は実際の証拠は何一つない空論だけで作られているのである。それをみていこう。
(1)膨張の証拠といわれているもの
これには大きく三つの証拠がビッグバン論者によって提出されている。そして、それで決まりだ、と確信有り気に言っている。そうだろうか。検証してみよう。
ア 銀河の赤方偏移
銀河の光が赤方偏移しているのは空間膨張のため、とビッグバン論者はいう。ところが空間が膨張するという現象は直接には観測されていない。
赤方偏移が空間膨張の直接の観測事実になるということはいえない。赤方偏移が他の理由である可能性もあるからだ。パンが膨らむのを直接計測するように、空間が膨らんでいることを、直接観測しなければ、観測事実とはいえない。
事実で確認されていないということは、これは仮説であるということである。
今現在も膨張しているであろう地球がある空間や、太陽系がある空間の膨張は観測されていない。また、太陽系の歴史を見てみても、今まで膨張による何らかの現象があったということも観測されていない。
地球や、太陽系ができてから46億年たったので、その間に地球や太陽系のある場所の空間はかなり膨張しているはずだ。その膨張による変化は観測されていない。地球の軌道も、月の軌道も、小惑星や、彗星の軌道も、それによって変化したということはだれも観測していない。空間はかなり大きな変化になっているはずなのにである。これは太陽系では空間膨張がなかったということの証拠になりそうである。
このことから、観測が正確にできない遠い宇宙ではいざ知らず、観測が正確に行われる近いところでは、空間膨張はないといえそうである。
また、空間とは何か、空間膨張の仕組みはどのようになっているか、空間膨張のエネルギーは何か、等、空間膨張の理論も何一つない。
光が宇宙空間を飛べば、光のエネルギーが減じるという意見は現実味がないからといってビッグバン論者に否定された、という意見を見たことがある。では、空間膨張は現実味があるのだろうかというと、書いたように、まるっきり理論もない、事実も観測されていない、空間が何かさへ分かっていないのである。
現実に証明されていないということではどちらも同じである。
光が500万年飛ぶ間に、人間は、猿のようなものから人間にまで進化した。1億年の間に、ねずみのようなものから、人間になった。46億年の間に、生命が生まれ、人間にまでなったのである。その間宇宙空間を果てしなく飛び続けた光が無傷であれるのだろうか。宇宙空間に漂う膨大な原子や分子や恒星風やニュートリノの中を通り抜けてくるのにである。光のエネルギーが減じてもそれほど不思議なことではない。むしろ、エネルギーが減じないほうが不思議である。光のエネルギーが減ったというほうが、空間が膨張するより、よほど現実味があるといえる。
イ 宇宙背景放射
ビッグバン宇宙の重要な証拠であるという。
これは、ビッグバンが起こってから30万年後に起こった宇宙晴れ上がりの名残の光であるといわれている。
ビッグバン論者は肝心なことを隠している。そのとき地球はどこにあったかということである。ビッグバン論から類推すると地球は46億年前とつぜん太陽系に出現したわけではない。地球になる物質はビッグバンとともに生まれたはずである。したがって、宇宙晴れ上がりのときに、すでに地球になる物質は形は違ってもすべてその中に含まれていたはずである。従って、宇宙背景放射の光の中には、やがて固まって地球になることになる水素原子が出した光も混じっているはずである。すると、137億年前に地球が出した光を137億年後、また地球が見ていることになる。
昨日の地球はどこを探しても見ることはできない。1年前の地球を見ることもできない。1億年前の地球もしかりである。10億年前も、できたばかりの46億年前の地球も、計算して、その場所を特定して、そのとき地球が生まれただろう場所に望遠鏡をむけても見ることはできない。では100億年前ならどうだろう。100億年前なら見えるのだろうか。できたての銀河系の中で、違った星になろうとしている地球が見えるだろうか。見えるわけはない。昨日の銀河系が見えないように、100億年前の銀河系が見えるわけはないのだから。ではそれが147億年前になるととつぜん見えるのはどうしてなのだろうか。
