「村山博士が語る宇宙の果てをめぐる最新宇宙論」(Newton2013年5月号)への疑問11 

著者 高田敞 (2013,8,16)

       

 (以下{ }内は、上記本よりの引用)
問題1

{現在地球がある場所}と{観測可能な宇宙}(P28,29の図より)

考察

宇宙誕生38万年後には、すでに{現在地球がある場所}は{観測可能な宇宙}の中心に鎮座し、その後、137億年間、{現在地球がある場所}を中心にして{観測可能な宇宙}が膨張している図から類推できる。

 すると、この宇宙は、{現在地球がある場所}が中心であるということになる。それでいいのだろうか。

問題2

ビッグバン宇宙と、{観測可能な宇宙}との位置関係

考察

難しい問題である。

 今、我々の宇宙は3次元である。その他の次元は、紙の上の理屈にはあっても、観測されたこともないし、実験で証明されたこともない。だからこの世は3次元であると言い切れる。

3次元の場合、爆発して飛び散ると、爆発地点が爆発の中心になる。宇宙も1点からビッグバンという爆発で始まったなら、爆発の最初の地点がビッグバン宇宙の中心になる。

この中心と{現在地球がある場所}が同じ処になるなら、{光源}はどの方向にも、同じ速度で膨張するので、{現在地球がある場所}を中心とした球の表面に光源があることになる。地球が宇宙の中心になる。天動説になる。

ビッグバンの爆発地点と、{現在地球がある場所}が異なる場合、{光源}はビッグバンの中心から等速で遠ざかるから、{現在地球がある場所}を中心とした球状に{光源}が移動することはないはずだ。

 ビッグバン論者は、宇宙に中心はない。空間はどこも均等に膨張するから、どこが中心で、どこが端かは言えないと言っているようだ。

このことを考えてみる。

以前、宇宙膨張の仕組みについては、よく風船が膨らむ様子で説明されていた。

風船の表面に{現在地球がある場所}の点を書く。そこを中心に円を書く。この円周を{光源}とする。風船を膨らます。すると、風船の膨張につれて、{現在地球がある場所}を中心にして、{光源}が広がっていく。遠いほど膨張速度は速くなる。これだと、{現在地球がある場所}は動かずに、そこを中心として、{光源}は円周状に膨張していく。このとき、風船の膨張の中心は風船内にある。そこから、風船の膜は均等に外側に向かって膨張していく。膜に書いた{現在地球がある場所}は、風船の内部の中心から外側に移動している。風船の中心をビッグバンの始まったところということにする。

うまくいきそうである。しかし、これでは、{光源}は膜の円周上にあることになる。この本の図にあるように球状にはならない。これは、風船の立体部分を無視していることから来る。宇宙にすると、ビッグバンの地点から、宇宙は膜状に膨れて行くことになる。観測されている宇宙は膜状ではない。風船で説明するには限界がある。

そこで、ぶどうパンで説明していたのを見たので、それで考えてみる。

パン生地の中に、葡萄を1個入れる。その周りに等距離に球状に胡麻を入れる。それを膨らませる。葡萄がパンの中心でない時は葡萄は移動していく。胡麻も、それにつれ移動しながらブドウから等距離に離れて行く。このとき、パンの膨張の中心から一番遠い胡麻粒から一番近い胡麻粒の速度を引いた半分の速度で、ブドウは動くことになる。

これだと、{現在地球がある場所}を宇宙の中心としなくても、{現在地球がある場所}と{光源}の関係が成り立ちそうだ。うまくいきそうだ。

ではこれを現実に当てはめてみる。

 地球が宇宙の中心でないと仮定すると、{現在地球がある場所}もビッグバンで吹き飛ばされて、空間膨張の為に飛んでいるはずである。このとき、{現在地球がある場所}はビッグバンの爆発地点と{現在地球がある場所}の延長上の遠いほうの{光源}の速度から、{現在地球がある場所}とビッグバンの爆発地点に近い方にある{光源}の速度を引いた半分の速度で動いているはずだ。

