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宇宙空間が膨張するとは,どういう意味か(Newton2016,3)

についての考察9

2016年5月24日

田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

問題

 インフレーション

この本の主張

・ 地平線問題

背景放射が均一な温度であることが、問題。

・ 平坦性問題

観測では宇宙は平坦である。なぜ曲がっていないのかが問題。

 この二つの問題を解決できるのがインフレーションというのがこの本の主張。

この本に書かれてあるインフレーションの問題点

・ インフレーションのメカニズム

未解明。さまざまな説が乱立

・ 継続時間

不明

考察1

 インフレーションがあると、地平線問題と平坦性問題が解決できるからインフレーションがあることにしようということのようだ。インフレーションの科学的メカニズムの理論がなく、もちろん実証もない理論は科学の方法論では仮説にも入らない。インフレーションビッグバン論者の願望にしかすぎない。

考察2

(1) 地平線問題の解決

背景放射の温度がほぼ同じ、という問題

定常宇宙で背景放射は宇宙の塵が出す電磁波、とすれば、ほぼ同じ温度であることの方が当たり前。ビッグバン宇宙だから変になるということ。

このことから、観測事実は、ビッグバン宇宙より、定常宇宙の方を示しているといえる。

理由

 この宇宙のすべての物質は、定常宇宙だと、おそらく何百億年以上、電磁波で熱を交換している。したがって、宇宙の塵は長い年月をかけて、宇宙の平均温度になることになる。平均温度にならない方が変なことだ。これは言うまでもないが普通にある、熱は高い方から低い方に移動するという物理現象だ。熱したフライパンも、ほっておくと、空気と同じ温度になる。これと同じ普通の現象だ。原理は簡単だ。熱は分子の振動だ。フライパンの分子は振動が大きい。周りの空気は振動が小さい。大きな振動が、小さな振動の空気分子を動かし、エネルギーを取られ振動が小さくなる。空気はエネルギーをもらって振動が大きくなる。フライパンの温度が下がり、空気の温度が上がる。やがて同じ振動の大きさになり、温度が同じになる。理論も実証もある。

 これと同じ現象が宇宙で起こったにすぎない。

エネルギーを交換させたのは電磁波である。宇宙空間の物質は温度に応じた電磁波を出している。これを黒体放射という。温度の高い物質はエネルギーの高い電磁波を出し、温度の低い物質はエネルギーの低い電磁波を出すので、温度の高い物質ほど、温度が下がる率が高くなる。温度の高い物質からエネルギーの高い電磁波が出ると、それが、他の物質にあたって温度を上げる。温度の低い物資は温度が上がる。互いに電磁波でエネルギーを交換し、やがて、同じ温度になって安定する。

 背景放射の2.7Kという温度は、宇宙の塵の平均温度であるということだ。2.7kの塵の出す黒体放射が宇宙背景放射である。ありきたりの、理論も実証もある現象で説明できる。

インフレーションのように、超々々々々々光速という、理論もなく、実証もない(今まで地球上でも、地球から観測できたすべての宇宙でも一度も片鱗すら観測されたことがない)現象を必要としない。

 

(2) 平坦性問題

 平坦性は最初から無限の空間があったとする定常宇宙論なら何の問題も起こらない。3次元は基本的に平坦なのだから、平坦が観測されるのは当然である。

(最初から無限の空間があったというのは証明できていない。無限がわからないのだから。しかし、これはインフレーションビッグバン説でも同じである。インフレーションが始まった1点の外は何があったのか、ビッグバンが始まった1点の外は何があったのかという問題はインフレーションビッグバン説でも残る。その外は観測できないからほっとけばいいんだということではない。やはりそこには、無限の空間があるのではないかという疑問が残る。違いはこの宇宙空間が無限に広がっているか、この宇宙の外に違う宇宙が無限に広がっているかの違いだ。どちらも無限の宇宙が広がっているのは同じである。違いは、その無限の宇宙の中に生まれたものである。

定常宇宙論では、その宇宙のあちこちに、素粒子が長い時間をかけて点々と生まれ、やがて星や銀河になる。インフレーションビッグバン説では、その宇宙の1点だけに、この宇宙の種ができ、その中に、一瞬で全宇宙の空間と物質とエネルギーと時間が生まれる。それだけの違いだ。ただ、素粒子が生まれるのは量子論で説明できる可能性があるが、この宇宙のすべてが一瞬で生まれるというのは、量子論の範疇ではない。この宇宙は量子ではない。いくら見かけが小さくても、全宇宙の物質とエネルギーと電磁波とビッグバン論ではダークマターとダークエネルギーを濃縮している。全宇宙なのだから、見かけで判断してはいけないはずだ。中身で判断するべきだ。そうしたら、量子論を使えなくなるから、小さい、を強調してみかけで判断しようとしているのだろう。だいたいそんな小さなところに全宇宙が入るわけはないのだ。そもそもそれがおかしいのだ。地球一つだって、缶詰の缶に詰め込むのは容易なことではない。それが、缶詰の缶より小さなところに、あろうことか、全宇宙を詰め込むというのだから、想像を絶する暴挙だ。まあ、言うのは勝手だから何とでも言えるから。

結論

 定常宇宙なら、何の問題も最初から起こらない。地球上で観測される現象と同じ現象が宇宙で起こっているだけだ。

ビッグバン宇宙だから事実との矛盾が出る。矛盾を説明するために、もっとすごいことを起こさなくてはならなくなる。それがインフレーションだ。

火の玉のビッグバンの超々々々々倍の巨大爆発だ。

今後、インフレーションの上をいく爆発が出てこないことを、と思いますね。実際、この本では、背景放射のころにも、超光速の爆発があったと出てきます。初めて見た説です。

荒唐無稽な話には荒唐無稽な理由がよく似合うということのようですね。まあ、その方がありきたりのことよりおもしろいですからね。