ビッグバンその七不思議の1
(マイクロ波宇宙背景放射はビッグバンの名残の光ではない
光の化石(マイクロ波宇宙背景放射)
 このことについては「空いっぱいに蝉時雨」のあとがきで一部書いたことです。
 マイクロ波宇宙背景放射というのは、宇宙に満ちていると予言された、とてもエネルギーの低い電波のことです。この予言は、その原因から、大きく二つに分かれます。一つは、古くからある説で、宇宙空間の塵の持っている熱が原因のマイクロ波です。もうひとつは、最近名声を博したビッグバン原因説です。それによると、宇宙の始まりのころ(ビッグバン後数十万年後)の光が、宇宙の膨張に伴って温度が下がり、マイクロ波になって宇宙に満ちているというのです。
 最近、その光(実際は電波として観測された。赤外線と電波の境目あたりをピークとする電磁波です。光も電波も同じ仲間で、光が波長が長くなると電波になるそうです。)が実際に観測されたということです。(最初に観測した人は、それで、ノーベル賞をもらっています。)それがビッグバンの直接の証拠だということで、宇宙学者のほとんどの人がビッグバン(宇宙は、あるとき大爆発が起こってできた、という説。その大爆発のことをビッグバンという。)があったことを信じることになったといいます。そのことについては、どの宇宙の本にも書いてあることで、いまさら紹介はしません。で、そのことについての素人なりの疑問を2,3はなします。
A 不思議の1 なぜ、背景放射は光なのに満ちることができるのか
 光は、どこまでもまっすぐ突き進むのだから、何か容器の中に水のようにためておくことなどできないような気がするのだけれど。たとえそれが宇宙という巨大な入れ物であったとしても、その中に130億年もの間、最初の爆発の光を満たし続けることなどどうしてできるのだろう。
 ものの本によると、ビックバン後10万年とか30万年後とかに(本によって違うのだが・最新情報では38万年後だそうです。※注1)光と物質が離れて、光は自由に飛びまわれるようになった、(これを宇宙の晴れ上がりというそうです)と書いてあります。ということは、その瞬間から、ビッグバンの光は、あっという間に宇宙のかなた(※注2)へ飛び去ってしまったのじゃないだろうか。のろまな物質(地球)などを置いてけぼりにして。
 飛び去った光をいくら技術が進歩したからといって、どうしてもう一度見ることができるのだろう。 マイクロ波観測衛星COBEが130億年前の光を見たからといって,COBEはタイムマシーンではないので、ビッグバンの光を見ることはできないはずです。おそらくそれは、何か違うものの光です。 
a ※注1  宇宙の晴れ上がりのときの宇宙の大きさを考える。
 宇宙誕生後38万年だから、宇宙が光速で広がったとして、最大半径38万光年です。最初に、インフレーションというのがあって、超光速で宇宙は広がったというけれど、それは一瞬で、直径は10センチほどだったらしいので、光年という単位からは無視できる数字なので無視します。
 話を戻すと、全宇宙の物質と、光が分離したときの宇宙の直径は、最大で、76万光年だったということです。
 私たちの銀河系が直径10万光年だということだそうです。宇宙には銀河が少なくとも1000億個はあるといわれています。直径76万光年の球の中にどんな風にその全部が詰まっていたのだろう。よくブラックホールにならなかったこと。
b ※注2  宇宙のかなたって、やっぱり宇宙かな?
 宇宙が直径76万光年だったとき、その外はどうなってたんだろう。
 その外は宇宙ではなかったといいます。空間も時間もビッグバンで始めてできたとビッグバン論者は言います。だから、膨張する球の内側は時間も空間も物質もあるけど、その外は、物質も、時間も、空間も、そのほか、一切が何にもないそうです。光は、その、直径76万光年の宇宙の中を飛び回るしか仕方がなかったんです。物質が(その当時は水素とヘリウムしかなかったとか。)隙間もなく満ち満ちていただろう宇宙の中を。
 宇宙の端っこにいた光はどうしたんだろうね。0.0001ミリ外は何にもない奈落だから、怖くて引き返したのかね。
 まあ、一般相対性原理では、空間は曲がっているからまっすぐ進んでも光は曲がっているから外には絶対出られないということになっている、とかいって、あっさりけりをつけているようだけど。もし、1点から宇宙が始まって、球状に膨張して行ったなら、必ずその球の表面が存在するはずです。奈落と接する部分があると私は思うのですが。
 そのときは、空間も光速で広がれば、光は空間もないところへ飛び出すこともなくなって万事めでたしというところなんですが、そう都合よくできてるわけないものね。第一、このあたりの観測できる宇宙空間が、光速で膨張しているという観測結果はひとつも見つかっていません。ハッブル定数が、50キロとか、70キロとか、光に比べたら、カタツムリの速度みたいだから。
 2003年8月 記
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