宇宙空間不思議の6
著者 高田敞
アラン・グースの「インフレーショナル・ユニバース」の紹介  

 インフレーションビッグバン説では、最初1センチとか10センチとか、この宇宙にすれば、ないに等しい大きさ(150億×365×24×60×60×30万×1000×100分の1とか10)までしか広がらなかったという説を紹介しました。トテモ遠慮深いことです。
 それに対して、アラングースという人の「インフレーショナル・ユニバース」という論はまあ、ひとつの遠慮もありません。

 この人の、ビッグバン説によると、宇宙の年齢が、1/10の35乗秒のとき、宇宙は10の50乗倍から、10の100乗倍に膨張したといいます。
 これは現在見えるだろうといわれている、半径150億光年の宇宙の10の45乗倍くらいの大きさになるそうです。どう計算すればこんな答えが出るのか分からないけど。(元の大きさが分からない。50乗倍と100乗倍ではめちゃ違うはずなのに答えがひとつとは。)
 150億に、まだ0を45個もつけるんですからね。まあ、ほとんど無限といっていい大きさですね。といっても、限りがあるから無に等しいのには違いがないかも。
 どうしてこんなことを考えたかというと、宇宙の地平線問題、平坦性問題、モノポール問題が解決されるからだそうです。一瞬(一瞬もここまで短いと、一瞬ともいえないくらいですね)でこんなことが起こったんだそうです。
 すごいエネルギーですね。見えるこの宇宙だけでも、1千億も太陽を含んだ銀河が、1千億個はあるだろうというのに。ダークマターはその10倍とも100倍ともいわれてるのに、その何千乗倍(体積だから)もの物質が、一瞬で飛び散ったんだから。まあ、たった1個の星の残骸であるブラックホールでさえ、光のスピード以上のスピードの爆発がないと広がれないというから、全宇宙の物質が爆発で広がるには、それぐらいのスピードが必要かも。でもそのエネルギーたるやものすごいですね。それに、まあ、よく均等に広がったこと。
 するとここで疑問がひとつ。宇宙が膨張しているということの証拠だといわれている、ハッブル定数はどうなるのだろう。一瞬で、この宇宙より大きくなってるんだから、その後の現在までの膨張をいくら測ったところで、爆発の最初の一点には行き着かないのではないだろうか。
 たとえば、羽田空港を這っているカタツムリを考えてみよう。その速度と向きを計って、カタツムリがどこからやってきたかを一生懸命考えてるのに、実際はそのカタツムリは、中国からジェット機で来た白菜にくっついていたとしたらどうだろう。いくら、カタツムリのスピードや向きを計って計算しても中国の畑は出てこない。
 ハッブル定数で、いくら計算しても、それはインフレーションが終わった地点に行き着くだけである。もう、すでに現在見える宇宙より遥かにはるかに大きくなってしまっている宇宙である。決して始まりの一点ではない。カタツムリで言えば、羽田空港で白菜から落ちた場所である。真の出発点、中国の畑に行き着くには、ジェット機のスピードと向きを考えなければならない。カタツムリのスピードなどいくらがんばっても誤差の範囲にも入らない。
 アラン・グースのインフレーションは間違っているということだろうか。それとも普通のインフレーションが間違っているということなのかな。あるいは二つとも。まあこの説もひとつの説だろうけどね。
 でも、ちょっと面白い。宇宙は、ある日あるとき(138億年前などというちゃちい年月じゃなく。いつでもいいんだから。まあ、昨日は困るけど。)ぽんと出現した。ってことだから。138億年もかけて、少しづつ膨張してきたなんてまどろっこしいことなしに、一瞬より短い間に、ほとんど無限のかなたまで、ぱっと宇宙になったなんて。
 これってほとんど定常宇宙論(宇宙は最初からあった)?
03年11月11日並刻記

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