「相対性理論と,そこから生まれた現代物理学」(Newton6,2016)についての考察

 

著者 田 敞

2016年7月9日

 

へいこく雑記帖  相対性理論と,そこから生まれた現代物理学について目次  相対性理論と現代物理学2   メッセージ



(以下{ }内は、上記本よりの引用)

まえがき 

 相対性理論はとても難しそうだけど、相対性理論の始まりの部分は、中学校や高校の簡単な物理で考えられるようなので、考えてみます。え、そんなバカな、と思うかもしれませんが、そうなんですよ。

 ここでは「そこから生まれた現代物理学」についてはあまり言及しません。相対論の原理について主に考えてみます。主に反論です。

 

T {特殊相対論はどのようにして生まれたのだろうか}

 アインシュタインの間違い

1 「ガリレイの速度合成則」とアインシュタインの考え

― 問題 ―

アインシュタインは「ガリレイの速度合成則」を光にも適用できると考えたようです。

―本の例―

・ 「新幹線の中でボールを投げる」Aさんを静止したBさんが見る。

新幹線の速度(時速250km)+ボールの速度(時速50km)=時速300km

・ 秒速27万kmで飛んでいるAさんから前方に発射された光を静止したBさんが見る。

Aさんの速度(27万km)+光の速度(30万km)=秒速57万km

 これがアインシュタインの考えです。

これには2つの間違いがあります。

@ 間違い1 光は「ガリレイの速度合成則」を適用できるか?

 私たちが習った高校までの物理では、ニュートンの慣性の法則は光には適用できません。理由は、慣性の法則は、慣性質量を持ったものにしか適用されないからです。光は慣性質量をもちません。だから、光の場合には速度は合成されないのです。

 したがってBさんから見た光の速度が、{27万km+30万km=57万km}という計算式は成り立ちません。どの様な考えでこの式が成り立つと考えたのか、その原理の説明はありません。

 {27万km+30万km=57万km}の式を無理やり作ることで、{「ガリレイの速度合成則」と「光速度不変の原理」にひそむ大きな矛盾に気が付いたといいます}という問題を無理やり作り出したのです。

 この本には書いてありませんが、「光速度不変の原理」には、アインシュタインが述べているのとは別の「光速度不変の原理」があります。それは、「光の速度は、光源の速度に影響されない」という原理です。

 たとえば、道路を走っている車のヘッドライトの光は、車の速度に影響されないから、つねに、光速度であるということです。車の速度とは、車だけでなく、車の速度に加算されている地球の自転の速度、公転の速度、銀河系を回る速度、銀河系が地球と共に、宇宙空間を飛んでいる速度という、車に合成されたすべての速度に影響されないということです。

 では光は何に対しての速度か、というと、ニュートンの考えでは、絶対静止に対する速度です。アインシュタインは{そもそも電磁波においては速度の基準というものはなくどんな基準から見ても(どんな速度で運動している人から見ても)光速は同じはずだ}という考えです。

A 間違い2 静止したBさん

 アインシュタインは{時間や空間は絶対的なものではなく,見る立場によってことなる「相対的」なものだと考えたのです。}

 ニュートンの絶対空間絶対時間を否定しています。このことから、アインシュタインの宇宙では静止は存在しません。見る立場によって速度は異なります。

 この場合の{静止したBさん}は、どのような物理的性質から静止しているということになっているのでしょうか。また、Aさんの秒速27万kmも何に対しての速度なのでしょうか。定義がありません。相対論の考えでは、すべての動きが相対的なのだから、この二人の動きも、何に対してなのか、定義しなくてはならないはずなのに、それがありません。これではニュートンの絶対空間の考えと同じになってしまいます。

 相対性から考える。

・ 秒速27万kmで飛ぶAさんを静止したBさんが見る、というのがこの本の設定です。

Bさんから見ると、Aさんは秒速27万kmで動いている。

ところが、Aさんから見ると、Bさんが上のAさんとは反対方向に秒速27万kmで動いている、となります。

{見る立場によって}Bさんは動いたり静止したりします。Aさんもやはり{見る立場によって}動いたり静止したりします。

また、秒速10万kmで飛んでいるCさんが現れたら、二人の動きは変わってきます。Cさんから見ると、Bさんは秒速10万kmで動き、Aさんは秒速17万kmで動くことになります。CさんがAさんと反対方向に飛ぶと、Cさんから見ると、Aさんは秒速37万kmで飛ぶことになります。「え光速より速い」ってことになってしまいます。

