がんばれ!小保方春子さん   放送人権委員会のNHKに対する勧告について  



「生物学の「ウソ」と「ホント」」(2015年3月20日発行・初出2013,4,6〜2014,12,27夕刊フジ・著者 池田清彦・新潮社)

にあるSTAP細胞の記述について


著者 田 敞

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

まえがき

 {残念ながらSTAP細胞はインチキだったけれど、将来、同じような研究が成功する可能性はゼロではない。}と池田氏はSTAP細胞をインチキだと否定している。そうだろうか。そこで、池田氏の「ウソ」と「ホント」は「ほんとう」かについて考えてみる。世界でも厳しいといわれているネイチャーの審査を通った論文でさえ、小池氏は自分で考えて「ウソ」といっているのだから、誰の審査も受けない池田氏の本の考えを考えてみるのは、まあ、悪くはないだろう。いや、何事も、鵜呑みにしないで考えるというのは必要なことである。それが何が本当かを人が知ってきた原動力なのだから。まだまだニュートンの海は広がっているのだから。

 

1 池田氏の「ウソ」と「ホント」

(1) 池田氏の考える「ウソ」

ア 小保方氏が、分化した細胞に科学的ストレスを与えて作ったというSTAP細胞

・理由1 {理化学研究所はSTAP細胞から作られたとされるSTAP幹細胞はES細胞から作られたと断定した。}ということを池田氏は支持している。

・理由2 TCR再構成の問題(後述)

イ 丹羽氏と、若山氏が小保方氏の指導で作ったSTAP細胞

・理由 これらはSTAP細胞の検証実験に当たるが、STAP細胞はインチキだといっていることから、丹羽氏と、若山氏が嘘を言っているか、2人が小保方氏にだまされたということになる。

ウ STAP細胞から若山氏の作ったマウスと胎盤

・理由1 理化学研究所がSTAP細胞はES細胞であると断定したから。

・理由2 

{本当のことを言えば、STAP細胞は2014年3月に、STAP細胞の作り方を丁寧に解説した小保方、笹井、丹羽の3名共著のプロトコールの中で、STAP幹細胞にはTCR再構成(厳密にいえば、TCR遺伝子再構成)が見られなかったとあり、その時点でインチキだったということがはっきりしていたので、その後のさまざまな実験は税金の無駄であったのだ。}といっているので、この3人が嘘を言っているということになる。したがってSTAP細胞は存在しないのだから、それから作ったとされる、マウスも、胎盤もウソである。

問題点

理研も、池田氏もSTAP細胞はES細胞から作られたといっているが、この考えには根本的な問題点がある。

それは、ES細胞からは胎盤はできないとされていることである。ES細胞は胎児になるように分化しているので、そこから胎盤はできない。胎盤ができなければもちろん胎児は育たないから、STAP細胞から若山氏が作ったというマウスと胎盤は存在しないことになる。しかし、実際にマウスと胎盤は存在している。この実物は理研も認めている。このマウスと胎盤はなにからできたのか、不明である。理研や、池田氏が言うES細胞でないことだけは確かである。

若山氏の作ったマウスと胎盤は、STAP細胞がES細胞であるということを完全否定している。

この矛盾を、理研も、池田氏も説明していない。

エ STAP細胞はES細胞とTS細胞の混合からできたという意見

日経サイエンス(2015,03)に、遠藤氏が、残されていたFI幹細胞を検査したところ、この細胞は、ES細胞とTS細胞の混合であった、と発表している。STAP細胞は、ES細胞とTS細胞の混合であるという意見である。

