1 問題
銀河団や銀河による重力レンズといわれる現象がかなり発見されています。これが本当に重力による現象なのか考えてみます。
2 考察
(1) 銀河団による重力レンズといわれている現象は本当に重力によるのだろうか
地球のある天の川銀河系や、アンドロメダ銀河や、その他のこのあたりの30個ほどの銀河をひっくるめて局部銀河群といいます。近くの大小マゼラン銀河は銀河系の重力のために形を乱しているらしいし、230万光年も離れたアンドロメダ銀河でさえ、私たちの銀河系と互いにひきつけあって、遠い未来には衝突するだろうといわれています。ただ近いからひっくるめたわけではなく、星が、緊密に結び合って銀河系を作っているのと同じように、銀河同士も重力で結び合って一つの構造を作っているのです。差し渡しが数百万光年になるといいます。
宇宙にはもっと大きな構造があって、この局部銀河群がいくつか集まって銀河団というのを作っているそうです。差し渡し1千万光年にもなるといいます。こんな銀河団が、宇宙にはごろごろしているといいます。そんな大きな銀河団も、はるかに遠いと、小さな塊にしか見えなくなります。これがレンズになるというのです。
タイソンという人は、重力レンズの候補を選ぶとき、「ダイナミカルにリラックスした銀河団」を選ぶといいます。この意味は「銀河団の各メンバーが互いの重力で落ち込んでいく過程が終わり、お互いに安定した軌道を回っている」ということだそうです。なぜ、そのような銀河団を選ぶかというと、「そういう銀河団の中心は密度が濃く、重力レンズには都合がよい」らしいのです。
銀河と銀河の間、あるいは銀河群と銀河群の間は一見何もないようだけど、そういうものが集まった銀河団をエックス線で観測すると、その5倍ほどの範囲にわたって、エックス線をはなっているハローが見えるそうです。大きくなると数千万光年にわたって、高温のガスが充満しているらしいのです。
それだけの範囲にわたって物が集まると、その重力は想像を絶するものになることでしょう。アインシュタインの言うように、本当に重力で空間が曲がるなら、この重力で空間が曲がり、光が曲げられることは十分に考えられます。
しかし、こうも考えられます。この巨大な球形のガスの固まりは、中心に行くほど濃くなっているということから、そこを通過する光は、地球上の蜃気楼現象と同じ原理でそのガスのために曲げられてしまうということも可能であると。そして、焦点距離がある程度地球に合うと、ゆがんだ像が見えることになるはずです。しかも、前述のシャビロ所長のプラスチックレンズの像のように、角度や焦点によって像が二つになったり、弓形になったりと、いろいろに変化するはずです。
中心に行くほど濃い、球形の、透明(可視光では見えないみたいなので)な超巨大なガスの固まりなんて、レンズそのものがぽっかりと宇宙に浮かんでいるようです。
ここでもやはり、重力レンズ説より、ガスレンズ説のほうが有力と思いませんか。少なくともガスレンズ説を無視することはできないと思います。前にも書いたように、重力で空間が曲がる直接の現象はまだひとつも発見されていないし、その仕組みもせいぜい仮説の域に過ぎません。一方、気体で光が曲がる現象はいやというほど観測されているし、重力で気体が球状になる仕組みもほぼ完全に解明されています。もちろん、レンズになるガスも、上に書いたX線ばかりではなく電波望遠鏡や、赤外線望遠鏡などで直接存在が確認されています。
(2) 銀河による重力レンズ現象はほんとうか
単独銀河による重力レンズ現象も見つかったということです。
ヒューイットという人が、1986年に電波望遠鏡でアインシュタインリングを発見しています。このレンズになっているのは、単一の銀河だそうです。でも、その銀河の重力がそうさせているのだろうかは、検討の余地があります。
この銀河による、アインシュタインリングは電波では見えたのだけど、可視光や赤外線ではリングは発見されなかったといいます。その理由が、レンズになっている銀河が電波を出さず、可視光や赤外線を出しており、そのために電波は混ざらないが、光は混ざって見分けがつかなくなっている、と説明されています。光が簡単に混ざるものならそうかもしれません。(大気圏上層にぶつかるγ線の出すかすかなチェレンコフ光でさえ、他の光から見分けられるという時代にです。)しかし、ガスによる電波の屈折した焦点が地球に合って、可視光の屈折は地球に焦点が合っていないということもありえるのではないでしょうか。同じ電磁波の仲間でも電波と可視光の曲がり方や仕組みが違うから、よく見える電磁波とそうでない電磁波ができるのはありえることです。それに、電波を出さない銀河があるとは信じられないことです。もしそうなら、そちらのほうがすごい発見です。
