シュレディンガーの猫について17

(「シュレディンガーの猫(下)」ジョン・グリビン,坂本憲一・山崎和夫 訳,地人選書)

(以下{ }内は上記本よりの引用)

著者 高田敞

     

 

問題

{目にするものが得るものであり、他の何事もリアルではない}

{思考実験の理想的な世界と違って、測定される場合にもスピン成分がはっきりと記録されうるとは限らないのだ。}

 

考察1

{思考実験の理想的な世界}は実際に目にすることができる世界ではない。{目にするものが得るものであり、他の何事もリアルではない}ということだから、{思考実験の理想的な世界}は、{目にするもの}ではなく{他の何事も}の内なのだから、{リアルではない}世界である。ところが思考実験は肯定し、実際の実験は{測定される場合にもスピン成分がはっきりと記録されうるとは限らないのだ。}と変な理由をつけて実際に目にする方を否定している。おそらく、実際の実験をすると自分らの理論に不都合な結果が出るから、それに難癖をつけて否定し、自分らの都合のいい結果を自由に選べる、思考実験を肯定しようとしているだけだ。

思考実験は科学ではない。SF漫画の幻想実験である。

 

問題2

{思考実験の理想的な世界}

考察

 当然である。自分の理論に都合のいい実験材料と、実験手段を頭の中で考え、自分たちの考えた結果が出る(でっちあげる)のだから、実験者には理想的であろう。ただこれは科学実験とはいえない。単なる空想にしか過ぎない。リアルでもないし、事実でもない。

問題3

{他の何事もリアルではない}

考察

自分の眼だけがこの世界のすべてを決めるという。では目を閉じたときはどうなるのだろう。すべてが一瞬で非リアルの世界になるのだろうか。車が突進してきた。目をつぶる。車の突進は非リアルの世界になり、事故から免れるとでもいうのだろうか。目の見えない人はどうなのだろう。見えないものはリアルではないというのなら、彼らは非リアルの世界で暮らしていることになる。地球の中心はどうなのだろう。まだ誰も見ていない。非リアルの世界なのだろうか。

 あなたが死んだ時はどうなるのだろう。地球は総て非リアルの世界になってしまうのだろうか。いや、地球は何一つ変わらない。あなたの体を構成していた元素がばらばらになって他に移動するだけだ。原子が構成していたマクロの形が変わるだけで、何の変化もない。あなたが見る見ないなどこの世界に何一つ影響しはしない。あなたの妄想の中の思考実験の結果が変わるだけだ。妄想できなくなるから、あなたの妄想世界が無くなるだけだ。あなたが、21世紀最大の天才であったってそれは同じだ。21世紀最大の天才が百人死んだって、地球の物質の現実は量子1個たりとも変わらない。あなたたちの積み上げた妄想世界が無くなるだけだ。なぜかというと、あなたたちの妄想世界の方がリアルでないからだ。あなたの思考実験の方が実際には存在しないから、あなたたちが見なくても、猫は死に、量子は存在しているが、あなたたちが宇宙より偉大でリアルであるという量子論こそ、無だからである。

 

結論

 見ることで何かが変わるということこそ非リアルである。物質こそ人間が関与できないリアルである。

 量子論が、人の感覚と妄想の中にあるということは、量子論は、妄想世界の妄想物理学ということになる。



つづく   2014,2,17