宇宙には巨大なレンズがあるといいます。その大きさは地球ほどかというと、いえいえ、そんなもの目じゃないんです。太陽より、銀河よりはるかに大きいのが見つかっています。大きいのは、なんと、直径5000万光年はあるだろうといわれています。われわれのいる銀河系が直径10万光年だといわれています。普通夜空を見上げて見える星は、その銀河系のごくごく近いところ、数千光年だけなのです。3万光年ほど先だといわれている銀河系の中心方向は、天の川としてぼんやり雲のように見えるだけです。宇宙のレンズがいかに大きいかわかるというものです。
1 問題 重力レンズの証拠とその検証1
重力レンズというのは、アインシュタインが予言した宇宙に起こる現象の一つです。
一般相対性理論では、重力で空間が曲がると考えます。また、光は空間が曲がっているとそれに沿って進むため、曲がって進むとも考えます。
この2点から、重力があると、空間が曲がり、それに沿って進む光も曲がる、と考えます。この現象は、レンズとそっくりなので、これを重力レンズと名づけたのです。
この現象が星の周りでも起こるはずだというのがアインシュタインの予言です。離れた二つの星が、地球に対してぴったり重なっていると、前の星の重力で曲がった空間のため、後ろの星の光が曲げられ、見えないはずの後ろの星が見えるだろうという予言です。もし、この現象が観測されたなら、重力で空間が曲がるということの決定的証拠になります。実際の現象がとても少ない相対性理論ですし、いつものように、「ぴったり重なった星などないだろうから、この現象は観測されることはないだろう」という言い訳もセットですから、何とかこの現象を発見したいと、宇宙を観測している人たちはがんばりました。するとどうでしょう、次々に重力レンズらしきものが発見されたのです。珍しく、「されないだろう」という予言が外れたのです。
(1) 重力レンズといわれているものの例
1919年、エディントンという人が見つけたのが最初です。皆既日食のとき、太陽のそばの星の位置が本来あるべき位置よりずれているのを観測しました。重力によって光が曲がるというアインシュタインの相対性理論を始めて実証したのです。それまでは思考実験の中でしか存在しなかったことが、本当にあったのですからすばらしい発見です。観測団を結成し、わざわざアフリカまで観測に出かけた甲斐があったというものです。相対性理論もこれで一躍世界に躍り出たといいます。
この観測は、かなり誤差があったといわれているようですが、その後、銀河団による星座のゆがみ(アインシュタインリングとかアインシュタインの十字架とかいろいろ)が発見されて、アインシュタインの予言した重力レンズは本当にあることが確認されたことになっています。鯨座エイベル370銀河団とか、みずがめ座2242−02銀河団とか、かなりの数の重力レンズといわれているものが発見されています。これからもきっと発見されていくことでしょう。
2 考察
(1) 光って曲がりやすい
ア 人の手で光を曲げる
@ 光は子供でも曲げられる
子供のころ、虫眼鏡で紙を燃やして遊んだ経験を誰も持っていると思います。光がレンズで曲がって1点に集まるから燃えると習ったと思います。学校で煙箱の実験で光の道筋を見た覚えもあります。光は曲がっていました。
同じように、鏡で光を反射させて人をまぶしがらせたりしたこともありませんか。
そうなんですよ。なにも、大それた重力など持ち出さなくっても、光は子供でも曲げられるんです。
A プラスチックのレンズでもリングはできる
ハーバードスミソニアン天体物理学センターのシャビロ所長という人が、特殊なレンズでアインシュタインリングと同じものを作ったと本にあります。プラスチックで作ったレンズで、中央が丸く盛り上がった形をしているということです。何のことはない、渦巻銀河の透明な模型みたいなものです。渦巻銀河も、赤外線などで見ると、腕は消えてのっぺりと見えるそうです。解像度が悪いのではなく、もともと可視光では見えない渦巻銀河の温度の低い水素ガスの部分(空気と同じように、可視光線では透明な部分)はそういうものだそうです。地球から見える恒星は一番近いのが太陽です。その次は4万光年以上離れています。星と星はとても離れています。しかしそれを遠くから赤外線で見ると、間には透明なガスがしっかり詰まっているということです。
このプラスチックレンズの角度を少しずつ変えると、像がリングになったり、二つになったり三つになったりするそうです。今発見されている重力レンズの像と同じだそうです。
