ビッグバン宇宙の荒唐無稽さ
著者 高田敞
ビッグバン宇宙は、現在の地球上、少なくとも銀河系の中では絶対起こらない現象だけでできています。地球やこの周辺の宇宙の物理法則はビッグバン現象には適用できません。反対に、ビッグバンの現象に通用する物理法則(何一つ、法則は見つけられていません)は、銀河系の中では起こっていません。
以下にそのすごさを書きます。
1 宇宙のでき方の特例
ビッグバンは、一瞬で、無から今ある全宇宙の物質や光やエネルギーを作り出した。
ア 「物質普遍の原理」「エネルギー普遍の原理」との矛盾
「物質普遍の原理」というのが普通の宇宙にはあります。無から物質はできないし、物質は消滅して、無にならないという法則です。「エネルギー普遍の原理」というのもあって、エネルギーは決して増えも減りもしないという理論です。これらは、現実の現象から見つけ出された法則です。
無から全宇宙の物質とエネルギーが突然できたというビッグバンは、この法則と相反しています。しかし、真の真空や、偽の真空というのを持ち出して、無からこの宇宙ができることを論理的に説明しています。無から有がありということです。
準定常宇宙論では、宇宙は、現在でも、1立方メートルにつき、100億年に1個くらいの割合で陽子が無から生まれている、といっています。しかし、ビッグバン宇宙論者は、「物質普遍の原理」から、何もないところから、陽子が生まれるわけはないと否定しています。もちろん、ビッグバン宇宙のように、最初の瞬間になら、無から有がありでも、準定常宇宙のように、少しずついつまでもできるのはだめだという根拠は現在のところ提出されていません。一度できたのなら、もう一度できても不思議ではないような気がします。むしろ2度とできないというほうが不思議です。地震なら、その後も余震が何回もあるのですがね。
しかし、どちらの論が正しいにしろ、「物質普遍の原理」は訂正しなくてはなりません。
イ 地球はポンと出るか
ビッグバンの始まりでは、全宇宙の物質が一瞬でできています。手品師が、虎を1頭出すのでも、数十秒はかかります。人が都庁を作るのでも何年もかかります。地球を形作るのも何千万年もかかります。宇宙は、地球の1兆の1兆倍ではきかないくらいの物質があります。それが一瞬でできたというのです。
都庁は、複雑だから作るのが難しい、最初の物質は素粒子だから、構造がないので簡単だというのは大きな間違いです。人は都庁どころか、複雑なジャンボジェット機などを作って、飛ばします。そのうち、巨大なロケットを作って惑星間旅行をするでしょう。
しかし、その時代になっても、無から素粒子にしろ、陽子にしろ、一つも作り出すことはできないでしょう。後1万年後でも、100万年後でもそうです。無から、目に見えない小さな陽子1個を作ることの方が、おおきな都庁を作るよりはるかに困難なことなのです。人間の感覚は、都庁とか、ジャンボジェット機とかは判断できても、無から何かを作るということは判断できないから、簡単に思うだけなのです。事実を正確には認識していないのです。
星が、地球を100万個集めたくらいの体積を持っていると、知識では知っていても、感覚はやはり星はきらめく点でしかありません。地動説は知っていても、太陽はやはり、東から昇って、西に沈みます。感覚的に判断できる枠を超えたものは、正確には判断できないのです。
だから、富士山がポンとできた、と言ったって誰も信じないけれど、宇宙全体がポンと出たということは信じるのです。100億年に1立方メートルに陽子1個を出すのは理論に反するという科学者が、一瞬で、全宇宙の陽子が出現したと主張しているのです。
2 インフレーションという特例
ア インフレーションの速度1
宇宙は最初超光速で広がったというのが今のビッグバン理論です。
相対性理論では、光速より速いものはないといっています。ビッグバン宇宙論者もそういっています。光より早く情報を伝えるものはないから、宇宙がどこも均一であるためにはインフレーションがいるといっています。インフレーション理論の出発点です。だから、宇宙は生まれたとたんに光の何兆倍ものスピードで広がったというのです。とても変な話です。光より速く情報を伝えることはできない。それだとこの宇宙が均一であるという観測結果と相容れない。したがって、宇宙はその始まりに、光の何兆倍もの速さで広がったというのです。まるっきりの矛盾です。
たとえば、こんなことです、電話では遅くて間に合わないから、超光速電車で伝えてくるというようなことです。
この場合も現在の宇宙の物理法則とは相容れません。現在、光速より少し速く飛ぶ電子は観測されています(空気中や、水中で光が速度を落としたとき電子が光を追い越す現象)が、光をはるかに超える速度の物質は見つかっておりません。やはり特例です。
イ インフレーションの速度2
インフレーションは光の何兆倍もの速度で広がったというのですが。これが1秒より短い間で起こったといいます。
車だと、時速100キロに速度を上げるのに、何秒もかかります。ブレーキをかけて止まるのにもやはり何秒かかかります。
スペースシャトルだって、あれだけの馬力があっても、最初はゆっくり飛び上がっていきます。帰還するときも、速度を落とすのにかなり時間がかかっています。
野球のピッチャーは、1秒の何分の1かで、ボールを時速130キロほどにすることができます。銃は一瞬で弾を音速を超える速度にできます。これは小さいから可能なのです。大きくなればなるほど、加速度を大きくするのは大変です。
