T インフレーションビッグバン宇宙論の検証


著者 高田敞

 最初に、インフレーションビッグバンというのはどのようなものなのかを、簡単に説明します。これは概略ですので、興味のある方は、専門の人の書いた本を読んでください。

 その次に、この説の矛盾点を書いていきます。

 1 ビッグバン現象に対する疑問

 2 ビッグバンの証拠に対する疑問

  ・ 銀河の赤方偏移は、宇宙の膨張の証拠になりえるか

  ・ 宇宙背景放射は、ビッグバンの光か

  ・ 水素とヘリウムの比は、本当か


1 インフレーションビッグバン論の概要

 ビッグバン宇宙論では、宇宙は何もないところから突然出現し爆発で始まったといいます。そして今も膨張していると考えています。そして、その改定版が、インフレーションビッグバン説です。

 

1) インフレーションビッグバンの経過

  ア 宇宙の始まり以前

 宇宙には物質ばかりではなく、時間も、空間もなかった。したがって、完全な無だから今の宇宙とは無関係だから切り捨てる。
 これが、宇宙は永遠の過去から有ったとする、定常宇宙論を否定する根拠です。宇宙には始まりが有ったとします。
 これは地球は、45億年前に始まったとか、太陽系は45億年前に始まったとか、銀河系は100億年前に始まったとかいうのと同列の考え方です。137億年前に宇宙は始まったというわけです。「では、その前は」という問いは依然として残っています。定常宇宙論と同じです。時間も、空間もなかったのだから考えなくてもいいというのは詭弁にすぎません。

イ 始まり

 真空の断熱膨張から偽真空が生まれ、その中に真の真空が生まれ、その量子的揺らぎから、1回目の相転移が起こり、空間と、時間と、力と、素粒子が生まれる。

 このあたりはひとによって考え方が違っているけれど、何もないところから、真空と、偽真空が生まれ、その相互作用で、急激に膨張するという考え方は共通しているみたいです

ウ 最初の瞬間

 ゆっくりと膨張し、あらゆる情報が、光速で、できたばかりの小さな宇宙に広がり、宇宙を均一にする。力から重力が分離する。ここも、ひとによって考え方の違いがあります。

エ 次の瞬間

 2回目の相転移で、宇宙は超光速で膨張する。これをインフレーションという。力から強い力も分離する。

オ その次の瞬間

 3回目の相転移。残った力が、電磁気力と、弱い力に分離する。現在ある4つの力の完成。

カ その次の瞬間

 4回目の相転移。素粒子から核子になる。現在、電子顕微鏡で見える一番小さいもの、陽子がここでできています。全宇宙の星と、塵と、ガスの元となる物質ができたわけです。その質量はものすごいものです。
 ここで、インフレーションは終わり、普通の速度のビッグバン膨張になります。速度は、ハッブル定数というもので表されています。地球からの距離によって速度が違います。

 

 ここまでで、だいたい1兆分の1秒とか、百兆分の1秒とかの時間です。人によっていろいろあるようですが、一瞬よりはるかに小さい値だというのは共通しているということにします。どちらにしろ、人間にはとても区別できない時間ですから。

 しかし、ビッグバン論者には、この時間の流れはとても重要らしくて、どの解説書にも、10の−20乗とか−30乗とか、非常に細かく時間ごとの現象をこぞって書いています。しかし、素人目には、一瞬の中をさらに細かく区切ったってどれも一瞬より短いので、区別なんかできやしないのだから、大騒ぎすることはないように思えます。区別できない時間を言葉上区別したって、実際の反応はそんなに速くは起こらないんだから。
 たとえば、ヨーロッパの神は「光あれ」といって宇宙を作り出したといわれています。しかし、この論でいくと、光の「ひ」と言う前に、もうすでに全宇宙ができ、しかも何百光年先まで広がって、そのうえ広がったことがなかったように減速してのんびり動いているんだから、ものすごい反応速度です。それだけの高速の反応というのは、化学や、物理学の常識を覆すものでしょう。(これも、ビッグバンだけの特異現象です)

 どちらかというと、宇宙の大きさの方が、私なんかにはすごい問題だとおもうのですが、こちらは、科学者にはどうでもいい問題なのか、かなり適当です。どんな考えかというと、インフレーションという現象で、宇宙は急激に、光よりも速い速度で膨張した(インフレーションの始まりから終わるまでの間に、計算すると、光は、たった、10分の1ミリとか、1000分の1ミリとかしか進めません)というのですが、インフレーション膨張が終わったときの宇宙の大きさには人によってかなりの違いがあるのです。

 @直径1センチから10センチくらいと、非常に遠慮深い考え方と

 A今見える宇宙の数万倍から、数兆倍には広がったという、まあ、ひとつも遠慮しない考え方とがあります。(数万倍と、数兆倍では目もくらむ開きがあるのですが同じ仲間にします。ビッグバン論書もそうしているようですから)

 素人目にはこの二つはとてつもない開きがあるのですが、インフレーションビッグバン説の人には、たいして問題ではないらしいです。
 {人間には区別できないところを非常に大切にし、人間にはっきりわかるところは曖昧にするのは、ビッグバン宇宙論の特徴のひとつです。このあとも、はっきり観測できるところにはビッグバン現象は現れず、観測が曖昧なところや、観測できないところにだけはっきり現象が現れるとか、これに類似したことがよくあります。}

 このあとは、@の大きさのインフレーション説だと思います。Aの説だと、次のキのところで、核子から、水素もヘリウムも生まれないような気がします。Aの場合は、一度宇宙は空っぽになって、ここで、もう一度物質とエネルギーが湧き出してくるという説があります。でも、多くの場合、そんなことはどちらでもいいのかたいして気にもしていないみたいです。

 

キ 100秒後

 物質の合成が起こる。核子から水素と、ヘリウムが生まれる。

ク 10〜30万年後

 宇宙の晴れ上がり。宇宙背景放射の光が生まれる。

 ケ 数億年後

 銀河の形成。その後、宇宙が膨張し現在に至る。この膨張速度が、有名なハッブル定数です。

 

 この考えでいくと、宇宙は、1秒の、何兆分の1もかからずに、全ての宇宙の原材料をつくったみたいです。

 光も、物質も、空間の広がりも、力も全部できました。その後から現在までは、それを組み立てることに使われています。

  

(2) 根拠となる現象

 インフレーションビッグバンの根拠は、主として、次の3つです。 

ア 銀河の赤方偏移

イ 宇宙背景放射

ウ 現在の宇宙の水素とヘリウムの比率

 この3つから、上のような、とてつもない現象が起こることが考えられました。そこで、たったこれだけのことから本当にビッグバン宇宙ができるといえるのかを検証していきます。

H17年3月12日 

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