光の化石(不思議の2、3)
不思議2 なぜ、ビッグバンの光だけマイクロ波になってしまったのか
 ビックバンの光は、無事マイクロ波(電波)になったのに、それからたった8億年しかたっていない銀河の光が、単に赤方偏移(まだ、可視光のまま)しただけで、ハッブル宇宙望遠鏡にちゃんと映るのだろう。
 もし、ビッグバンの光が、138億年たってマイクロ波になるのなら、銀河の光だって、130億年たったら、マイクロ波に近いものになっても不思議じゃない気がするのだけれど。
 ビッグバンの光は銀河1000億個もの物質が爆発した光だから、たった1個の銀河の出す光よりはるかにエネルギーの高い電磁波のはずです。それがマイクロ波にまでエネルギーを下げたのですから、もともとエネルギーの低い銀河の光がマイクロ波よりはるかにエネルギーの高い可視光線の状態のまま残っているというのは変な話ではないでしょうか。
 電磁波の説明
 電磁波には、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波(マイクロ波も仲間)があり、この順にエネルギーが下がっていきます。名前はいろいろだけど、同じものです。違いは振動が速いか遅いかという、エネルギーの大きさだけです。
 ビッグバンの光は、138億年かけて、一番エネルギーの高いγ線から一番エネルギーの低い電波にまでなりました。ところが、銀河の光は、130億年もかかっているのに、可視光線から、少し赤のほうにエネルギー状態が低くなった可視光線までしか下がっていません。もし、銀河の光が最初γ線だったとしても、γ線から可視光線までです。エネルギーの下がり方が違いすぎます。
 でも、なぜか、誰もそんなことは問題にしていません。多分、ビッグバンと、その後の銀河誕生との間はすべてがなぞになっているので、それどころではないのでしょう。
不思議3 なぜ、マイクロ波の温度は3kなのか
 最初、ビッグバンによる宇宙背景放射を予想したガモフという人は、その温度を50Kと予言しました。その弟子たちは7Kと変更しました。また5Kと変更したと言う人もいます。
 それとは別に、ビッグバン説が出る以前に、宇宙空間に満ちている塵から出る電磁波の温度が3Kくらいになると予想した人たちがいます。ビッグバン論が出る以前は、それが宇宙空間の温度ということになっていて宇宙空間の温度が計れれば、3Kのマイクロ放射がどこでも見つかるはずだと言ったそうです。もしビッグバン説と塵説の両方正しいなら、両方で、8Kとか10Kになるのじゃないのかなあ。足し算して。どうして、塵の温度は急になくなったのだろう。ビッグバン説がほんとうであろうがなかろうが宇宙には塵が満ちている事実には変わりないのに。
A いろいろな宇宙の温度(背景放射)の仮説
 アーサー・エディントン、1926年、銀河系内の星の光の強度から、恒星間空間の温度を3.2Kとした。
 エレンスト・レゲナー、1928年頃、宇宙空間での、イオン化現象の研究から、星からの光が無視できる状態の銀河間の温度を2.8Kとした。 
 A・マッケラー、1941年、恒星間物質のスペクトル観測から、恒星間空間の温度を2.3Kとした。
 最近の宇宙背景放射の実測温度は2.73K
B 考察
どうして、7Kと予測した「背景放射はビッグバン起源」説のほうが、背景放射を独り占めしたんだろう。独り占めするならば、エレンスト・レゲナーが一番近いから優勝という風にはいかないのかしら。クイズなら近いほうが勝ちなんだけれどね。でも、なぜか宇宙の塵原因説は理由もなく否定されたみたい。ビッグバンの残光があったとしても、宇宙の塵だって光を出したってかまわないと思うのだけど。なぜ、両方一緒じゃだめなんだろう。
 また、 宇宙の晴れ上がり(ビッグバン後30万年頃、宇宙の温度が下がり、それまで、単独で宇宙を飛び歩いていた電子が原子核と結合し原子になっていった。電子は光の進路をめちゃめちゃに変える作用があるので、それまで光はまっすぐ飛べなかったので、宇宙は不透明であった。それが電子が原子になったことで、光が直進できるようになって、宇宙が透明になった。このことを宇宙の晴れ上がりという。話です。)の後、数十億年で最初の数千度の温度があった放射が絶対温度2.7度になったという意見さえあります。(宇宙論の危機 マイケル・D・ルモニック)でも、2.7Kになった後、現在までの数十億年分の宇宙の膨張による温度低下はどうするのだろう。今でも宇宙は膨張しているというし。(最新の意見では、それどころか、また急加速されているという。これを第2のインフレーションというらしい)また、この人の意見のように、宇宙膨張によって数十億年で光がマイクロ波にまでなるなら、上に書いた銀河の光は確実にマイクロ波になるだろうし、そのほかの遠い銀河(数十億光年以上遠い銀河)の光もマイクロ波になってしまいます。そうなら、ハッブル宇宙望遠鏡のディープフィールドには銀河はひとつも写らない筈です。それが写っているのはどうしてでしょう。
 とにかく、同じビッグバン説支持者でも、人によって、まるで考え方が違います。互いに矛盾だらけです。
まとめ
 宇宙背景放射の原因は、宇宙の塵にあるという説がある。私はそっちのほうがもっともらしいと思う。
 理由。宇宙に塵があるのは観測事実である。ビッグバンは仮説である。勝利は事実のほうでしょう。

   銀河の光が赤方偏移するわけもそれで説明できる。(不思議5参照)
仮説がどんなにセンセーショナルであっても、事実があまりにありふれててニュースにならないとしても、事実は事実である。(妹空並刻迷言録より)
不思議4につづく(10月13日ごろ)

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