相対性理論によると、速く走れば走るほど時間が進むのが遅くなります。だから、チーターは亀より年をとるのが遅くなります。チーターはとても長生きです。それとも、スローモーションだから、亀よりのろまになるかな。
1 問題 (実際に行われた実験の検証)
アインシュタインの相対性理論を確かめるために、ジェット機に時計を積んで、地球をぐるっと周回させた実験があったそうです。ハッフル=キーティング実験とよばれ、1972年に行われています。
相対性理論の何を確かめるかというと、光速度普遍という理論から出てくる、スピードが速くなればなるほど時間が遅れるという理論を確かめる実験だそうです。
どうやったかというと、時間合わせをした原子時計を3個準備し、ジェット機に積んで、東回りと、西回りに地球を一周させて、空港に置いた時計と、戻って来たときのそれぞれの時刻を比べたそうです。
スピードの速いジェット機に乗った時計が時間の進み方が遅くなるために遅れるだろうという予測を確かめるためです。結果は、やはりそれぞれの時計で時間のずれが見られ、西回り、地上、東回りの順に時計の指す順が早かったそうです。よって、速度は時間を遅らせるということが証明されたということです。
チーターは亀より歳をとるのが遅くなるということです。チーターはとても長生きです。
理由は、回転していない座標系に照らしてうんぬん、と、とてもややこしいので省きます。その理由も本当は解しがたいのですが、話したところで、天才と凡人ですから、とても取り合ってはもらえないでしょう。ということで、凡人でも話せる観点から迫ります。
2 考察
この実験で、もしその時計がそれぞれに正しく時刻を刻んでいたとしたら、(もちろん実験者は、時計は狂っていない、と主張しています。)三つの時計は二度と同じ場所で会うことはできません、ということを今から説明します。
(1) 思考実験
わかりやすくするために、上の実験の話を少し誇張します。
実験開始の時刻を西暦2004年の1月1日の0時とします。簡単にするために地上と、東回りの時計の二つで実験するということにします。スピードも超高速です。そして、こんどは日付つきの時計にします。日付つきというところがとても重要なので覚えておいてください。
兄が地上でひとつの時計を持っていたとします。弟がもう一つの時計を持って超高速ロケットに乗って飛びます。地上の時計で計ると、4時間でロケットは地球を1周するとします。ロケットの時計は、超高速のため1周で1時間遅れるとします。(スピードが速ければ時間の遅れが大きくなるという、相対性理論が正しいとしたら)
ロケットは地球を24周して着陸したとします。ロケットの時計は、1周で1時間遅れるから、ロケットの時計は1周で3時間しか進んでいないことになります。24周だから、3時間×24周=72時間となり、出発から72時間たって着陸したことになります。したがって、ロケットの着陸した時刻は、弟の持つ機上の時計で西暦2004年1月4日の午前0時をさしているはずです。
一方、地上の時計は遅れがないから、ロケットが24周してる間に、4時間×24周=96時間となり、実験開始から96時間たったことになります。したがって、兄の持つ地上の時計は西暦2004年1月5日の午前0時を指していることになります。
すると、常識ではとても奇妙に思える現象が起こります。
1月4日の午前0時に実験を終えて飛行場に着陸してくる弟を、兄は、1月5日の午前0時の飛行場に立って出迎えています。そして、二人の時計を比べてみて、実験は大成功だ24時間も時間が遅れていると、弟と喜びの握手をするのです。
どこか変だと思いませんか。
(2) 着陸した弟は兄に会えません。
弟が西暦2004年1月4日の午前0時に飛行場に着陸したとき、兄はもう西暦2004年1月5日の午前0時の飛行場にいるのだから、とうぜん弟と兄は会うことができません。
しかたがないので、弟は兄に会うために、1日待って、1月5日の午前0時に飛行場に行きます。とうぜん兄はもうそこにはいません。弟が1日待っている間に、兄の時間も1日たっているから、兄はそのとき1月6日の午前0時にいます。
だから、二人は永久に会うことはできません。兄はいつも弟の1日未来にいるし、弟はいつも兄の1日過去に存在することになってしまったのです。
