メッセージ  体も膨張するか(前)  宇宙の大きさが0になる前(次)


宇宙空間が膨張するとは,どういう意味か(Newton2016,3)

についての考察5

2016,5,21

田 敞

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

宇宙はどこに向かって膨張している2


問題1

「膨張する球面の宇宙}

{(立方体の展開図)には,端(境界)があります。この図形を曲げ,端どうしをくっつけて(閉じて)やれば,有限の面積を持ち,端を持たない閉じた面(立方体の表面)が出来上がります。・・・これは2次元の面が,曲がって閉じているためです。}

考察

展開図は平面だから2次元です。これを曲げて立方体にしたら3次元です。縦横だけでなく、高さが現れます。明らかに3次元です。2次元の世界では平面を曲げることはできません。{2次元の面}を曲げて閉じたら、必ず3次元になります。2次元であることはできません。

 展開図では、切り口、1次元が端になります。曲げて箱にしたら、箱の表面、2次元が端になります。3次元世界では2次元が端になります。箱には表面が境界になった外と内があります。だからビッグバンも火のです。球形です。それ以外の形は、この世界にはないからです。境界は、火の玉の表面です。それがどこに向かって移動しているかが問題です。火の玉の表面をただグルグル回るだけではでは火の玉は大きくなれません。

 この世界は3次元です。それ以外の世界は今のところ観測されていません。

問題2

{「膨張する球面の宇宙」を考えましょう。ただし2次元の球面(球の表面)だけがこの宇宙のすべてで,球の外や内部に宇宙が広がっていないとします。}

考察

{膨張する球面の宇宙}ではなく普通の球を考えてみましょう。

{球面(球の表面)だけがこの宇宙のすべてで,球の外や内部に宇宙が広がっていない}というような球が存在するでしょうか。この世にあるどのような球も、球の外や内部が存在します。外や、内部が存在しない球はありません。もし、{球面(球の表面)だけがこの宇宙のすべて}としたら、人間はどこにいることになるのでしょう。飛行機はどこを飛んでいるのでしょう。山はどうしましょう。マグマはどうしましょう。月は、太陽は、星はどう解釈するのでしょうか。地球の内部がなければ地球の表面は存在できません。

この仮定は事実と異なる仮定です。事実と異なる仮定{2次元の球面(球の表面)だけがこの宇宙のすべて}を条件としたら、事実と異なる結果が出てきます。自分の理論を正当化するために、条件を自分に都合のいいように設定しては、真実の結果に行き着くことはできません。

問題3

{宇宙全体も,球面のように,ゆるやかに曲がって閉じている可能性が理論的に指摘されています。このような宇宙では,地球の表面のようにずっと“まっすぐ”に進むと、1周して元に戻ってしまうといいます。}

考察

1 実証

この考えは実証されていません。しかも、この宇宙は観測できる限り、曲がっていないということですから、この曲がった宇宙の仮説は観測上は否定されていることになります。

2 理論

この{ゆるやかに曲がって閉じている}宇宙はどのようなものか、一切分かっていません。どのようなものの表面なのかもわかっていません。3次元が表面である球体は、想像さえできない代物です。そんなものがあるわけはありません。それが正しいというなら、まずその理論を示さなくてはなりません。もちろんその実証も必要です。それができて初めて、この宇宙が何かの表面であると言えます。ないないづくしのこの考えは、仮説にもならない、おもしろいお話(SF)にしかすぎません。

問題4

{曲がって閉じた3次元の宇宙も,球面全体と同じく境界がないので,その“外”を考えることもできません。そのために,「宇宙はどこに向かって膨張しているのか?」というよくある問いは意味をなさなくなります。また、境界がないので,宇宙膨張の中心を決めることも出来ないことになります。}

このことの説明に、1領域Aが小さい場合、2領域Aがやや大きい場合、3領域Aが球面全体を覆う場合の3つの場合が図で説明がある。

考察1

{曲がって閉じた3次元の宇宙も,球面全体と同じく境界がないので,その“外”を考えることもできません。}

 上に書いたように、実際の球には中も外も存在します。中も外も存在しない球は実在しません。したがって、境界がなくても、中も外も存在するということですから、この条件は成立しません。{曲がって閉じた3次元の宇宙も,球面全体と同じく境界がな}くても{その“外”を考えること}はできます、とならなくてはなりません。

