「村山博士が語る宇宙の果てをめぐる最新宇宙論」(Newton2013年5月号)への疑問5

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

問題 空間膨張の問題点

 宇宙は、遠くなると、光速で地球から遠ざかるという説を述べている。空間膨張だから、光速を超えてもかまわないとビッグバン論者は言う。この根拠となる理論はあるのだろうか。実証はされているのだろうか。


考察

@ 空間膨張の原理は解明されているか

・ 空間とはなにかが何一つ解かっていない。

・ 空間の構造が何一つ解かっていない

・ 空間を膨張させるエネルギーが分かっていない。

・ 空間膨張が、物質にどのように働きかけ、動かすのか解かっていない。

(結論)

 要するに、宇宙空間膨張の理論は何一つないということである。理論がないのだから仮説にもならない。まだ思い付きの段階である。

A 空間膨張の実証はあるか

 そうだとしても、空間膨張は事実だから、とビッグバン論者はいうのだと思う。この本でも、ハッブルが宇宙は膨張しているということを発見した、と述べている。

 そこで事実か、考えてみる。

・ 空間膨張は実際に観測されたか

 否である。観測されたのは、遠い銀河ほど赤方偏移しているということだけである。

これは空間膨張を直接観測したことではない。

 遠い銀河ほど後退速度が速いという直接の観測はないから、銀河が後退しているという直接の観測ではない。銀河の赤方偏移からの推測である。混同してはならない。

(注:以前述べたように、赤方偏移は、光が物質に当たってエネルギーを失うことでも起こる。銀河の光が、宇宙間の水素やいろいろな原子や分子に当たって、その電子を動かすことで、エネルギーを失うことはあり得る。

そして、銀河の光が、宇宙空間で、水素を筆頭に、さまざまな物質に衝突しているのが銀河の光のスペクトルで証明されている。

宇宙がどこもほぼ同じであるとすると、距離に比例して、光と銀河間物質との衝突が増えるから、赤方偏移も、距離に比例して大きくなることになる。ハッブルの観測と矛盾しない)

 

B 太陽系は、宇宙膨張の影響を受けているか。

太陽系ができてから46億年間に、太陽系が宇宙膨張の影響を受けたという観測はない。太陽系は膨張していない、とビッグバン論者も認めている。太陽の重力が、空間膨張より大きいから、影響を受けないという説明である。そうだろうか。

 ビッグバン論者は、宇宙膨張は巨大な銀河団を軽々と動かしていると言っている。光速を超える速度まで加速させていると主張している。その巨大な力が、どうして、銀河団に比べると、ケシ粒にもならない太陽の小さな重力に打ち勝てないのか。非常に疑問である。

 仮に、太陽の重力が空間膨張に打ち勝つほど強いとするとしても太陽系の空間が膨張していることによる力は、太陽系の惑星の公転などに少なからず影響を与えるはずである。太陽よりはるかに小さな、惑星の引力が他の惑星の軌道に少なからぬ影響を与えていることから考えても。ところが、太陽系の惑星や小天体の公転は、太陽と、惑星や、小天体の重力だけで計算して軌道が一致する。ということは、空間膨張の力は太陽系では一切働いていないということである。

反対に、太陽系には、空間膨張の力が存在しているという証拠はひとつもない。

膨張はない、とする証拠は存在するが、ある、という証拠は存在しない。

このことから、太陽系には空間膨張の力は存在しない、すなわち、空間膨張は存在しないということがいえる。

 

C 銀河系は宇宙膨張の影響を受けているか

 銀河系は、誕生から100億年たっているといわれている。その100億年の間も、ビッグバン論者は、宇宙は大きく膨張したという。しかし、銀河系はそれによって膨張した形跡はない。宇宙膨張に伴い、銀河系が200倍とか1000倍に膨張したという証拠はない。

 ビッグバン論者も、銀河系はその重力が膨張に打ち勝って膨張しないと言っている。膨張していないということを認めている。もちろん、膨張より重力が強いというのは言い訳に過ぎない。膨張の力がどれほどかわかっていないし、膨張の力が星を動かす仕組みも解っていないのだから。

ここでも、膨張はない、とする証拠は存在する。しかし、あるという証拠は存在しない。

銀河系にも宇宙膨張の影響はないといえる。すなわち、銀河系には、宇宙膨張はないといえる。

D 銀河系近辺の宇宙は膨張しているか

 銀河系と、アンドロメダ銀河とは、接近しているという観測がなされている。二つの銀河間には空間膨張は観測されていないということである。これも、空間膨張より、銀河間の引力が強いということで説明しているが、銀河団を動かすという巨大な空間膨張の力がそれよりはるかに小さい銀河を動かすことができないのはどうしてだろう。

 膨張の力が少しも働いていないということは、その力が銀河系とアンドロメダ銀河の間にはないということでもある。もちろん、銀河系と、アンドロメダ銀河との間の空間が膨張しているという直接の観測はないし、それがあったとしたら起こるであろう、両銀河の動きの変化も観測されていない。

 ここでもやはり、膨張はない、とする証拠は存在するが、あるという証拠は存在しない。

 


結論

 これらの現象は、近くて、観測が正確にできるところには空間膨張は存在しないということを示している。ビッグバン論者も、地球から、アンドロメダ銀河以内には宇宙膨張の現象はない、とこれを認めている。

ビッグバン理論では、銀河どうしではなく、銀河団同士の間で空間膨張の力が働いて、銀河団同士が遠ざかっているという。すなわち、非常に遠くて、観測が不正確なところには、空間膨張が現れるということになる。なんのことはない。まだ、望遠鏡ができたころに、火星に運河を見た人たちがいたのと同じ現象である。

 宇宙膨張も、ハッブルが赤方偏移を見つけたころは、銀河同士が離れて行っているという理論だった。その後、観測機器の発達とともに、銀河どうしは膨張しない、膨張するのは局部銀河群どうしになり、いつの間にか、銀河団の中は膨張しないになり。膨張するのは、銀河団どうしの間だけになっている。銀河団は非常に遠いからね。そのうち、観測機器の発達で、近くの銀河団同士は膨張しない。膨張するのは、遠くの巨大構造だけだ、ということになるだろう。まあ、御苦労さまです。でも、その時は、ビッグバン論は過去の遺物になっているだろう。あんなに科学者を信じさせていた天動説と同じように。