タイムトラベルと双子のパラドックス目次 双子のパラドックス2 



タイムトラベルと双子のパラドックス(Newton2017,7ニュートンプレス)

について 1


著者 田 敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)



問題

{兄は宇宙へ旅立ち,弟は地球で待つ。先に年を取るのはどっち?}

{兄は,光速の80%で進むことができる宇宙船に乗り,地球から24光年のかなたにある目的地の惑星をめざします。}

条件

・ 宇宙船の速度    光速の80%

・ 目的地までの距離  24光年

・ 往復して地球に帰ってくる

相対性理論による条件

 {光速の80%で動く人の時計を,止まっている人の時計とくらべてみると,時計の進む速さは60%に遅くなっています。動いている人の時間は,止まっている人の時間に比べて,進み方が遅くなるためです。}

{地球で待っている双子の弟にとって60年が経過したとき,宇宙船に乗っている兄にとっては,まだ36年(=60×0.6)しか経過していないことになります。}

 

問題1

{光速の80%で動く人の時計を,止まっている人の時計とくらべてみると}

考察

 相対性理論の土台である相対性原理によると、絶対静止は存在しないことになっています。速度も絶対速度ではなく相対的な速度です。

1 {止まっている人}

相対性理論では誰が{止まっている人}かは決められません。私が基準のときは私が止まり、他の人が動きます。あちらの人が基準のときはあちらの人が止まり、私は動きます。地球が基準のときは地球が止まり、天が動きます。火星が基準のときは火星が止まり、地球も含め他の星が動きます。太平洋を航行している船が基準のときは、その船が止まり、宇宙がその船の周りを回転します。それが相対性原理です。それを土台にしているのが相対性理論です。したがって相対性理論では地球が止まっているという設定はできません。

現実に目を向けてみましょう。地球は動いています。自転や公転をしています。そして、太陽と共に天の川銀河を回転しています。そして、天の川銀河とともに、アンドロメダ銀河と引き合って、動いています。そして、このあたりの銀河とともにグレートアトラクターの方に動いています。

これは視点の問題ではありません。実際の動きです。視点を変えたからといって、地球の自転が1日に38時間になることはありません。公転が、1年に246日になることはありません。相対論者は認めないでしょうが、地球の動きは絶対速度です。

地球の公転周期が1年に246日になると地球は太陽から離れていきます。反対に500日になると、地球は太陽に落ちていきます。地球の動きは絶対速度です。ケプラーがその法則を見つけています。相対性原理では惑星の動きは説明できません。

動いている地球を止まっているとすることはできません。仮定が間違っています。

また、宇宙船が往復する間に地球はほかの場所まで移動しています。宇宙船の行きと帰りの距離は異なってしまいます。

 

2 {光速の80%で動く人}

したがって、ここでいう、{光速の80%で動く人}も決めることができません。相対性理論では、基準がAのとき{光速の80%で動く人}がいたとしても、基準がBになったときその人は{光速の80%で動く人}にはなれません。宇宙には無数の物質があります。したがってそれに合わせて無数の基準ができます。すると基準によって、無数の速度が出てきます。

例えば、もし、光速の50%で進む宇宙船の母船があったとして、子宇宙船が光速の80%で飛ぶと、母船を基準にすると、母船は止まり、同方向に進む時は子宇宙船は光速の30%で進むことになり、反対方向に進んでいるときは、光速の130%の速度になってしまいます。

このように、相対性原理を土台とする相対性理論では、宇宙船の速度は、0m/時からどこまでも際限ない速度を取ることができます。そしてその速度は、視点を変えるたびに変わるので、決めることができないのです。したがって、宇宙船の時間の進み方も、停止と同じ時間の進み方から、マイナスの時間の進み方までどの値も取ることになってしまいます。

相対性理論では速度を決めることができないのですから、宇宙船の時間の進み方も、地球の60%という設定はできないはずです。地球と比較しているのだから他は関係ないというのでしょうか。

3 思考実験の巧みさ

ここでは、登場するのは、地球と目的地の惑星(地球に対して何故か停止しているのだが)と宇宙船だけです。邪魔になるものはすべてないこととしています。だから、止まっているか、光速の80%かの二つの速度しかありません。

思考実験の宇宙にはそれだけしかなくても、実際の宇宙には、無数の星と、光と、宇宙線と、ガスがあります。思考実験の宇宙は、相対性理論にもっとも好都合な地球と宇宙船と惑星だけで構成されているけれど、実際の宇宙はそうはいきません。現実は厳しいのです。これらの星や、ガスや、宇宙線を基準にしたとき、地球も、宇宙船もさまざまな速度を取ります。止まるか、光速の80%という2者択一なんてことはありません。事実は小説より奇なりです。思考実験で思い浮かぶことなど、話にならないくらい現実は多様なのです。