重力レンズの像と同じものは、プラスチックのレンズでもできるということです。
イ 身近な自然でも、普通に光は曲がっている
@ 陽炎
陽炎や逃げ水は誰もが見たことがある現象です。蜃気楼となると、テレビや写真でしか見たことのない人がほとんどになるけど、(私もその一人です)これも、よくある自然現象らしいです。太陽が沈むとき、形が曲がったり、四角になったり、二つになったりしている写真もよく見かけます。 実際に見ていても気がつかないのが、水平線だそうです。地球の曲がりから計算された水平線までの距離より、実際に見える水平線は10パーセントから20パーセント遠いそうです。これも、実際は見えないはずの水平線が空気の屈折作用で、浮かび上がって見えるためだそうです。実際見ていても気にもとめないのが星のまたたきです。これも空気が起こす光の散乱や屈折現象です。
これらはみんな、空気のいたずらです。空気の密度に濃淡があると、そこで光が曲げられて景色がゆがむ現象です。
光は空気でも自然に曲げられています。もちろん星の光も例外ではありません。
A 幻日
太陽が3つになった写真も見たことがあります。幻日と呼ばれているそうです。まるで、アインシュタインの十字架です。でも、その原因は重力とは誰もいいません。この原因は、ダイヤモンドダストと呼ばれる空気中を漂う細かい氷の粒だと解明されています。
B 光は水でもほかのものでもすぐ曲がります。
水玉に朝日が当たってきらりと光ったり、空に虹ができたり、泳いでいる魚は大きかったり、水溜りに景色が写ったり、水でも光はいくらでも曲がります。そもそも景色が見えるのは、物に光が当たって反射しているからです。
(2) 空間て曲がりにくい
ア 空間てどんなもの
光を見た人は、この世界にたくさんいます。しかし、空間を見たり、触ったり、あるいは何らかの方法で検出した人がこの地球上にいるでしょうか。
空間てどんなものか分かりますか。私には、ただ何にもない広がりということくらいしかわかりません。何にもないんだから、見たり、触ったり、検出したりすることができないのは当然です。
イ 空間を曲げる
今まで、空間を曲げたことがある人はいるでしょうか。いたら、きっとノーベル賞候補にはなれるでしょう。あるいは空間を作った人はいるでしょうか。そんなことできるわけはないのです。何にもないものを、曲げたり作ったりすることはできません。禅問答の「片手の拍手」のようなものです。禅問答ならまだ片手があるからいいけど、何にもないものを作れとか、何にもないものを曲げろとか言われても、まるっきり雲をつかむ話でしょう。まあ、ためしに思考実験とやらで何にもないものを折り曲げてみてください。どうなりましたか。
空間が曲がったからなんて一言で言うものだから、ああそうか、と思っちゃうけれど、空間が曲がるってそうは簡単にはいかないのです。曲がってない空間と、曲がった空間の違いを物理的に説明できる人はいるのでしょうか。よくある、ゴム幕の上に鉄の弾を載せるとなんてのは何の説明にもなっていないのですよ。なぜかというと、ゴム幕は物質です。空間は何にもないんです。空間が曲がるということの一番肝心な、「何にもない」ということがゴム幕では説明できていないからです。ゴム幕なら鉄の重みで引っ込むのは当たり前です。では、何もないものに鉄の弾を載せたら(そんなことができたらですが)何が引っ込むというのでしょう。何もないというものが引っ込むのでしょうか。何もないというものが存在する。うん、ほんと、禅問答になりそう。
3 結論
光は簡単に曲がる。こんなことは、誰でも知っている当たり前のことです。あえて言うほどのことではありません。地球上で光が曲がる無数の現象は、みんな散乱や屈折や反射です。ただのひとつも重力はありません。反対に、空間が曲がる現象は、地球上では一度も観測されていません。それが、なぜか、宇宙のレンズではこれが完全に逆転するのです。最もありふれた、光の現象は相手にもされずに葬りさられ、一度も実証されたことのない空間の現象がこれまた何の裏づけもされずに認められるのです。
相対性理論者のいつもの癖です。遠すぎて、あんまりよく観測できないこととは仲良くするけれど、隣の、重箱の隅まで分かってしまっている日常的なこととはぜったい仲良くしないのです。なぜって。だって、せっかく見つけたダイヤモンドが、ただのガラス玉になっちゃうでしょ。
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