137億年前の地球が出した光が見えるのだから。それは地球をみるということだ。不思議な現象だ。宇宙背景放射を発見したペンジアスとウィルソンのアンテナは137億年前に限っては、タームマシーンになれるようだ。
反論
宇宙に散らばっている塵が出す光が観測できたら、全天からマイクロ波が降り注いでいるのが観測できるという説が、ビッグバン論以前に何人かの人たちが違うアプローチから述べている。
背景放射はビッグバンの名残の光だというなら、背景放射は宇宙に漂う塵から出るマイクロ波であるという説を、理論や観測で否定しなければならない。ところが、ビッグバン論者は、この説を無視している。そんな説はなかったことにしているかのようだ。もし、否定できないから無視しているとしたら科学者の方法としては最悪だ。
なんにしろ、この塵説を事実で否定しない限り、背景放射がビッグバンの証拠であるということは仮説以上にはなれない。
先に述べたように、ビッグバン説だと地球の過去を見ることができるという不可能なことができることになる。それに比べて、宇宙の塵は観測されているので、現実味は宇宙塵説のほうが格段にあるといえる。
ウ 水素とヘリウムの構成比
これはビッグバンがあるとすると今の宇宙の水素と、ヘリウム構成比にぴったりであるという理論だ。
これは、ビッグバンがあったということが大前提の計算の仕方だ。ぴったりになって当たり前だ。
ヘリウムは、星の中でも水素からできるのは観測されている。理論もできている。したがって、ビッグバンがなくてもヘリウムはできるのである。問題は時間である。ビッグバン説は、宇宙は137億年前にできたということで計算している。では、ビッグバンがなければ、宇宙の年齢は、もっと長くてもよい。するとその長い時間の間に、水素とヘリウムの比がこのようになるということは可能である。時間は限りなくあるのだから。ビッグバン説の137億年で計算しているから、星の作るヘリウムでは間に合わないということになるだけだ。
ビッグバンまずありきである。
ほかに証拠といえる大きなものはない。反対に、上記のように否定的証拠は有る。
137億年では、銀河や宇宙の構造がうまくできないのだ。そこで、ビッグバン論者はダークマターや、ダークエネルギーなどという、不可思議以外の何者でもないものを作り出している。それこそ神の力と言い換えられそうな代物だ。
ビッグバン宇宙論は、少なくとも、全員一致ということは考えられない代物であるのに、なぜか、宇宙論者が全員一致してる。不可思議な現象だ。
a 「無の状態では、時間も空間も物質も何もないこと以外詳しいことは良くわからない」
b 「無の状態のゆらぎによって、小さな宇宙がこつ然とできる」
c 「できたとたんに消えてしまう宇宙もある」
(1)宇宙ができる前
aで、「詳しいことは良くわからない」といいながら、無の状態であったということやbやcの出来事はわかっているようだ。根拠はもちろん示されていない。ビッグバンは点から生まれたというのが根拠なのだろうけれど、それは仮説にしか過ぎない。ビッグバンがあった、というのが大前提の理論である。
(2)無とは何
「無の状態のゆらぎ」とある。何が揺らいだのか。時間も空間も物質もないと言っているのだから、それ以外の何かがゆらいでいるのだろう。それはなにか示されていない。無が揺らぐとは禅問答である。
たしかに何も分かっていないということだけはわかる。
(3)手品
「できたとたんに消えてしまう宇宙もある」とはすごい手品だ。鳩や虎は消せても、宇宙を消すのは手品師にはできない技だ。地球を消すのだって大変だ。宇宙は、その何兆倍の何兆倍の物質があるか分からないくらいすごい。それを簡単につくたり消したりするのだからものすごいものだ。その上時間や空間まで作ったり消したりするのだ。どこにそんなスイッチがあるのだろう。種はどうなっているのだろう。種明かしを見たいものだ。
神様の出番かね。ビッグバン宇宙論は、キリスト教の人たちが大喜びしたはずだ。まるっきり神様の世界だもんね。
これはまるっきり空想の世界だ。人間には確かめようがないからといって、言った者勝ちで、思い付きをくっちゃべっているだけだ。これが科学なら、おとぎ話も科学になる。