Y 宇宙の虫眼鏡は何を見る2

 

1 問題  太陽のそばで光が曲がるのは重力レンズのせい?

 先に書いたエディントン氏の観測の検証です。

 相対性理論で予言された、重力が空間を曲げるということの最初の観測事例といわれています。

 

2 考察


(1) 何を検証するか

 @太陽のそばの星の位置が本来あるべき位置よりずれていた→A光が曲がっている→B重力によって光が曲がった→C質量のない光が重力で曲がった→D空間が重力で曲がった→Eアインシュタイン氏の「重力は空間を曲げる」という理論は正しい。
 この、「→」が正しいかを検証します。

 

(2) 検証

ア @太陽のそばの星の位置が本来あるべき位置よりずれていた→A光が曲がっている、について

 観測事実であり、光が曲がったとしか考えられないので、ほぼ間違いないでしょう。観測誤差が大きかったといわれているが、宇宙の観測は誤差がつき物だからあまりうるさくは言わないみたいだし、いい事にしているのでしょう。ほかの分野ではぜったいだめなんですけどね。


イ A光が曲がっている→B重力によって光が曲がった、について

 光が曲がる原因にはたくさんあること、地球上では重力で光が曲がる現象はまだひとつも観測されていないということは、「宇宙のレンズは何を見る1」で述べました。

 つけたしておきますと。水平線に太陽が沈むときのことです。計算上は水平線の向こうに沈んでいるはずの太陽が見えることがあるそうです。星の位置がずれて見えるという、エディントンの観測した現象と同じです。太陽も星ですから。でも、原因は違います。これは、地球大気の層の密度の濃淡によって太陽の象が浮かび上がる蜃気楼現象だと説明されています。なぜかこの現象に対しては、だれも、地球重力による空間のゆがみのせいであるとは考えないのです。まるっきり同じ現象なのに、なぜ相対性理論はこの場合出てこないのでしょう。それもおくびにも出てこないというのはどういうことでしょう。
 そこで、太陽の周りでおこる、光が曲がる現象をもう一度考え直して見ます。
 太陽の周りに大気はないか。あります。皆既日食のときに見えるコロナがよい証拠です。太陽よりかなり遠くまで気体の層が広がっているのがはっきり観測されています。その下には彩層という大気の層もあるのが観測されています。その下の光球といわれる層もガスでできているそうです。
 このことと、地球上の現象から考えると、太陽のそばで星の光が曲がるのは、太陽の大気が原因であるとも考えられます。
 エディントンにより観測された問題の写真では、太陽コロナの真ん中あたりにその星が写っています。

 コロナは、太陽から吹き出した高温のガスであることが観測からわかっています。このガスが、その星の光を曲げた可能性は十分に考えられます。

 

3 結論

 太陽の質量が、地球の33万倍もあるし、なんといっても、20世紀最大の天才であるアインシュタインが言っているのだから重力による現象である可能性は十分あります。しかし、地球上での光の曲がる現象のすべてが重力以外の原因で起こっており、重力が何一つ関与していない(もちろん、地球の重力が小さいから重力による現象は小さすぎて観測できない、と相対性理論者はいつものように言うんでしょうけど。)ことから考えると、100パーセント重力による現象である、とは言い切れないと思います。おそらく50パーセントもないでしょう。私は、どちらかというと、上で述べた水平線の太陽の現象から考えると、太陽大気、コロナが原因であるというほうが9:1で勝ちと思います。もし重力が原因としても、太陽コロナのガスの濃淡の影響も必ずあると思います。地球の大気が太陽の光をさまざまに曲げるのに、遥かに膨大な量がある太陽の大気が星の光になにひとつ影響を与えないということはとても考えられないことですから。
 ということから、(b)→(c)が正しいというためには、重力が原因であるというそのほかの観測事実が必要になると思います。もちろん、太陽大気がひとつも影響していないという観測事実も。ただアインシュタインの計算式とぴったりだというのではだめです。
 第一に、観測誤差が大きいということです。それでぴったり合うなら、式が間違っているか、その式を当てはめたのが間違っているということです。

 ひょっとして、計算と合わないものだから、観測の精度が悪いなんていっているのじゃないとは思いますが。それじゃ、あまりに王様の仕立て屋すぎます。そんなときは普通は計算が間違っているのです。
 第二に、太陽大気を原因とする計算ができていないからです。ほかの原因ではないかと確かめることは科学では絶対に必要なことです。
 第三は、相対論に肩入れしすぎて、客観的に判断する考察をしていない可能性があるからです。相対論の直接の現象を見つけたということで、盲目になっていないでしょうか。あの難しい相対性理論の、もっと難しい「直接の現象を発見すること」ができたのですから、相対論の現象をやっと発見したぞと、舞い上がってるのはわかりますが、科学はやはり検証しなくてはならないと思います。


ウ B重力によって光が曲がった→C質量のない光が重力で曲がった、について

  ということで、A→Bは不確定です。したがってB→Cも不確定です。だから、これだけではDもEもいえません。

重力レンズの証拠とその検証1
銀河や銀河団による、アインシュタインリングといわれているものは重力のせい?(重力レンズの3)
相対性理論はまちがっている 目次