・理由

 池田氏は、上に書いたように、STAP細胞はES細胞からできているという考えであるから、TS細胞が混ざっているというこの考えは否定していることになる。

もちろん、遠藤氏は、理研や、池田氏のES細胞説には反対であろう。

問題点

この考えも、STAP細胞否定派の人が出した見解である。ES細胞から胎盤ができないことから、若山氏の作った胎盤とマウスを、事実を動かしがたいとして出した苦肉の策である。胎盤を作るTS細胞を、胎児を作るES細胞に混ぜればできるということなのだろうが、そうは問屋がおろさない。これを実証した人はいない。そのほかにも、若山氏が小保方氏から受け取った細胞の塊からマウスも胎盤も分化している。ところが、ES細胞とTS細胞は塊にならないとされている。元は同じ卵細胞でも、いったん分化し、ES細胞と、TS細胞になったらそれぞれの道を進むのだから、胎盤と胎児になる細胞がもう一度塊になったら、胎児の細胞と胎盤の細胞が混ざり合った奇妙な塊ができてしまう。健全に育つわけがない。遠藤氏はES細胞とT細胞を混ぜて、それからマウスを作ったのだろうか。なにひとつ実証していないし、実際に若山氏の胎盤もマウスも調べていない。誰が作ったか不明の「残されていたFI幹細胞を検査した」だけである。泥棒が、自分の指紋を一番目につくところにべたべた残していくようなものだ。ES細胞から胎盤ができないなら、胎盤を作るT細胞を混ぜたらいいだろうというくらいなのだろう。科学なら、思い付きだけではだめなのは常識である。実証しなければならない。遠藤氏は、ES細胞とTS細胞を混ぜてマウスを作らなければならない。世界初の素晴らしい実績になるだろう。できればだが。憶測だけで話している。少なくとも小保方氏は思い付きを実証しようとして、マウスと胎盤ができる細胞を作っている。そしてその細胞から若山氏はマウスと胎盤を実際に作っている。大きな違いだ。その細胞はES細胞でもないし、ES細胞とTS細胞の混合物でもないのは確かだ。実際、胎盤を検査した丹羽氏は、胎盤はSTAP細胞からできていると述べている。

オ 胎盤を検査した丹羽氏は、胎盤はSTAP細胞からできていると述べている。

・理由 池田氏はSTAP細胞はES細胞であるといっているのだから、丹羽氏が調べた胎盤はES細胞由来でなければならない。それをSTAP細胞と述べている丹羽氏は嘘をついているということになる。これは丹羽氏が若山氏の作った胎盤を直接調べているのだから小保方氏が騙しようがない。ということは丹羽氏が小保方氏に騙されたのではなく、丹羽氏が「ウソ」をついていることになる。しかし、胎盤はES細胞からできないのだからES細胞でないことだけは確かだ。

 

(2) 池田氏の考える「ホント」

ア STAP細胞はES細胞から作られた。

・理由 上に書いた理研の見解と、TCR再構成(後述)のことからである。

 

2 池田氏の、言ったことと、言わなかったこと

(1)池田氏の言ったこと

ア 

STAP細胞はインチキだった。

イ 

STAP細胞はES細胞からできた。

ウ 

STAP細胞は、哺乳類でも分化した細胞をストレスにさらすだけで、遺伝子の発現パターンを未分化な細胞に変化させることができるということだから、もし正しければヒトの分化した細胞にストレスを与えて万能細胞に変化させ、ここからヒトを作ることも可能になるかもしれない。将来同じような研究が成功する可能性はゼロではない。

(STAP細胞をインチキだと言いながら、その考えかたは肯定している。不思議な考え方だ。今後、STAP細胞と同じような研究が成功したとき、それは小保方氏が考えたことではなく生物界の常識でみんな知っていたことだ、ということなのだろうか)

エ 

STAP細胞の検証実験を行っていた小保方晴子さんは期限の2014年11月末までに、STAP細胞を作成できず、理化学研究所はSTAP細胞から作られたとされるSTAP幹細胞はES細胞から作られたと断定した。(後述)

カ 

理研は、同年12月に小保方さんのSTAP細胞論文に載った二つの図表の捏造を新たに認定した。(後述)

キ 

小保方、笹井、丹羽の3名共著のプロトコールの中で、STAP幹細胞にはTCR再構成(厳密にいえば、TCR遺伝子再構成)が見られなかったとあり、その時点でインチキだったということがはっきりしていた

