第15章 相対性理論の一般的成果


1 問題1

 (古典力学は、まず特殊相対性理論の要請と調和させるために、ある修正を必要とする。しかし、この修正は、物体の速度vが光速に比べてそれほどは小さすぎることのない高速運動に関する法則にのみ、本質的には必要なのである。われわれの経験では、そのような高速の例としては電子とイオンの運動しかない。その他の運動では古典力学との法則とのずれが小さすぎて、実際には目立たないのである。)

2 考察1

(1)(物体の速度vが光速に比べて)

 光速はアインシュタインの特殊相対性理論でも絶対速度Cです。したがって、それと比べている物体の速度も絶対速度になります。これは、光以外の物体の速度は相対的であるという特殊相対性理論に反しています。特殊相対性理論では、物体の速度は、基準体をどこに置くかで変化するので、何が高速で、何が低速かは決められないことになっています。

 車Aと車Bを比べてみます。道路を基準体にすると、くるまAは時速60キロで走っています。車Bは時速40キロで、同じ方向に走っています。アインシュタインはこのことをいっているようですが、これは地表を仮の静止基準としている、ガリレイの相対性原理です。この仮の基準は地球表面の慣性運動のエネルギーを共通に持っているものにしか適用できないことは前に述べました。したがって太陽に適用すると、天動説になるということでした。

 では、特殊相対性理論で考えてみます。車Aを基準体にします。車Aは停止しています。車Bは、時速20キロで、後ろ向きに走っています。車Aは基準体だから、止まっているので、車Bが速くなります。今度は車Bを基準体にします。車Aが時速20キロで、前方へ走っていきます。車Bは止まっているので、車Aが速くなります。このように、特殊相対性理論では速度は特定できなくなります。

 実際、相対性理論の展開の中で、本当は、宇宙空間を秒速400kmで動いている軌道堤を基準体として、絶対静止としたり、太陽を、静止としたりしています。このように、特殊相対性理論では基準体をその上に持っていくと、その物体は静止になります。しかもそれを絶対静止だと言明しさえしています。

 ところがここで使っている物体の速度は、特殊相対論以外の力学による速度です。すなわち、物体はそれ独自の速度を持っている、速いものは速い、遅いものは遅い、という、絶対速度の考え方です。宇宙のすべての運動は絶対静止の空間座標から測るという、ガリレイや、ニュートンの考え方です。これは特殊相対性理論が否定している考え方です。ところがこれを知らん振りして何気なく使っています。論理に矛盾があります。

(2)(実際には目立たないのである。)

 実際には目立たなくても、科学的に検出する必要があります。目立たないからといって、それを検出しなくてもいいということにはなりません。日陰のものにも、公平に光を当てるのが科学です。

 実際、13章では、フィゾーの流体の実験で確かめられたといっています。流体の速度くらいで検出されたのだから、それより速いほかのものなら必ず検出されなければならないはずです。宇宙空間での地球の運動は、流体など比べ物にならないくらい速いのですから簡単に検出されなければならないはずです。それが検出できないのは、目立たないからではなく、その現象がないということなのではないでしょうか。

 これは、現実にそのずれが観測できないことへのいいわけみたいです。普通なら、観測できないということは、その現象は存在しないという証明になります。容疑者は犯行現場にいなかった、という不在証明のようなものです。それでは特殊相対論は一切現実と相容れないということになってしまうので、観測できなくてもいいように言いぬけているような気さえします。もし低速で観測できないなら、なぜ、フィゾーの実験だけ観測できたのかについての理由を説明しなければなりません。


3 問題2

 (相対性理論によれば、質量mの質点の運動エネルギーは、・・・速度vが光速度cに近づくと無限大になる。したがって、いかに大きなエネルギーを使って加速しようとも、速度はつねにcよりも小さくなる。)

4 考察2

(高速運動の例としては電子とイオンの運動)をあげています。これらは、光速になっていることが確認されています。先に書いたように、空気中や、水中では光速を追い越しているのが観測されてさえいます。実際は光が空気中や、水中で速度を落としているから、電子が光を追い越しているのですが。どちらにしろ、電子が光速になっているのには変わりありません。(速度はつねにCよりも小さい)という、特殊相対性理論に反する現象です。

 また、ローレンツ変換の式では、物質の質量は(速度vが光速度cに近づくと無限大になる。)といっています。ところが、光速で飛ぶ電子や、イオンは、質量が変わっていません。光速で飛ぶのだから、質量は無限大にならなければならないはずです。すると、質量が無限大の電子が、光速度で地球に毎日無数にぶつかっていることになるはずです。地球は、壊滅的打撃を受けるはずです。

 低速のときだけでなく、物質が、光速度になっても、ローレンツ変換の効果を観測することはできていません。

 ことから、ローレンツ変換の予測する現象は現実には起こっていないということがいえます。

(2)特殊相対性理論の定義との矛盾 

 考察1で述べたように、特殊相対性理論では、すべての物体の運動は、任意の基準体から計ることになっています。電子の速度も、基準体を地球にとっているから高速になるだけです。電子を基準体にすると、電子の速度は、0になるはずです。

 特殊相対性理論では、光の速度以外は絶対ではなく、相対速度であるというのだから、電子やイオンが、高速の例というのは論理に矛盾します。ちなみに、電子を基準にすれば、地球がその反対方向に、高速になっていることになります。

 特殊相対性理論の大きな矛盾点です。カミオカンデの水槽の中で、電子が光を追い越したとき、その電子を基準体にすると、地球が、反対方向に、光を追い越す速度で飛ぶということです。

 地球上空では、毎日、無数の宇宙線が大気と衝突して、電子を突き飛ばしています。その速度はやはり光を追い越します。それを基準にすると、やはり地球は、それと反対方向に光を追い越す速度で飛びます。しかも、無数の宇宙線は地球の全方向から飛び込んでくるので、地球は、毎日、全方向に向かって光速で飛んでいなければなりません。

物の運動は相対的であるということが間違いであるという明らかな証拠です。


5 問題3

E=mc

6 考察3

 この式で示されるとされる原子核エネルギーは、特殊相対性理論で唯一実際に起こっている現象かもしれません。

 これは、私が唯一明確な反論ができないことです。

 ただ、マックスウェル‐ローレンツの式ではそうなるとしても、なぜ、かける光の2乗(×c)になるのかという自然界の原理は今のところ誰も明確には答えが出せていないようです。

 上に書いたように、光速度の時にもローレンツ変換は現実には起こっていません。また、アインシュタインは、ローレンツ変換が、低速のときは、ガリレイ変換になるといっています。

 このことから、ローレンツ変換は低速域から光速域まで、現実にはその現象が起こっていないということがいえます。残るは、停止しているときだけです。そのとき、E=mcになるということです。

 速度が0以外では、現実に何一つ起こっていないのに、速度が0のときだけは現実におこっているというのはかなり疑問です。

 すべての宇宙の実際の現象は、ガリレイ変換で計算してぴったりで、ローレンツ変換の入る余地は少しもないのですから、質量と、エネルギーの変換もローレンツ変換と関係ないのかもしれません。

 このことは、今後、なぜ(×c)になるのかが究明されたとき、真相がわかるのではないでしょうか。太陽では本当に質量がエネルギーに変わっているのか。あのエネルギーは他のことが原因である可能性はないのか。たとえば、弱い力や強い力が原因ではないのかとか、ほんとうに(×c)でいいのかということを、もう一度一から考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

 しかし、現在のところ、原子力という現実の力を説明できそうなことから、そのことに関してはローレンツ変換が優位である事項であることには変わりがありません。

 

 

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第16章 特殊相対性理論と経験