 

考察2

問題ア この本の{膨張する球面の宇宙}の図について

もちろん、この宇宙が表面である図ではなく、単なる、3次元の球の絵です。

そのものではないから、たんなる比喩です。比喩ですから、それが、3次元がゆるやかに曲がって何かの表面になっていることを表しているということはできません。まず、その証明が必要です。ところが、3次元の球の表面が、{球面のように,ゆるやかに曲がって閉じている}宇宙と同じであるという証明はなにもなされていません。する気もないようです。なぜなら、できないからです。だから、球の表面の現象で、{ゆるやかに曲がって閉じている}宇宙の現象を証明することはできません。

 

 

問題イ

 膨張する球面の宇宙の図

{注:あくまで球の表面が宇宙のすべてだと考えているので、球の内部や外部には意味がありません。}

考察

{あくまで球の表面が宇宙のすべてだと考えている}というのは勝手な考えです。

 たとえば、3次元の球を考えてみよう。あくまで球の表面がすべてだと考えているから、{球の内部や外部には意味がありません。}といえるだろうか。

・ 球の表面積は、球の内部の半径に比例する。

・ 球の表面は、球がなくては存在できない。

・ 球には内部も外部も存在する。

・ P55の図にも明らかに内部も外部も存在する。

 自分の都合で、不都合なことは、ないことにするという条件をつけるのは、科学の方法論に反する。

 

問題ウ {領域Aが球面全体をおおう場合}の図

 ア {領域Aが球面全体をおおうと,どこに向かって膨張しているかはいえなくなる}

考察

この図では、球が膨張しています。

球の表面積が増えるには、球が大きくならなくてはなりません。球の表面積は、4π×(地球の半径)です。したがって、この世界の球の表面積が増えるためには球の半径が大きくならなければなりません。もし{ただし2次元の球面(球の表面)だけがこの宇宙のすべてで,球の外や内部に宇宙が広がっていないとします。}とするなら球の中がなくなります。表面はどのようにして面積を増やすことができるのでしょう。

この図でも、球の表面は外に向かって移動しています。球の表面積が大きくなると、表面は球の外側に向かって移動します。

したがって、{球面のように,ゆるやかに曲がって閉じている}宇宙が球の表面と同じ動きをするなら、{球面のように,ゆるやかに曲がって閉じている}宇宙は、球の外側、4次元目の何かの外に向かって膨張していると言わなければなりません。

イ {領域Aの中心も決められないので,膨張の中心も決められない}

考察

球の場合、表面が大きくなる時は、球の半径が大きくなっているときです。そして、表面は、球の外側に向かって移動していきます。その時の中心は、球の中心です。高等数学では分からなくても、算数なら明らかです。

{曲がって閉じた3次元の宇宙}も、もし、球の表面のようなら、それが大きくなる時は、{曲がって閉じた3次元の宇宙}が表面である球の外側に向かって移動していき、その球の中心が膨張の中心になるはずです。

 もし、{球の外や内部に宇宙が広がっていないとします。}なら、領域Aはどのようにして膨張していくのかの説明が必要です。内部も外部もないなら、領域Aは膨張することはできないはずです。また内部のない球はこの世界に実在しないから、内部のない{曲がって閉じた3次元の宇宙}も存在しないことになります。

 

問題エ

{注:あくまで球の表面が宇宙のすべてだと考えているので、球の内部や外部には意味がありません。}というのは単なる逃げにしかすぎません。

考察

もし、{曲がって閉じた3次元の宇宙}がP55の図のように球体をしていれば、必ず、その外があります。その外は4番目の次元になると思われます。その4番目の次元の中に浮いているのが、{曲がって閉じた3次元の宇宙}になりそうです。すると、その4番目の次元はどこまで続いているのかという問題が生じます。その次元の宇宙は、静止しているのか、膨張しているのか、果てはあるのか、いつから始まったのかの問題が生じます。この宇宙と同じ問題です。いくら次元を増やしても、最後の次元の宇宙はいつ始まったのか、中心はあるのか、有限なのか、無限なのかの問題は付いてきます。

 問題をたんに先送りしたにすぎません。

 

結論

 存在しない世界を持ち出してこの世界を説明することはできません。この世界に存在しない、魔法や、神や、お化けでこの世界を説明できないのと同じです。おもしろいお話(SF)ではあっても、科学ではありません。