 そしてその理由が述べられている。小保方氏は、T細胞からSTAP細胞を作っている。それなら、それからできた、STAP細胞さらにそこからSTAP幹細胞が作られたとの話が正しいとすると、これらの細胞のTCR遺伝子にはTCR再構成が見られるはずだ。もし、TCR再構成が見られないSTAP細胞(STAP幹細胞)があるとすれば、これらはT細胞以外の細胞からできたのだ。

 だから、STAP細胞は、もともと、ほんのわずか存在した幹細胞が生き残って作られたか、ES細胞が混入して作られたかのどちらかになる。理化学研究所は後者であると断定した。(後述)

(2)池田氏が言わなかったこと

ア 

小保方氏から渡されたSTAP細胞だという細胞塊から、若山氏はマウスと胎盤を作っている。

イ 

ES細胞は胎盤を作れない。胎盤がなければ胎児も育たない。

ウ 

ES細胞と胎盤を作るTS細胞は混ぜても塊にはなれない。ところが、小保方氏が若山氏に渡したSTAP細胞は塊であった。

エ 

理研主導で行った小保方氏のSTAP細胞再現実験で、その統括責任者が、この実験は科学ではない、と記者会見で理研の再現実験のやりかたを否定している。また、その時、なにかができた、とある科学者が言っている。なにができたか理研は調べてもいない。

オ 

丹羽氏が、小保方氏の指導のもと、学生とともにSTAP細胞を作った。

カ 

若山氏が小保方氏の指導のもとSTAP細胞を作った。

キ 

STAP細胞から若山氏が作ったとされる胎盤を検査した丹羽氏が、STAP細胞由来だといった。

ク 

理研は、その後若山氏が小保方氏のSTAP細胞塊から作ったといっているマウスと、胎盤を検査することを禁じている。STAP細胞問題の最大の証拠で、これを調べればすべて決着するのに何故かそれを隠ぺいした。マウスと胎盤はどこに消えたのか。

考察

このことの最大の問題は、池田氏は自分の主張に有利なことだけを取り上げていることだ。不利なものは一切言っていない。科学のやり方ではない。科学は何が本当かを調べるために行うので、自分の主張に不利になることも取り上げなくてはならない。それが行われていない。

 その結果、大きな矛盾が隠されてしまっている。

 その一つは、ES細胞からは胎盤ができないということなのに、若山氏が作ったマウスには胎盤ができている。もちろん胎盤ができなければ胎児も成長できない。この事実と、STAP細胞はES細胞からできたという池田氏の主張は大きく矛盾する。

 また、丹羽氏がこの胎盤を調べてSTAP細胞だと述べたこととも矛盾している。

 池田氏が述べなかったことは、池田氏が主張する、STAP細胞はES細胞であるという主張を覆す事例である。それも、意見ではなく、実際の現象の事例である。STAP細胞はES細胞であるということの根拠となる事例を何一つ提示していない理研のたんなる意見とは大きな違いがある。

書く紙面が制約されていてそのスペースがなかったのかもしれないが、池田氏が意図的に自分の主張に有利なことだけを書いているのは確かである。

理研はSTAP細胞がES細胞であるという科学的根拠を示していない。それに対して、小保方氏が作った細胞がSTAP細胞であるということは、丹羽氏や、若山氏の再現実験で示されているし、胎盤の検査でも、丹羽氏がSTAP細胞であると述べているように、実証がなされている。

 理研はなにも証明しない代わりに、最大の証拠である若山氏が作ったマウスと胎盤を隠してしまった。

池田氏が書かなかったことを考慮すると、STAP細胞はES細胞からできたという理研や池田氏の考えがいかに不合理であるかが分かる。

 

―ここで、NHKが取り上げ、STAP細胞がES細胞だと多くの人が信じた小保方氏の冷凍庫に残されていたES細胞を探偵してみよう―

 このことが、STAP細胞はES細胞であるということを多くの人が信じた理由の大きな一つであるといえるだろう。

NHKはこのことを取り上げ、小保方氏がES細胞からSTAP細胞を作った元になったES細胞だと、何となく匂わせている。天下のNHKが放送したのであるから、これを信じた人はたくさんいるだろう。その後はNHKが言ったのだからというお墨付きがあるから、情報は拡散した。