24時間遅れてしまった弟は、普通に過ごしている限りこの時間を取り戻すことはできません。
そればかりではありません、弟は二度と地上のすべての人に会えないのです。なぜなら、弟が空港に着陸したとき、空港の時計も、そのほかの町の時計も、みんな1月5日の午前0時をさしています。地上の人たちのすべては、兄と一緒の時間の流れにいるので、すでに1日未来に行ってしまっています。滑走路も、飛行場も、飛行場のある町も、みんな兄と一緒に1日未来にあります。もちろんそれらにくっついている地球も、それを照らす月も、太陽も、いや宇宙すべてが1日未来にあります。弟はいったいどこに着陸したのでしょうか。(相対性理論では、月も太陽も宇宙もそれぞれの速度を持っているので、それに合ったそれぞれの固有の時刻を指していることになりますが)
1月5日の地球から、1月4日に地球があったところを巨大望遠鏡で見ると、着陸体制に入っている弟のロケットが見られるでしょうか。いいえ、そこにも、ただ1月5日の宇宙空間が広がっているだけです。1月4日はもうどこを探しても存在しないはずです。弟は、何もない、宇宙さえない世界、闇さえない世界に着陸していったのです。
弟は、SF漫画でいう、いわゆるパラレルワールドへ入ってしまったのです。彼は、現実世界から抜け出して、漫画の中へ着陸してしまったのです。
タイムマシーンがあったら昨日へ行けるでしょうか。昨日はもうこの世のどこにも存在していないのではないでしょうか。タイムマシーンがあれば古代エジプトへ行ってクレオパトラと話ができるというのは、漫画の中だけでしょう。連写写真のようにすべての瞬間、瞬間が連綿と続いて残っていて、時間を遡ればどの時間の瞬間、瞬間へも行けるということがあるのでしょうか。とても考えられません。あるのはこの今の瞬間だけで、後はすべてもう存在しないのではないでしょうか。少なくとも、タイムマシーンや、パラレルワールドは、いまのところSF小説か漫画の世界にしか存在しません。
(3) 弟から見てみましょう。
西暦2004年の1月4日の午前0時に着陸してくるロケットを迎えるのは誰でしょう。1月4日の午前0時に兄はまだ飛行場でロケットの周回を数えているはずです。兄は、そのとき、弟の乗ったロケットがまだ18周しかしていないのに降りてくるのを変だと思うでしょう。だけど、着陸した弟はちゃんと24周したと言い張ります。
差の6周はどこへ消えたのでしょう。その6周もやはりパラレルワールドへ入ってしまったのでしょうか。そしてその6周とともに兄も飛行場も、地球も、宇宙さえもパラレルワールドに入ってしまうのでしょうか。
3 結論
その差が1日であろうが1時間であろうが、ことは同じです。1時間前の弟と話ができるでしょうか。そんなことは常識的には不可能です。現在と過去は合まみえることはありません。たとえそれが1秒であったとしても、0.1秒にしても。
そのとき、実際に行われた実験で、実験後みんなが1同に会したということは、実験に立ち会った人たちがみんな同じ時刻に立っていたということです。すなわち時計の指す時刻が違ったのは、単にそれぞれの時計が狂っただけで、実際の時間は微動だにしていない証です。
チーターはがんばって走っても、時速数十キロです。それくらいだと、時間の遅れはまるきりないに等しくなるから、亀とおんなじ時間帯にいると考えていいということらしいです。
では、人間はどうでしょう。現在、ジェット機で旅行をする人は数え切れません。人工衛星に乗って何百日も地球を回っている人もいます。月を往復した人さえいます。みんなちゃんと現在に戻っています。ということは、スピードによって時間が遅れたりしない証明ではないでしょうか。それは実際にはほんの少しの遅れだから、一緒にいても大丈夫なんだ、などと適当なこと言わないでね。それじゃ、いったい何秒,何分、あるいは何時間の差になったら一緒にいられなくなるのか相対性理論で示してほしいものです。
このことが相対性理論の計算上、実際に誤差の範囲を超えて、時間どころではなく、日が違っていなければならない実例は第3章で述べます。ポントデタ
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