「村山博士が語る宇宙の果てをめぐる最新宇宙論」(Newton2013年5月号)への疑問4

著者 高田敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)


 



問題4 {宇宙は膨張しているので,光源は現在もっと遠ざかっています}

p28、29の図には、{宇宙誕生38万年後}の光源の位置を、{現在地球がある場所}を中心とした半径4300万光年の球の表面にあるように書いてある。そして、{宇宙誕生後137億年後(現在)}の光源の位置を、{現在地球がある場所}を中心とした半径470億光年の球の表面にあるように書いてある。

 

考察                                                    

このことから、光源は、宇宙誕生後38万年後から今日までに、136億9962万年間に469億5700万光年移動したということになる。

 このことから、光源は、平均光速の3.4倍の速度で移動したということが推測できる(469億5700万光年÷136億9962万年=3.4276倍)。もちろん平均である。ビッグバン論者は、距離が大きくなると膨張速度も速くなると言っているから、最初はゆっくりで時間とともにどんどん速くなっているのだろうと推測できる。村山氏は膨張速度については書いていないのでもちろん推測であるが。

(1) 空間膨張と光の速度

 地球とそれを取り巻く光源の間が、平均して光速の3.4倍の速度で離れていくとき、光源から出た光は、地球に届くのだろうか。空間が光の速度より速く伸びるのだから、光はいつまでも地球に到達しないはずだ。村山氏の理論によるとそうなるはずだ。

ということは、{宇宙誕生後137億年後(現在)}の光源からはいつまでたっても光が届かないのだから{観測可能}な光源ではないはずである。いつから、光源が光速を超えたのかは書いていないから不明だが、離れる速度が光速になったときから空間の伸びる速度が光の速度を超えるので、そこからの光は{現在地球がある場所}には届かなくなるから、観測不能になるはずである。

4300万光年の距離でさえほぼ光速で離れているのだから、1億光年も離れると、光速を超えるのではないだろうか。10億光年なら確実に光速を超えるだろう。するとそこの光は、永久に地球には届かないから、見えないことになる。

ところが、今、10億光年どころか100億光年先まで見えているという。1億光年先の銀河の光は、1億年過去の光と言う。1億光年を1億年かけてやってきている。距離÷速度=時間で計算している。その「距離」に空間膨張分は入っていない。4700万光年に、137億年かかったというのに、である。

今1億光年先に見える銀河の光が出たときは、{現在地球がある場所}とその銀河までの距離は非常に近かったという言い逃れがあるかもしれない。このことを考えてみよう。4700万光年の距離で、137億年かかるのだから、1億年で到達するには、単純計算すると、{現在地球がある場所}と、光を出したときの銀河の間は約35万kmほどである。太陽と地球より近くなくてはならなくなる。地球はそちらの銀河に飲み込まれてしまう。まあ、近いと膨張速度も遅くなるから、もっと遠くになるのだろうけれど、少なくとも、4700万光年よりはずっと近くになければならないはずである。
村山氏の理屈ではそうなるけれど、いま観測されている1億光年先の銀河は、1億年前には1億光年先にあったと考える方が理屈に合う。

では、地球から、5000万光年離れた銀河からの光はどうだろう。4700万光年離れていると、137億年かかるのだから、5000万光年離れた銀河の光は、137億年以上かかって地球に到達することになるはずだ。すると、宇宙年齢を超えるから、まだ、地球には光は届いていないということになる。

今から、4700万年前、{現在地球がある場所}から4700万光年離れたところの銀河から出た光は、宇宙膨張の為に間の空間の距離が延び、地球に到達するには、あと136億6300万年かかることになる。

そうだろうか。現在観測されている数多くの銀河や銀河団は、いつの時代の銀河や銀河団なのだろうか。村山博士の宇宙論は観測事実とまるで合わないと言える。しかし、その説明はない。

(2){光源}の速度と、地球の速度と天動説

{光源}と地球の間の宇宙空間が膨張するというのだから、互いに同速度で離れていくはずである。{現在地球がある場所}は動かずに、{光源}だけが動くということはないはずだ。すると{宇宙誕生38万年後}から、{宇宙誕生後137億年後(現在)}まで、{光源}と{現在地球がある場所}は、平均して光速の3.4倍の速度で離れているのだから、互いに、光速の1.7倍の速度で反対方向に移動しているはずである。

 いま地球は{現在地球がある場所}にあり、背景放射(ここに書いてある、宇宙誕生38万年後の光といっている光)に対して、369km/秒の速度で移動しているのが観測されている。銀河系は、600km/秒ということだ。光は宇宙空間を一定の速度(光速)で動いている。すると、その光に対しての速度であるから、地球も宇宙空間に対して一定の速度で動いているということになる。これは、空間膨張の影響ではなく、地球や、銀河系の固有運動である。{現在地球がある場所}にある地球は空間膨張では微動もしていないということだ。