ではこのNHKの情報は本当なのかを考えてみる。

 もし彼女が嘘をついていたなら、騙された人は、ネイチャーの査読者(この分野の世界の権威)と、笹井氏、丹羽氏、若山氏など、この分野の日本の権威の人たちである。その人たちを騙せるほど悪知恵にたけた人が、なぜ、一番の証拠だけを、さも、このES細胞から作りましたといわんばかりに自分の冷凍庫に残していくだろう。ありえないことだ。素人探偵なら、それは、小保方氏を追い落とそうとする人が、小保方氏はES細胞でSTAP細胞を作った、とみんなに思いこませるために入れたと考えるだろう。素人探偵だけではない、放送倫理委員会も似た考えを持っている。

朝日新聞に次の記事がある。

NHKが、小保方氏が何らかの不正行為で入手したES細胞を混入し、STAP細胞を作製した疑惑があるとした報道について放送人権委員会がBPO勧告をしたという記事である。

BPO勧告(人権侵害の勧告は、放送人権委員会の判断としては最も重く、1997年の同委発足以来8度目。)

というほどの重い勧告である。要するに、STAP細胞は、ES細胞であるという根拠はまるでないのに、あたかも、STAP細胞はES細胞であるかのように報道したのは間違いであると放送人権委員会は判断したのである。

この勧告に対してNHKは「小保方氏の冷凍庫から元留学生のES細胞が見つかった事実を放送したもので、決定が指摘するような内容は放送していない」と反論している。

これは二重にインチキである。NHKがそのように放送したら、視聴者は小保方氏がインチキをやったと思い込むのを知っていて、いや、それを狙ってNHKは放送したのである。事実そうなった。放送人権委員会も、小保方氏が何らかの不正行為で入手したES細胞を混入し、STAP細胞を作製した疑惑があるとした報道と判断した。そしてそれを指摘されたら、いやそんなことは言っていない、事実を放送しただけだと言えるように最初から逃げ道を作っている。非常に悪質なやり方である。だから、BPO勧告という重大な勧告になったのだろう。

 

― 同じようなことを理研もやっている ―

・ 理研の最大の問題

丹羽氏が、小保方氏から渡された細胞塊からつくった胎盤を調べて、STAP細胞であると述べているのに、その後、理研はこの胎盤もマウスも調べることを禁止している。闇に葬っているのである。

ややこしいことを言わなくても、このマウスと胎盤を調べればそれが何からできたか分かるはずだ。それで一切はけりがつく。理研は、STAP細胞がES細胞からできたといっているのだから、調べたい人に自由に調べさせて、そらみたことか、ES細胞だったぞと言えばいいのだ。いや、理研が率先して調べなければならないことだ。論文にケチをつけたり、検証実験をやれだのいう前に、作ったマウスと胎盤を調べることこそ、一番の証拠になるし、それが科学の方法である。そんな簡単なことを禁止している理研の理由はなんだろう。調べられては困るからなのだ。なぜ調べられては困るのだろう。理由は簡単だ。

問題は、ES細胞からは胎盤はできないし、丹羽氏が胎盤を直接調べて、STAP細胞だといっていることだ。これでは調べてもマウスも胎盤もES細胞だという可能性はゼロに近い。

理研はひそかに調べているのではないだろうか。調べないわけはない。調べて、胎盤もマウスもES細胞由来だという検査結果が出たら、これが証拠だと発表するだろう。それをやっていない。ES細胞では無かったからだろう。当然である。ES細胞から胎盤はできないのだから。検査を禁止したのは、マウスも胎盤もSTAP細胞だったからではないのだろうか。ES細胞だったら嬉々として発表しただろう。