それがアインシュタインの発見した素晴らしいい相対性です。なぜこの場合は、Bさんは静止しているのでしょうか。Aさんは秒速27万kmなのでしょうか。適当に、知らんぷりしてニュートンの絶対空間の考え方をいれてはだめです。絶対空間、絶対時間を否定したのが大手柄なんですから。

現実にはこの宇宙の物質の動きは決まっています。見方によって速度が変わるということはありません。

例 地球の自転。

地球は自転しています。その遠心力で、赤道周りが膨らんでいます。楕円球になっているのが観測されています。

地球を静止衛星から見てみましょう。基準は静止衛星です。すると地球は止まって見えます。すると自転による遠心力がなくなるので、地球は真円になるかというと、そんなことはありません。地球は楕円球のままです。地球を見る基準を変えても、地球は同じ楕円球です。変化しません。どのような基準から地球を見ても、地球の楕円率は変わりません。ということは、自転速度もどのような基準から見ても変わらないということです。地球の自転速度は絶対速度だということです。

これは太陽でも同じです。太陽も楕円球であることが観測されています。太陽も自転しているからです。この楕円の率も変わりません。地球を基準にしようが、木星を基準にしようが、彗星を基準にしようが変わりません。

すべての速度は決まっているということです。物質の速度は{見る立場によってことなる「相対的」なものだと考えたのです。}というのは事実と相いれません。間違いです。

 

(間違い3)「光速度不変の原理」

 {「そもそも電磁波においては速度の基準というものはなく,どんな基準から見ても(どんな速度で運動している人から見ても)光速は同じはずだ」と考えました。}

 アインシュタインはそう考えたけれど、実証はできていません。古い観測実験がありますが、疑義が出ていますし、検証実験もなされていません。いまならかなり正確な実験ができるだろうに、だれも実験していません。重力波検出機など、実験にちょうどの器具なのにやろうともしていません。

 反対に、アメリカの宇宙背景放射観測衛星、1992年打ち上げの「COBE」、2007年打ち上げの「WMAP」、2013年打ち上げの「PLNAK」が、進行方向から来る宇宙背景放射が青方偏移し、背後から来る宇宙背景放射が赤方偏移しているのを観測しています。人工衛星が光と相対速度を持ったということの観測です。この観測から、地球の宇宙背景放射に対する速度が計算されています。この速度は、光に対する相対速度であるとともに宇宙空間に対する絶対速度でもあります。

アインシュタインは{どんな基準から見ても(どんな速度で運動している人から見ても)光速は同じはずだ」と考えました。}が、実際の現象は、光と人工衛星(基準)は相対速度を持っていたということです。アインシュタインの「光速度は不変」は事実と異なりますから、間違った考えということです。

 

 では本当はどうなるでしょうか。

 ニュートンの考え。

・ 「新幹線の中でボールを投げる」Aさんを静止したBさんが見る。

 新幹線の速度(250km)+ボールの速度(50km)=300km

となります。しかし、Bさんも、新幹線も、ボールも地球上にあります。地球は動いています。だから地球上のBさんは静止していません。慣性の法則で、地球の動きと同じ動きを基本的に持っています。宇宙空間を地球と共に、秒速数百kmで飛んでいます。

 したがって、

ボールの速度は

絶対空間(絶対静止)に対しての地球の速度+地球に対しての新幹線の速度(250km)+地球に対してのボールの速度(50km)になります。

Aさんの速度は

絶対空間(絶対静止)に対しての地球の速度+地球に対しての新幹線の速度(250km)になります。

Bさんの速度は

絶対空間(絶対静止)に対しての地球の速度になります。

光の速度

絶対空間(絶対静止)に対して光速度になります。基準は絶対空間しかないので、他の基準はありません。

上に書いた宇宙背景放射の速度は、絶対空間に対する速度です。観測した人工衛星とは相対速度が測られています。基準に対して、相対速度を持っているのですから、何に対する速度かというと、あとは、宇宙空間に対する速度しかありません。

 すべて絶対空間に対する速度です。これだと、何の矛盾も生じません。

結論

 アインシュタインの考えは、上のように、事実と異なります。アインシュタインの考えは間違っているということです。間違いどうしをくらべると矛盾が出てくるのは当然です。