現在も、{光源}は、地球から遠ざかっているはずだ。その離れる速度は、光速の3.4倍以上のはずだ。ハッブル定数は距離に比例して、速度が速まるということだから、現在は、もっと高速で離れているはずだ。その後退速度のすべてを{光源}が荷ない、地球は369km/秒を維持し続けている。なんとも不可思議なことだけれどありがたいと言わなければならない。光速の1.7倍もの速度で地球が吹っ飛んでいたら、太陽の光が地球に届かなくなってしまう。人類滅亡である。

どのように考えてこのような距離に光源だけが動いていったのか書いていないので不明であるが、実際に、巨大な銀河や、それが集まった超巨大な銀河団や、それらが作る巨大大構造が、光速の数倍の速度で、一方的に地球から遠ざかっているというのは、お話としては面白いが、現実としては不可能なことである。地球を1km/秒で飛ばすことさえできないものが、地球の1084倍(ビッグバン論者を真似してみました。もちろん適当なでたらめの数ですが、84乗倍などと書くと、それでもとてももっともらしくなりますねえ!でも、中にはあるかもしれませんよ。銀河団なんてうじゃうじゃあるみたいだから)もの質量がある銀河団を30万km/秒の数倍の速度で吹っ飛ばすなど不可能である。「言うは易し行うは難し」である。言うだけなら、魔法だって、テレポテーションだって、タイムマシーンだってお茶の子さいさいでできる。そんなことないというなら、ドラエモンを見るといい。なんでもできちゃってる。この本のお話も、なんだってありで、ドラエモンのポケットと何ら変わりがない。必要ならなんだって出てくる、もちろん実証も理論もないのはドラえもんのポケットと同じである。

 ということで、地球は宇宙の中心に止まっているが、光源は、巨大な銀河団や、巨大構造を抱えて、光速の3.4倍の速度で、地球から全方向に一目散に離れていっているということのようです。天が動いている!素晴らしい魔法に拍手喝さい!

(3){現在地球がある場所}が中心の図と天動説

{現在地球がある場所}から{光源}が全方向に遠ざかっている図が載っている。次にこのことを考えてみよう。

{現在地球がある場所}から、北の方向にある{光源}は、空間膨張で光より速い速度で北に向かって離れている。南の方向にある{光源}は空間膨張で{現在地球がある場所}からやはり北の{光源}と同速度で反対方向の南に遠ざかっている。真ん中にある{現在地球がある場所}は地球を乗せて両方から押されてどちらの方向にも動けない。

この関係が全方向で起こる。{現在地球がある場所}は球の中心にあってどの方向にも動けない。{光源}も遠くの銀河も、総てが宇宙空間膨張の為に{現在地球がある場所}から遠ざかる方向に動いているから、中心にある{現在地球がある場所}だけは微動もできない。この観点からも、この本では天動説になるしかない。

(4)実際の観測から

 実際の観測でも、{現在地球がある場所}にある地球や、太陽や、銀河系や、銀河系の近辺の銀河は固有運動はしても、空間膨張の影響では動いていない。すなわち{現在地球がある場所}を中心とした数百万光年の範囲は空間膨張の影響はないようである。すべての星は固有運動をしているだけなので、地球も数百キロメートル秒で動いている地動説になる。ところが、それ以上離れると、空間膨張なるものがわがもの顔にしゃしゃり出て、はばを利かせ、天動説になるというわけだ。


結論

近くて観測が正確にできるところには現れず、観測の正確にできないところには顕著に表れる。ビッグバン宇宙論特有の現象である。

{宇宙は膨張しているので,光源は現在もっと遠ざかっています}ということが間違いなのである。

問題は、宇宙が膨張すると、どのようにして、{光源}が動かされるのかの、理論も観測事実も実験もないのに、それがあると言い切っていることである。

巨大な銀河団や、それらが集まった、巨大構造が空間膨張で動くというのである。巨大構造は、銀河団の巨大な引力で結びついている。それを、引き延ばすというのである。それも、光速を超える速度である。その巨大なエネルギーはどこから出てきて、どのようなエネルギーで、そのエネルギーがどのようにして物質に働きかけるのかの理論も実証もない。謎のエネルギー(ダークエネルギー)だ、で済ましている。

 そのエネルギーは、ちっぽけな太陽の引力で結びついている地球の公転の軌道さえ微動もさせられないのである。さらに小さな地球の引力で結びついている月の軌道さえ変えられないのである。ところが、銀河団をあっさり光速で動かしているというのである。まあ、つじつまの合わない突拍子もない話である。

 {宇宙は膨張しているので,光源は現在もっと遠ざかっています}ということが、理論も実証もない、空論であるということである。だから、矛盾しか生まれなくなるのである。