理研は小保方氏がSTAP細胞だと言って若山氏に渡した細胞塊から若山氏が作った、マウスと、胎盤がSTAP細胞であったら困ることでもあるのだろうか。あるのだろう。何としても小保方氏と、STAP細胞を葬りたかったのではないだろうか。だから隠したのだろう。

 

3 池田氏がSTAP細胞はES細胞からできたという二つ目の根拠。

ア TCR遺伝子再構成の問題

{本当のことを言えば、STAP細胞は2014年3月に、STAP細胞の作り方を丁寧に解説した小保方、笹井、丹羽の3名共著のプロトコールの中で、STAP幹細胞にはTCR再構成(厳密にいえば、TCR遺伝子再構成)が見られなかったとあり、その時点でインチキだったということがはっきりしていたので、その後のさまざまな実験は税金の無駄であったのだ。}

 この後、この主張の根拠が述べられている。池田氏は{T細胞からSTAP細胞さらにそこからSTAP幹細胞が作られたとの話が正しいとすると、これらの細胞のTCR遺伝子にはTCR再構成が見られるはずだ。もしTCR再構成が見られないSTAP細胞(STAP幹細胞)があるとすれば、これらはT細胞以外の細胞からできたのだ。}

{STAP幹細胞にTCR再構成がないとすると、STAP幹細胞は、ストレスでT細胞が死滅して、元々ほんのわずか存在した幹細胞が生き残って作られたか、ES細胞が混入して作られたかどちらかになる。理化学研究所は後者であると断定したのである。}

確かに論は通っている。池田氏の意見は正しそうだ。しかし、これはSTAP細胞を否定することになっても、それがES細胞からできたということにはならない。{ES細胞が混入して作られたかどちらかになる。}というのは憶測である。ES細胞が混入したという証拠は存在しないのには変わりはないしES細胞から胎盤ができないことには変わりがない。

実際にSTAP細胞にかかわった、笹井氏や、丹羽氏、そのほかの、論文提出や、特許の申請にかかわった人たちは、なぜTCR再構成について見抜けなかったのだろう。笹井氏や、丹羽氏は、分かっていて論文をネイチャーに投稿している。池田氏とは違って、STAP細胞にTCR再構成がないことはSTAP細胞を否定することではないと考えていたのではないだろうか。笹井氏や、丹羽氏は、この分野の日本の権威である。そうではない池田氏とは考え方が違っていたのかもしれない。とにかく、TCR再構成がないにも関らず、彼らはSTAP細胞があると信じて、特許を申請し、論文をネイチャーに投稿している。もし、STAP細胞がインチキと分かっていたら、特許を申請しないだろう。膨大な労力と金を費やして、偽物だったら何の役にもたたないSTAP細胞の特許を取って、どうするつもりなのだろう。

彼らはSTAP細胞が「ホント」だと信じていたのだ。池田氏がSTAP細胞が「ウソ」だと信じているように。

また、ネイチャーの査読者はどうだろう。なぜ、池田氏のそんなこと常識だとばかりに言っている、TCR再構成の問題を見抜けなかったのだろう。池田氏と違い、彼らは〈複数の人が審査にあたっている〉、この道の世界の権威である。その人たちが審査して、STAP細胞はあると断定したのである。

私は素人だから、TCR再構成は分からない。しかし、世界の権威の複数の人と日本の権威の複数の人がTCR再構成のことを問題にしていないことは、それなりの理由があるのではないだろうか。

素人考えだが、STAP細胞は細胞の初期化であるとすると、できたSTAP細胞からTCR再構成が消えるのも当然ではないだろうか。たとえば筋肉細胞から多能細胞を作ると、筋肉細胞の特徴は消えて、多能細胞に変わるのではないだろうか。筋肉細胞の機能を残していたらその多能細胞から発生したマウスは、全身に筋肉細胞の特徴を受け継ぐことになるだろう。目にも筋肉細胞の特徴が残り、腎臓にも筋肉細胞の特徴が残り、脳にも筋肉細胞の特徴が残りということになるだろう。これではマウスにはなりえない。筋肉細胞から、多能細胞に変わったら、その時筋肉細胞の特徴はすべて消えてしまわなければならないはずだ。