 問題は宇宙膨張の速度である。

137億年の間に、{観測可能な宇宙}は470億光年膨張したと書いてある。これは光速を超える速度である(約3.4倍)。{光源}は、{現在地球がある場所}から、平均して、光速の3.4倍の速度で離れて行ったということになるから、{現在地球がある場所}は少なくともその半分の速度で宇宙空間を飛ばなくてはならない。光速の1.7倍である。だが現在の地球、すなわち、{現在地球がある場所}は、空間膨張では、少しも動いていない。万有引力の為に動いているだけである。もし、地球が光速の1,7倍もの速度で動いていたら、太陽の光も、星の光も、ドプラー効果で極端な変異を起こしているはずである。ところが、それは観測されていない。いま観測されている宇宙背景放射の光に対するドプラー効果は地球の万有引力による固有運動に一致する。空間膨張の影響はないと言える。地球は空間膨張では動いていないと言える。葡萄パンの比喩を現実の宇宙に適用するのは難しいということだ。

 {観測可能な宇宙}が{現在地球がある場所}から同距離の球面状に{光源}移動させるためには、{現在地球がある場所}はビッグバンの爆発地点になくてはならないといえる。

 地球が宇宙の中心になるしかない。これも天動説しかなくなる。

 まあ、P28,29の図では、光源も、宇宙の大構造も、地球を中心に膨張している図なのだからから天動説しか出てはこないのは当然でもある。

 なぜ今、天動説が復活するのか。疑問に思う。

 

問題3

このことから派生する問題

(1) 光は届くか

 地球と、{観測可能な宇宙}との間は、光速の3.4倍の速度で広がっているということはそれだけ距離が延びているということである。1秒間に102万km伸びている。ところが、光は、1秒間に30万kmしか進まない。到底地球には届かないはずだ。観測可能とはいえなくなる。

(2)空間膨張の速度比較

 ビッグバン説では、距離に比例して、膨張速度が速くなるということである。4300万光年の空間を超えてくるのでさえ、空間膨張の為に光は137億年もかかったといっている。470億光年の空間が膨張するのに光はとても追いつけないはずだ。

(3)1点から膨張するビッグバン宇宙の、{現在地球がある場所}側の半球を考える。

 上のことは、ビッグバンの最初の1点から見て、地球より同方向で地球より遠くに飛んだ宇宙の地点を考えたときのことである。では、ビッグバンの最初の1点と{現在地球がある場所}との間にある{観測可能な宇宙}の端{光源}はどうなっているだろう。地球より速い速度で遠くに飛んだ{光源}と、地球より遅くて、まだ、爆発地点に近いところにある、{光源}との比較である。

今、地球は秒速367kmで宇宙空間を飛んでいる。したがってそれに対して、地球より、ビッグバンのあった場所に近いところの{観測可能な宇宙}の端にある{光源}は、地球に対して、光速の3.4倍の速度で遠ざかっているのだから、−の光速の3.4倍になる。これでは地球と反対方向に飛ぶしかないから、ビッグバンでできた宇宙の同半球に存在できない。光源はビッグバンの中心から地球と反対方向に飛んでいるということになる。

(4)上のことからわかること

上のことはこの図からも想像できる。このことは、この著者も、現在地球がある場所から光源はどの方向にも同速度で遠ざかっていると言っている。すると、地球はビッグバンのあった場所とほぼ同じ位置にあることになる。{現在地球がある場所}が、宇宙の中心になければならないことになる。やはり、地球中心説、天動説になる。地球はビッグバンと共に生まれ(素粒子の形であった)、それから少しも動いていないということだ。まあ、秒速367kmでは、光速の数倍の速度で膨張している銀河団には当然置いてけぼりをくらうわな。

(5)地球の動きの原因

この367km/秒は地球が、地球自身や、太陽や、銀河系や、他の銀河の万有引力の作用で動いている固有運動で、決して宇宙膨張の影響ではない。巨大な全宇宙を膨張させ、全銀河団を光速で吹っ飛ばしている空間膨張の力は、なぜか、ちっぽけな地球に対しては何にもしないのである。今現在、地球が宇宙膨張の力が原因では1mmも動いてないということは、過去にも宇宙膨張の影響では動いていないということである。やはり、地球こそ、神に与えられた、宇宙の中心であるということなのだろうか。ローマ教会がとても喜びそうな話である。