結論

{光速の80%で動く人}と{止まっている人}は決まった速度です。速度が決まるのは相対性理論ではありません。絶対空間絶対時間のニュートンの理論の土台です。それを否定している相対性理論で速度を決定しているのは、自ら相対性理論の相対性を否定していることになります。相対性理論家が自分で相対性理論が間違っていると言っていることになります。

和洋折衷はおいしいからいいでしょう。しかし、絶対空間(ニュートン)と相対空間(アインシュタイン)を折衷することはできません。相反する理論なのですから。 

 

問題2 地球を基準にするとおこる問題

地球を基準にすると、この本に述べているように地球が停止します。地球が停止すると、自転も、公転もなくなります。すると、太陽が地球を回り出します。星も銀河も地球を中心に回転し出します。天動説です。否定されている理論の復活という困った問題が起こります。

もちろん飛んでいる宇宙船も地球を中心に回転し出します。目的地の惑星も地球の周りを回転し出します。

これが相対性理論の土台になった相対性原理で起こる現象です。

 

一歩譲って考えてみます。

地球が基準になったときに宇宙船の速度は、光速の80%ということができるのでしょうか。

地球は動いています。現実の地球では、地球と同じ方向に宇宙船が動いているときと、反対の方向に動いている時では、宇宙船と地球の相対速度が変わってきます。相対論では地球を基準にしたときの宇宙船の速度は一定になりません。

この場合、地球の速度は、光速に対して少ないから、停止と考えてもいいということもありかもしれません。しかし、相対性原理では地球の速度は基準によってさまざまな値になります。あらゆる値をとります。地球は光に比べてゆっくり動いているというのは、ニュートンの絶対空間の場合のみ通用する考えです。

地球が止まり、宇宙船が光速の80%で飛んでいるというのは相対論の考えのようですが、実際は決まった速度なのだから絶対速度の考え方です。内緒で絶対速度を使っています。

 この本の条件設定は、ニュートンの絶対空間による設定です。相対論では否定している絶対空間絶対速度を基準にした条件は、相対性理論の否定になります。最初から話の持っていき方がご都合主義です。

 

次に、本に書いてあるように、宇宙船が光速の80%で飛ぶとします。

問題2 宇宙船が往復にかかった時間と飛行距離と速度

宇宙船が目的地の惑星に到着したとき、兄は38歳、経過時間は18年とあります。地球に帰還したときは、兄は56歳、往復にかかった時間は36年とあります。これが仮に起こったとします。

考察

ア 宇宙船の時間による宇宙船の速度

このことから、宇宙船は宇宙船の時間で36年で地球と目的地の惑星を往復したことになります。往復の距離は48光年です。

(速さ=距離÷時間)ですから48÷36≒1.3になります。

宇宙船は光速の1.3倍の速度で飛んでいたことになります。

イ 宇宙船が飛んだ距離

宇宙船は光速の80%で飛んでいるのだから、36年間では宇宙船は、28.8光年(=80%×36年)しか飛べません。地球まで戻れません。

 

ウ 地球時間による宇宙船の速度

48÷60=0.8

光速の0.8倍で飛んでいたことになります。この本が述べていることです。

 

 このことから、宇宙船の速度は、地球時間で計算していることが分かります。なぜ、宇宙船の速度を地球時間で計算しているのでしょう。宇宙船は独立して飛んでいます。地球も独立して飛んでいます。お互い関係ない物体です。

 

 何故、地球時間で宇宙船の速度を計算するのでしょう。説明がありません。これでは地球が全宇宙の時間の標準時になってしまいます。

 

問題

{光速の80%で動く人の時計を,止まっている人の時計と比べてみると,時計の進む速さは60%に遅くなっています。}

考察

時計の針の進み方が60%になっているということです。すると、中の人の動く速さも60%になっているはずです。時間がゆっくり進むのですから、それは宇宙船とその中の人すべてに影響するはずです。時計の針の進み方だけが60%になるということはないはずです。これは、止まっている人の1秒の間に、光速の80%で動いている人は、0.6秒分しか動けないことからも考えられます。

 すると、宇宙船そのものも、地球の1秒の間に、0.6秒分しか飛べません。すると、宇宙船の速度は、地球から見ると、光速の48%(=80%×0.6)に落ちてしまいます。

 速度が光速の48%に落ちると、時間の進み方がそれまでより早くなります。すると、宇宙船はまた速くなります。すると時間の進み方が遅くなります。すると、宇宙船の速度が落ちます。すると時間の進み方が早くなって宇宙船はまた速くなります。これの際限ない繰り返しになります。宇宙船は前後に激しく震えます。困ったことです。

結論

 特殊相対性理論が正しいとすると、このように、おかしなことばかりが起こります。現実にはこんなことは一切起こっていません。相対性理論が間違いだということの実証です。