同じように、T細胞から多能細胞を作ったとしたら、T細胞の特徴はすべて無くなり、多能細胞そのものになってしまうのではないだろうか。その時一緒にTCR再構成も初期化されたのではないだろうか。T細胞の特徴をいつまでも残しているとすると、若山氏が作ったマウスと胎盤には、TCR再構成が残っていることになる。マウスの脳にも、心臓にも、腎臓にもTCR再構成があるということだ。これでは満足なマウスに育つとは考えられない。T細胞の特徴をすべて初期化することで初めて多能細胞になるとすれば、TCR再構成も初期化されて、なくなってしまう可能性がある。それが小保方氏の作ったSTAP細胞であろう。

それが、それまでの生物学者の常識{「過去何百年の生物学の歴史を愚弄するものだ」}を覆したことになるのではないだろうか。池田氏の判断はその過去何百年の生物学の常識内の判断ではないのだろうか。

 

4 どちらが騙しやすい

 

A 小保方氏が騙したかもしれない人たち(小保方氏の研究を信じた人たち)

・ 笹井氏、丹羽氏、初めの頃の若山氏。

この人たちは、この分野の日本の権威の人たちである。

 STAP細胞とES細胞の区別がつく人たちである。

 実際に、丹羽氏と、若山氏は小保方氏の指導のもと、STAP細胞を作っている。その能力、技術、知識を持っている人たちである。

 若山氏は、小保方氏から渡された細胞塊からマウスと、胎盤を作っている。

 丹羽氏は、若山氏の作った胎盤を検査し、STAP細胞だと述べている。細胞の区別ができる人である。

・ ネイチャーの査読者

この人たちは、この分野の世界の権威の人たちである。

もちろん、ES細胞も、T細胞も知っているし、実際にそれらを研究している人たちである。

・ ネイチャーの方針

 ネイチャーは査読者がインチキをしないように、その防御策を講じている。

 それは以下のことであるという。

 科学は1番しか認められない。銀メダルも、銅メダルも無い。金メダルがすべてである。査読者は、論文提出者と同じ研究をしている人である。その論文で先を越されたら、査読者が10年20年と研究してきたことがすべて水の泡になることがある。そのとき、査読者は論文のあら探しをして、論文を不採用にし、その中身を奪ってしまう恐れがある。これを防ぐために、ネイチャーは、複数の査読者に審査させている。また、誰が審査しているか、秘密にしている。査読者間あるいは、論文提出者との間で口裏を合わせて不正をさせないためだ。また、論文提出者は、事前に査読者を忌避する権利を持っている。実際に利害関係が対立する人だと、不正を行う可能性が高くなるからだ。小保方氏は、日本の山中伸弥教授(ノーベル賞科学者)を指名している。これはSTAP細胞とIPS細胞が完全に同じ分野の細胞であり、どちらかしか生き残れないからだ。STAP細胞が正しければ、IPS細胞は消えるしかない。それは山中教授を中心にしたたくさんの科学者を抱えた組織が潰れることでもある。理研そのものの、大きな問題になることは必至だ。

 

 小保方氏の反対派の人たちが騙したかもしれない人たち(彼らの言い分を信じた人たち)

・ 多くのマスコミの人

この人たちは、STAP細胞とES細胞の違いが分からない人たちである。

実際に、STAP細胞も、ES細胞も見たことがない人たちである。

マスコミの人は、スクープ合戦をしている。スクープ合戦とは、スキャンダルを他社より速く手に入れて、報道することである。このことで、問題を炎上させて、発行部数や、視聴率を上げることで金もうけしようとすることである。

