わかる「時間」13

ブラックホール1

問題1

 「時間が遅れるのは、重力による落下速度の分だけ光の速度が遅くなるからだった」

考察1

 光の速度が遅くなることが時間の遅れの原因であるとしている。

 すると、水の中では光の速度は遅くなるから、水の中では時間が遅れていることになる。

 ダイヤモンドの中はもっと遅れる。ダイヤモンドの中は時間がかなり遅くなりそうだ。

 すると、ダイヤモンドの今の時刻と他の物の今の時刻が違ってしまいそうだ。ダイヤモンドはつねに過去にあることになる。すると、あなたの指で光っているのは、現在の光が過去のダイヤモンドに入って、屈折し、また現在に戻ってきたということになる。タイムトラベルという不思議な現象だ。こんなことは起こっていない。すると、光が遅くなるということと時間が遅れるということは直接の関係はなさそうである。

 このことから、光の速度が遅くなる原因が、「重力による落下速度」が原因で「光の速度が遅くなる」ときだけ、時間が遅れるといえそうである。なんかえこひいきのような気がするのだけど。

結論1

 @ 光が遅くなるとどうして時間が遅れるのかは、説明されていない。

 A 他の理由で光が遅くなるときは時間とは関係なく、重力で光の速度が遅くなるときだけ、時間が遅くなる理由も述べられていない。

 したがって、この説はここでは根拠不明、あるいは説明不足である。

 

問題2

「光速度で落下している人が外向きに光を出しても、遠方の人にとっては内向きの落下速度と光速度が打ち消し合って、光はその場所に静止しているように見える。そこから出た光は遠方に届くことなく、永遠にそこにへばりついている。」

考察2

(1)「遠方の人にとっては・・・静止しているように見える。」と「遠方に届くことなく、永遠にそこにへばりついている。」の矛盾。

 遠方に届くことがない光を遠方の人が見ている。届かない光を見ることはできない。矛盾である。

(2)「光速度で落下している人が外向きに光を出しても、遠方の人にとっては内向きの落下速度と光速度が打ち消し合って、」

 ニュートンの万有引力では、引力は、質量のあるものどうしの相互作用だから、光は引力とは相互作用をしない。しかし、アインシュタインの重力は光を落下させる。ともに仮説であるが真っ向から対立している。

 ニュートンは引き合う力である。アインシュタインは、それ以前の、物質は、重いから地球に落下するという一方的な作用である落下である。この光は落下しているだけなので、ニュートンが否定した古典物理である。

問題3

「落下している本人にとっては、あっという間にブラックホールに飛び込んでしまう。」

考察3

 時間が遅くなっても、時間が止まっても、本人は普通のときとまったく同じように運動しているようである。重力で時間が遅れるというこれまでの相対性理論の考え方とは違う。時間は普通どおりに経過しているようである。

 動きが、時間の遅れとともに遅くなったり、止まったりするのは、遠くはなれた人が見たときだけのようである。

 時間の進み方が遅くなったら、本人も、時間の進み方に合わせて、時間の進み方が早いところよりゆっくり動いてよさそうである。これは、特殊相対性理論のときの、ジェット機に積んだ時計はゆっくり進んでいた、ということと違う現象である。特殊相対性理論では見た目だけでなく実際にも動きがゆっくりになっている。また、一般相対性理論でも太陽の時間や、木星の時間が実際に遅くなっているとも書いている。したがって、ブラックホールの境界線で時間が停止したら、事象も動かず、その中にいる本人も時計の針も動くことはできないはずだが、停止した時間の中で平気で普通に動いているようである。

結論3

 時間が止まったら動きも止まってしまうことにすると、ブラックホールの境界線上に、落ちてきた(重力ではそうなる)物質が境界線上に山済みになってしまうから困るのだろう。

 苦肉の策というところだね。あるいは苦しい言い訳というところか。

問題4

 ブラックホールは「その表面で時間は凍りついてしまう」

考察4

「時間は凍りついてしまう」というのは、時間が止まっているという現象をさすのだと解釈する。すると、ブラックホールの表面は、そのときから時間が経過していかなくなる。たとえば、西暦1500年にブラックホールになった星は、その瞬間から、永遠に西暦1500年のままで時間が止まっているということだと解釈する。

そこで思考実験。

 銀河系ができたのは、今から、100億年ほど前であるといわれている。ブラックホールもそれと相前後して生まれていると考えられる。違っていてもおそらく、時間的にそんなには離れていないだろう。せいぜい1億年か2億年だろう。

 すると、ブラックホールはその時点で時間が止まる。ブラックホールの時刻は、今から、100億年前の時刻を指したままである。銀河の星や、星間物質は、その後も時間が経過している。相対論では、速度や、重力でそれぞれに違う速度で時間が経過しているから、物質それぞれに違う時刻になっているとしても、ブラックホールよりはかなり進んでいるはずだ。

 すると、ほとんどの物質はブラックホールと、100億年近くの時間差が生まれているはずだ。ところが、銀河系中心のブラックホールの周りには、大きな星が多数回転している。これらの星は、中心のブラックホールの巨大な引力に引かれて公転している。ケプラーの法則からそれがわかるということだ。すると、100億年前の時刻にあるブラックホールの引力が、100億年ほど後の時刻の星と引き付けあって(ケプラーの法則だから、万有引力であって、重力ではない)いるということだ。

 変な話である。過去も未来も時間が止まろうが動こうが、どんな速度で時間が経過しようが、全ての物質は「今」という時刻に1秒と違わずぴったり集合している。時刻などは関係ないということだ。ひじょうに変な話だ。これはニュートンの絶対時間なら、矛盾はなくなる。全ての物質は同じ速さの時間の中にいるということなのだから、ブラックホールも他の星も、星間物質も、みんないつも同じ時刻にあるということなのだから。

結論

 見かけは時間が遅くなるが、「落下している本人にとっては、あっという間にブラックホールに飛び込んでしまう。」というから、本人には時間は普通どうりに流れているようだ。

 ところが、ブラックホールは「その表面で時間は凍りついてしまう」といっているから、本人も時間が止まっている。論理に一貫性がない。これは、論理どおりに具体化しようとすると矛盾が表面化してしまうためである。それを、つじつまを合わせようとすることから生まれたちぐはぐである。特殊相対性理論の、どちらも相手より遅れている時計と同じである。

 これは理論が事実に合わないことからくる。すなわち理論が間違っているということの証明である。

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