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著者 田 敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
問題
チェレンコフ光と、「光速度不変の原理」{真空中の光の速さは,止まっている人から見ても,高速で動いている人から見ても,つねに一定である}は矛盾しないか?
考察
前項では、もうひとつの「光速度不変の原理」、「光は光源の速度に影響されない」ということは、なにも珍しいことではなく、音は音源の速度にかかわらず音速であるように、音でも同じことが起こっていることについて述べました。そしてそれはアインシュタインの考えでは説明できないけれど、ニュートンの考え方では簡単に説明できることを述べました。
それは、音と音源の速度が足し算できないように、光と光源の速度が足し算できないことにもなります。このことから、アインシュタインによる速度の足し算の式の中の、光源と光の速度が足されている部分は間違いであることも述べました。
この項ではもう一つの光速度不変の原理、{真空中の光の速さは,止まっている人から見ても,高速で動いている人から見ても,つねに一定である}という仮説(光は何ものに対しても光速度)が実際の現象の中に現れているかについて考えてみます。
考察1 水と、電子から見たチェレンコフ光の速度
チェレンコフ光は、原子から叩き出された電子が、光とほぼ同速で飛ぶことによって、電子から出る光が連続して重なって増幅されることによる光の衝撃波ということです。
このとき光の二つの速度が出てきます。
一つはこのとき電子から出る光が、電子と並んで飛んでいるという現象です。もう一つは、このときの光が光速の75%で飛んでいるということです。
第1の問題 電子から出た光が電子に並んで飛んでいることについて
電子から出た光が、電子とほぼ同じ速度で飛んでいるという事実。
これは、電子に対して、光が光速度ではないということです。光速度不変の原理の{高速で動いている人から見ても,つねに一定である}という理論には合わない現象です。
この本にもあるように{チェレンコフ光が生じるしくみは,音の衝撃波が生じる仕組みに似ています。}とあるように音の衝撃波と同じ仕組みの現象です。
この時、音は、ジェット機に対して相対速度は0m/秒です。同じように、チェレンコフ光の光も、電子に対して相対速度は0m/秒です。
もし音が見えたら、ジェット機から音を見ると、音は音速で遠ざかっているのではなく、並んで飛んでいるのが見えるでしょう。同じように、電子から見ると、光は光速で遠ざかるのではなく、並んで飛んでいるのが見えるでしょう。
音が何ものに対しても音速でないように、光も何ものに対しても光速ではないことの実証です。
時間や空間をいくら引き延ばしても、音が、ジェット機に対して、音速で離れないように、光も、いくら時間や空間を引き延ばしても、電子に対して光速にはなりません。もし、電子に対して光が光速で離れたら、チェレンコフ光は生じません。電子と光がほぼ同じ速度で飛ぶからチェレンコフ光が出るのですから。
第2の問題 水中での光の速さは何に対する速さか。
{水中では光の速さは、真空中の約75%にまで遅くなります。この「水中で遅くなった光」なら追い抜くことができるわけです。}とあります。
ではこの光は、何に対して光速の75%の速度なのでしょう。特殊相対性理論では、それは観測器の水です。また観測装置です。特殊相対性理論に出てくる{止まっているもの}に対してです。これなら、{止まっている人から見ても,}{つねに一定である}といえそうです。
しかし、これにも問題が二つあります。
一つは、これは正確に実測された速度かという問題です。実測されてないと考えられます。カミオカンデでは光の速度を正確に計っているでしょうか。理論からの類推の可能性があります。だから、実証にはなりません。
第2は、その速度は、水、あるいは、観測装置に対しての光の相対速度かということです。水や観測装置に対しての速度とも書いていません。
そこで、これは何に対する速度なのか代わって考えてみます。
ニュートンの考えでは、この光の速度は絶対空間に対する速度です。ニュートンの考えでは、水や、観測器は絶対速度を持っています。宇宙を飛ぶ地球の自転や太陽に対する公転や、銀河の中の公転や、銀河と共に動いていることなどの速度を地球と共に動く観測器は持っています。しかし、光は慣性質量を持たないので、この地球の動きのエネルギーを保存できません。したがって光独自の速度になります。この光は、ニュートンでは、絶対空間の中を絶対速度(光速)で飛びます。水中の光も、水によって速度を落としますが、その速度は、絶対空間に対する速度です。すなわち絶対静止に対する光速の75%です。
特殊相対性理論では、この地球の速度は絶対速度ではありません。{高速で進む宇宙船の中の人から見ると,逆に地球が同じ速度で動いているように見えます。}というように速度は観測者によって変化します。軌道から見ると列車が動いているが、列車から見ると軌道が動いているというのが特殊相対性理論の柱の一つです。