電波も曲がるのだろうか。電波もよく曲がります。山や、ビルに当たってテレビにゴーストができるのは身近な例です。飛行機に電波を当てて遠くに飛ばすなんてのは、アマチュア無線家の秘儀?です。最初の電波中継衛星は、巨大なバルーンを打ち上げて、それに電波を当てて反射させていたみたいです。自然界でも、電離層があります。ある周波数の電波をよく跳ね返します。そのほかにも、空のなかに電波を曲げる層がよくできるそうです。そのためにテレビ映像が乱れたりするときがときどきあります。
高温の電離ガスや、磁力線が渦巻いている銀河です。電波領域の電磁波が曲がってもなんの不思議もありません。かえって曲がらないほうが不思議なくらいです。
この例でも、レンズが重力のせいであると言い切ることはできないと思います。
(3) マッチョによる重力レンズ効果
マッチョとは、ダークマター(宇宙にあるだろうといわれている、見えない謎の物質)の候補のひとつで、光を出さない天体(ブラックホール、褐色矮星など)のことです。光を出さないので、直接この星は見えません。そこで、この星の発見のために、重力レンズを利用しようというのです。この方法は、プリンストン大学のパチンスキーという人が1986年に提案したものです。
方法は次のとおりです。大マゼラン雲の星の前をマッチョが通れば、マッチョ自体は見えなくても、マッチョの重力で、空間が曲がり、重力レンズができているので、後ろから来ている大マゼラン雲の星の光の経路が曲がって、一時的に増光するというのです。
この方法で、10個近くのマッチョが発見されたとされています。
星でも、重力レンズがおこるというのです。星が縦に並ぶなどということは、ないだろうから、重力レンズは観測できないだろうとアインシュタインは予防線を張っていたのに、予想に反して、10個近くも発見されてしまいました。
ところで、これが、重力レンズであるという証拠はあるのでしょうか。この発見されたマッチョが、火星より大きければ、大気を持っているはずです。褐色矮星だとしたら、木星よりは大きいから、大気の層を持っているのは確実です。すると、この大気の層がレンズになって後ろの星の光を増光させたという可能性もあります。あるいは、たんに分子雲が通り過ぎたために、光が屈折したとも考えられます。
この観測結果も、これだけでは、重力レンズであるとはいえません。
3 結論
星の像がゆがんだらどうして重力レンズなのでしょう。
何度も言うように、地球上で光(含む電波)が曲がるそれこそ五万とある現象は、すべて重力以外のことが原因です。反対に、重力で光が曲がっている現象は地上ではまだ一つも観測されてはいません。それが、はるかかなた、宇宙の果てでは、ほかの原因を差し置いてどうして重力だけが躍り出てくるのでしょう。変と思いませんか。
相対性理論のいう現象を発見するのが難しいのは、相対性理論が間違っているためなのです。重力で空間が曲がったり、光が曲がったりするわけはないのです。発見したと喜んでも、それは、ほかのありふれたことが原因で起こっている現象なのです。少なくとも、重力レンズは、たんに気体による蜃気楼現象というありふれたことでも十分説明がつきます。その方が矛盾も少なくなります。
アインシュタインが予言したからなんてのは、本当はたいして意味もないことなんですよ。かえって、検証をないがしろにし、正しい判断の目を曇らせることになるときもあるとは思いませんか。ついこの前まで、神が言ったからということで、ヨーロッパの科学が発展しなかったように。アインシュタインは科学者だから大丈夫というなかれ、神は全能で、すべての科学も見通しているとみんな信じていたんだから。だからこそ余計にだったんだから。
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