 「捏造の科学者」を書いた毎日新聞の記者である須田桃子氏もNHKにスクープを取られたと悔しがっている。

 典型的なのは、不倫疑惑のフェイクニュースである。科学に興味がない読者を持つマスコミが、炎上しているこのスキャンダルに参入するために、不倫で勝負したのである。小保方追い落としのためにその嘘をマスコミに流した人がいる(どんな人だろう)。ちょっと調べれば大嘘だと分かるのに、売り上げ倍増のためにマスコミはこれは好機だと流したのであろう。そして多くの人が本当だと信じた。ネットの悪口と同じである。褒め言葉がのどに引っ掛かっている間に、悪口は地球を半周しているというのが世間である。特に性的スキャンダルは一気に広がる。マスコミをうまく利用した人がいるのだ。笹井氏を死に追いやったのはこの嘘が大きかったのではないだろうか。ひどいことをする大人がいるものだ。いじめやフェイクニュースはネット社会の特権ではない。公のマスコミもしっかりやっている。先に書いたように、STAP問題ではNHKでさえフェイクだとBPO勧告を受けているのだ。

・ 多くの世論

 この人たちも、もちろんSTAP細胞や、ES細胞についてなにも知識がない人たちである。マスコミの言うとおりに信じる人たちである。

考察

小保方氏が騙したとしたら、騙されたのは、その分野の、世界や日本の権威の人たちである。彼らは、自分で小保方氏の論文を判断できる人たちである。

一方、小保方氏の論文のあら探しをした人が騙したとしたら、騙されたのは、STAP細胞や、ES細胞について何も分からないから、いいなりになるしかない人たちである。

マスコミの人たちは、騙す必要さえない。彼らはスクープ競争をしてスキャンダルを探している。彼らの方針にあったネタをちょっとほのめかすだけで飛び付いて来る。真偽は確かめない。炎上に油を注げるものなら何でもいい。真偽を確かめて、嘘だとわかったら、さすがに報道できないから、確かめは御法度じゃないかと思われさえする。そして、NHKのように、BPO勧告を受けても、(NHKは「小保方氏の冷凍庫から元留学生のES細胞が見つかった事実を放送したもので、決定が指摘するような内容は放送していない」と反論)するのである。抜け道を作って、尻尾を掴まれないようにしてフェイクを流すのである。騙す騙されない以前の問題である。そして、視聴者は、もくろみどおりに、STAP細胞はインチキだと判断したのである。

結論

 どちらの人たちを騙すのが簡単だろう。

 

5 今、だれが何を支持しているか

 これは、状況からの私の推測です。

 STAP細胞を信じている人

・ ネイチャー

理由 論文は小保方氏が取り下げた。ネイチャーが取り消したのではないから、ネイチャーは論文が間違っているという判断はしていない。

・ ネイチャーの査読者

理由 やはり、自分たちの判断を撤回していない。

・ 丹羽氏、笹井氏、

自分の判断を撤回していない。

 

 STAP細胞は無かったと考えている人

・ 理研

・ 池田氏

・ マスコミ

・ 大多数の世論

・ 若山氏

考察

スタップ細胞をあったと考えている人は、その分野の研究をしている人たちである。また丹羽氏のように実際にSTAP細胞を作ったり、胎盤を検査したりしている。

無かったと考えている人は、科学者でもその分野の人ではない。もちろんマスコミの人も、世論も、その道について研究している人ではない。また、実際にSTAP細胞や、それからできたとされる、マウスと胎盤を調べてはいない。

一人、若山氏だけが、直接、マウスと胎盤を作ったり、小保方氏の指導で、STAP細胞を作ったりしている。この人は、途中から、STAP細胞否定派になった。自分で作ったものを全否定している。自信を持って研究に参加し、発表したのに、何故途中から否定派になったのだろう。STAP細胞ではないという確証をつかんだのだろうか。その確証は述べていない。

 

結論

科学は細分化され深化して、その分野の研究者にしか理解できなくなっているといわれて久しい。また名誉や、富や、権力などの社会的な要素もかかわってくる。本当はなにかを知ることはとても難しいと言える。

 

6 池田氏の予言(本の発行が2015年3月20日)