連星というのがあります。2個以上の星が近くをぐるぐる回りあっている状態をいいます。この連星の片方が超新星になることがあります。超新星はとても大きい爆発だそうです。銀河に匹敵するくらいの光を出すのが観測されています。それくらいの大きな爆発でも、連星になっている隣の星を吹き飛ばすことができないのです。ブラックホールになっているだろうといわれている白鳥座の連星でさえも、相棒を吹き飛ばすことはできずに、連星のまま回りあっているそうです。ブラックホールができるくらいおおきな爆発でも動かすことはできないのです。星ほど大きな質量を持つと、その速度を変えるのは、至難の業なのです。
ところが、インフレーションビッグバンではいとも簡単にこれを成し遂げるのです。一瞬で、秒速30万キロの1億倍とか一兆倍とかに速度を上げます。そして次の瞬間この速度を普通の速度に落とします。速度0から超超光速度に加速し、それを普通の速度まで落とすのに1秒とかからないのです。
しかも、この加速されているものが全宇宙の星と物質と光とエネルギーなのです。
宇宙には星が、数え切れないくらいあります。それを、一瞬で光速の数兆倍まで加速し、次の瞬間に停止に近くまで減速させたのです。今の物理の法則では不可能なことです。そのときはまだ星はなかったなどというのは素人の考えです。全ての物質がビッグバンででき、広がったというのですから、物質はできています。それが星の形であろうが霧の形であろうが、他のどんな粒子であろうが質量は変わりません。現在知られている加速度の原理は形ではなく質量が問題なのです。
これもビッグバンのときだけの特例物理法則です。
ウ ダークマターとダークエネルギー
ダークマターというのは、見えない物質だそうです。今のところ重力だけで普通の物質と相互作用をすると考えられています。見えないし触れないし幽霊のようなものです。
かなりの量があると計算されているので、常に星とぶつかっているはずなのに、一切の反応はありません。量から考えると、地球上にもあるはずだし、人にもぶつかっているはずですが、観測されたことはありません。
このなぞの物質が、どれくらいあるかというと、全宇宙の25パーセントを占めているというのです。星はというと、たった0.5パーセントしかありません。なんと星の50倍も存在するのです。たとえれば、今太陽系の中に、見えない太陽が、後50個、同じく惑星が450個あるということです。もちろん、学者は、いや、ダークマターは太陽系の中にはなく、銀河系の中にもなく、銀河系の外の宇宙のどこかにあるといいます。観測した限りでは、太陽系の中にダークマターがないからです。なぜ分かるかというと、見えないけれど、重力はあるからです。もし、50倍もの質量が太陽系に増えると、全ての惑星の動きが計算と会わなくなるからです。今までどうり、見えるものだけを使って、ケプラーの法則を適用すると、ぴったりなのです。
もちろん、どうして、ダークマターが太陽系を嫌うのかは分かっておりません。分かっているのは、かなり正確に観測できる範囲の宇宙には存在しないけれど、それより遠い宇宙にはたっぷりあるはずだということです。
いつもの、ここにはないが、遠いところにはある、というビッグバン論です。
ダークエネルギーというのもあります。宇宙を膨張させているエネルギーだそうです。これが宇宙の69パーセントを占めているといいます。普通観測されている光などのエネルギーの、約140倍もあります。太陽が、140個も空に輝いているということです。
幸いなことに、このエネルギーも太陽系や銀河系は嫌いなようです。なぜなら、熱も光も、太陽1個分でぴったりだし、太陽系は膨張していないし、銀河系も今のところ膨張しているという観測結果もないようです。
では、ダークエネルギーはどこにあるかというと、やはり、遠い宇宙の向こうの銀河を動かしているというのです。
ダークを信じている学者(宇宙論者の多数派です)は、宇宙はこんなふうになるといっています。
まず星が0.5パーセント。星間物質のガスや塵が5パーセント。これらがわれわれが知っている陽子や電子からできている物質の全てです。このほかに、エネルギーとしての光と、ニュートリノがあります。これらがあわせて0.5パーセントです。全部で6パーセントです。これが、われわれが知っている宇宙の物質や、光やエネルギーの全てです。
残りの94パーセントが、ダークエネルギーとダークマターです。これらは、人類が見つけた宇宙の物理法則、すなわち地球上の物理法則とは一切関係ないものみたいです。いえ、それさえ分かりません。なぞのエネルギーとなぞの物質(物質といえればですが)が宇宙のほとんどを占めているのです。これらは、星や、地球や人間を作っている物質とはまるで違うものだそうです。エネルギーも、物理学者のいう、力の根源である、4つの力とは違う種類の力のようです。人間にはなぞ以外には何も分かっていないものなのです。それが、宇宙のほとんどを占めているというのです。
宇宙に0.5パーセントしかない星は、ごろごろ転がっているのが見えています。見えない引力だって、りんごが落ちたり、月が浮いていたりしていることから現象として見えます。光も、見えるし、赤外線の温かさだって感じられます。ほとんど反応しないとされているニュートリノも検出されています。ところが、94パーセントも占めるダークマターとダークエネルギーは、何一つ検出されていません。宇宙の生死を握っているというのに、検出されない理由も分からないというのでは話になりません。
