へんろ旅 19日目(晴れ)
37番岩本寺
(足首から下の腫れは引かない。ただ、足摺までは行こうと思う。遠いなあ)

 山際に 光のぼりて 木々柔らかし
 南の海 山差し迫り 朝日さす
 焼坂で 独り座りて 鶯の声
 今日もまた 同行二人 黙していかん
 春草の 広がる田の中 ただ一人
 (そえみみずへんろ道にはいる。お接待場がある)
 せせらぎに 桃の花散る 山の道
 聞こえるは 荒き息のみ 雑木山
 息苦し あざ笑ってる 鳥の声
 山の道 木漏れ日の 点々と
 鳥さえも 遠くで鳴いてる 登り道
 山道に 息荒く 心荒く
 黒竹も 心乱れてるのか 寮寺跡 鶯だけが 経を読む
 見晴るかす 山はるか ぼうぼうの海
 春霞 空も海も 一緒くた
 あの海の 果てへいつか 踏み込まん
 山桜 残りの色を 空の中
 今日もまた 山路の菫 笑ってる
 枯れ葉踏み 木々のトンネル 抜けていき
 谷渡る 鶯に送られ 山を出る
 あの山の 端越え行かん 春の風
 おねえさんに 道尋ね 元気だし
 山の間の 家並み遠く 夕日さし
 (気持ちはずいぶん立ち直ってきた。)

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