それでは速度を決められないのでこの本では{外部の静止した観測者}というものを登場させます。あるいは、この定義の、{真空中の光の速さは,止まっている人から見ても}というように、{止まっている人}というものを登場させます。
すると{止まっている人}から見ると、この光は、光速の75%であるといえることになります。勿論、光から見ると、{止まっている人}が光速の75%で動きます、ということは伏せておきます。電子から見ると、止まっている人が、高速で動きます、ということも無視します。ことが面倒になるからです。
これだと、止まっている人から見ると水の中の光は光速の75%で飛んでいるということになりそうです。しかし、カミオカンデの装置の水も観測器も観測者も宇宙空間を飛んでいます。止まっていません。動いているのだから、{真空中の光の速さは,止まっている人から見ても,}{つねに一定である}とはいえません。
地球に立っている人から見るのと、月に立っている人から見るのとでは、カミオカンデの速度は異なります。
上に書いたように、動いている電子に対して、光は光速ではなかったので、{止まっている人}は本当は動いているので、その人に対しても、光速の75%ではなく、相対速度を持っていると考えてもそんなに矛盾はありません。かえって、動いている電子に対して相対速度を持っているのに、動いている観測者に対しては相対速度を持っていないということは、考えられないことになります。
結論
電子から飛びだした光のうち前方へ飛ぶ光は電子と同速度で飛び、チェレンコフ光になります。電子と光は同じ速度で並んで飛びます。電子に対して光速度では飛びません。光は何ものに対しても光速度であるという、「光速度不変の原理」は間違っているということです。
問題
高速で飛ぶ電子の時間は遅くなっているか
考察
特殊相対性理論は{真空中の光の速さ}と規定しています。水中の光の速さは、光速の75%に落ちるので、特殊相対性理論の範疇外だということかもしれません。しかし、水に対して光速の75%で飛ぶなら、電子に対しても、光速の75%で飛ばなくては特殊相対性理論ではありません。光速で飛ぶ電子は、時間がゆっくりになり、空間が縮むのですから、それにともなって光の速度が光速度不変になるのですから、光の速度が少しくらい遅くなっても、遅くなった光はその速度で、時間が遅くなり、空間が縮んでいる電子から遠ざからなくてはならないはずです。光の速度の問題ではなく、電子が光速で飛ぶために時間が遅くなることが、光速度不変の原理の根本なのですから。ところが、光があっさり電子に追い抜かされているのは、光速で飛ぶ電子の時間も空間も変化していないということの現れです。普通の、ニュートンの世界です。
音は空気中と水中では速度が大きく異なります。空気中でも温度によって速度が異なります。しかし、どれも音速です。
光も通るものによって速度を変えます。同じようにすべて光速です。もし真空中だけが光速でそのほかはみんな光速ではないとするなら、この宇宙に光速は存在しません。
宇宙には完全な真空はありません。この宇宙空間にはどこでも必ず原子や分子が散らばっています。無数のニュートリノなどの宇宙線が飛び交っています。万有引力は、宇宙すべてにいきわたっています。密度が薄いか濃いかの違いだけです。
真空中以外では光速度不変の原理が適用できないのなら、この宇宙には現実に光速度不変の原理が現れる場所は存在しないことになります。
星間分子間には物がないのだから真空だからそこでは光速度不変の原理が現れるのかもしれません。すると、物質が現れるたびに、光は、相対速度になり、その後また即座に光速度不変の原理に切り替わるということになります。ところで、原子の中はほとんどスカスカで真空だとのことです。すると原子でできている物質はほとんど真空でスカスカです。光は素粒子に遇うたびに、相対速度になり、通り過ぎると、光速度不変の原理になる、というように、原理を変えて進んでいるのでしょうか。そのような現象は観測されていません。
また、先に書いた、小柴氏の観測した超新星のニュートリノは、16万年飛んでも、光に追い抜かれていません。出た時の時間差のまま、地球に到達しています。ニュートリノに対して光は光速度ではありません。相対速度は0m/秒です。勿論このときのニュートリノの速度は絶対速度です。観測者によって速度が変わるということはありません。また、16億光年を16億年で到達しています。時間もゆっくりになっていませんし、空間も縮んでいません。ほぼ光速で飛んできたのに時間が一つも縮んでいません。ニュートンの世界です。
結論
チェレンコフ光の光は、電子と並んで飛んでいるので、電子に対して光速ではないといえます。また、水や、観測機器に対して、光速であるかというと、実測ではないので、実証にはならないといえます。
このように、光と物質が相対速度を持っている現象は観測されていますが、今のところ光速度不変の原理による、光は何ものにも光速である、という現象は観測されていません。
「光速度不変の原理」は間違っているといえます。