これもビッグバン宇宙論だけの特例です。
3 ブラックホール
ア 宇宙の始まりはブラックホール
太陽をりんごほどに圧縮したら、ブラックホールになります。
では、全宇宙の物質を1点に圧縮したら何になるでしょう。
全宇宙の物質は、星が0.5パーセントです。星間物質が5パーセントです。星だけでも、少なくとも、地球の数十万倍(星)の1千億の1千億倍はあります。星間物質はその10倍です。これだけのものが1点に集まるのです。完全にブラックホールを追い越します。おそらく直径100光年くらいのところに詰め込まれてもブラックホールになるでしょう。そのうえ、ダークマターがその5倍もあるのです。まあ、ダークマターが押し縮められて、ブラックホールになるというのはいまのところ観測も理論もありませんが、重力があるというので可能性はあります。
ブラックホールは、光も吸い込み何物もそこから出てくることはできないといわれています。時間さえも止めてしまうそうです。
そんなブラックホールであっただろう原初の宇宙が、どうして爆発して広がれたのでしょう。ビッグバン開始から、10の−25乗秒後には、などとさももったいぶったことがどの本にも書かれてあるけれど、時間が止まっているブラックホールの中では、どんなに小さくても時間は動かないはずではないのかしら。といっても、その説明によると、ブラックホールに落ち込んでいくものは、ブラックホールの境界線で止まったように見えるけれど、それは外から観測しているものにそう見えるだけで、実際にその物質から見ると、普通にどこまでもブラックホールに落ち込んでいくという説明です。落ち込んでいるものの上では普通に時間が経っているということらしいです。しかし、違うことではこんな実験があります。エッフェル塔の上と下に時計を置いて、重力による時間の差を計ったら、時間の差が検出されたというのです。これから行くと、ブラックホールに落ち込んでいく時計は止まっていまいます。相対論も人さまざまで、そのときそのときで、つごうのいいようにつじつまが合わされています。
ブラックホールの中では時間が止まることも、ブラックホールそのものがあるということも、まだ、理論の中だけで、現実に証明されたわけではないのですけどね。
イ ダークマターはいつできた
ダークマターはいつできたのでしょう。ビッグバン以前は何もなかったのだから、ビッグバン以降にできたというのは確かでしょう。といっても、ビッグバン以前にも、真の真空やら、偽の真空やらがあって、それがエネルギーを持っていて、漣を立てていたなどと言い出したりするのだから、つごうでどうにでもなるみたいですけれど、一応ここではそうします。
では、いつできたかというと、多分ビッグバンで、普通の物質やエネルギーができたときにできたのでしょう。しかし、ダークマターもダークエネルギーも全てが謎だから、何もわかっていないみたいです。普通の物質は、1秒を1兆ぐらいに区切って、細かく分析してでき方を追っているのに、ダークマターやダークエネルギーは出てきません。おそらく、最初のときから、ダークたちは94パーセントもの地位を占めているのだから主役のはずです。普通の物質や、エネルギーは脇役とまでもいかずに、たんなる通行人くらいの地位のはずです。それが、通行人だけが舞台を作って、主役たちは影も形もないのです。これじゃ舞台は成立しません。
ダークたちはビッグバン理論のつごうで出たり入ったりさせられているのです。
ウ ダークマターはなんになる
では、宇宙の始まりからあるダークマターは、宇宙膨張とともになんになったでしょう。普通の物質は、重力で集まって星間ガスや銀河になりました。ダークマターも重力はあるようなので、集まって銀河のようなものになってもよさそうです。もし銀河ができるなら、普通の銀河の5倍の数ができるはずです。ダークマターの星も、普通の星のように燃えたり爆発したりするのでしょうか。ダークマターの銀河と普通の銀河が衝突したらどうなるのでしょう。引力があるので、互いに形が乱れることでしょう。ただ、ダークマターの銀河は人間には観測できないので、単独の銀河が、理由もなく形が乱れているとしか分からないことでしょう。普通の銀河同士の衝突はかなり発見されています。もしダークマターの銀河があれば、(普通の物質の5倍も存在するのだから、ないわけはありません)必ず普通の銀河と衝突しているはずです。それも普通の銀河同士の衝突の5倍はあるはずです。でも、いまのところそのような銀河は観測されていません。
もちろん、ダークマターが銀河や星をつくるという説も存在しません。ダークマターは、ビッグバン宇宙論の説明のためのものだから、それが銀河を作ったり、星を作ったりする必要性はまるっきりないからです。
4 まとめ
これがビッグバン宇宙です。幽霊より変なものを出現させなければ成立しないような宇宙論なのです。これからも、まだまだ残っているビッグバン宇宙の矛盾を解決するために、得体の知れないものや、謎のエネルギーや、突拍子もない法則がどんどん現れてくることでしょう。
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