{残念ながらSTAP細胞はインチキだったけれど、将来、同じような研究が成功する可能性はゼロではない。}

ア 考えかたについて

何となくそれは自然によくあることだと例を述べている。なにも小保方氏の考えが初めてではないというようなニュアンスを述べている。だから、小保方氏のSTAP細胞はインチキだが、小保方氏とは関係なく自然の摂理から今後同じような研究をすれば同じような多能細胞ができる可能性はあるということなのだろうか。小保方氏の手がらではないんだよ、普通にみんなが知っていることだよ、とでも言いたいのだろうか。コロンブスの卵に似ている。

 同じような研究ということは、分化した細胞に科学的刺激を与えると万能細胞に変化するという小保方氏の考えたやり方と同じようなやり方をすると、STAP細胞と同じようなものができるということなのであろう。

 この予言は当たっていただろうか。当たっていたのである。しかもすぐに予言は実現したのである。

(注:コロンブスの卵。コロンブスが講演をしたとき、聴衆は、アメリカに行くことなんてだれでもできると言った。コロンブスは卵を立ててみろ、と言った。誰も立てられなかった。コロンブスが立ててみせると、みんなそんなことは俺にもできる、と言った。真似は誰だってできる。最初にやることが難しいというようなこと。池田氏も、STAP細胞があったから、同じような研究といえたのだろう。STAP細胞がなければ、それまでの生物学者の常識「過去何百年の生物学の歴史を愚弄するものだ」を今も信じているだろう、ということ)

 

イ 同じような研究、について

(この部分{ }内は読売新聞からの引用)

2015年7月17日読売新聞の記事に{始原生殖細胞をips細胞から効率よく作成}と題しての記事があった。{人のips細胞(人工多能性幹細胞)から、精子や卵子のもとになる「始原生殖細胞」を効率よく作成する方法を開発したと京都大の斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームが17日、米科学誌「セル・ステムセル」に発表する。}

{チームはまず、人のips細胞に2種類の化合物を加えて培養し、血液や筋肉のもとになる細胞を作った。その後、さらに、この細胞に別の4種類の化合物をかけたところ、最大で約6割が始原細胞に変化したという。}

 

問題1 STAP細胞、始原生殖細胞、両者の作り方について

 この手法は、STAP細胞を作ったときの小保方氏の手法に何と酷似していることだろう。

 

1 両者の比較

 

小保方氏の方法

STAP細胞の作り方 

 リンパ球→酸性溶液(化学薬品)をかけて培養→STAP細胞(多能細胞)

斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームの方法

始原生殖細胞の作り方 

 ips細胞→化合物(化学薬品)をかけて培養→血液や筋肉のもとになる細胞→化合物(化学薬品)をかけて培養→始原生殖細胞(多能細胞)

 

考察

両者の作り方は瓜二つである。池田氏の予言した「同じような研究が成功」したのである。違いは、作り手と、できた細胞名が違うだけである。

 STAP細胞の作り方は、細胞に化学薬品をかけて刺激することで、普通の細胞を、多能細胞に変化させるという手法であった。

 今回の始原生殖細胞の作製も、細胞に化学薬品をかけて多能細胞に変化させている。手法、結果共に小保方氏の発表したSTAP細胞にそっくりである。違いは最初の細胞が、リンパ球かips細胞かの違いだけである。

特に、斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームの後半部分はSTAP細胞の製法と完全に一致している。

後半部分を比較してみる。

小保方氏の方法

リンパ球→酸性溶液(化学薬品)をかけて培養→STAP細胞(多能細胞)

斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームの方法

血液や筋肉のもとになる細胞→化合物(化学薬品)をかけて培養→始原生殖細胞(多能細胞)

 

まるっきり瓜二つである。小保方氏等は、もとになる細胞はリンパ球に限らないと述べていたから、寸分たがわないということだ。

 

問題 ips細胞だから、始原生殖細胞に変化したのか

考察

斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームの製法は、もとになる細胞がips細胞であるからその多能性が、始原生殖細胞を生んだというニュアンスである。

赤字の部分をとってみよう。

前半部分

 (ips細胞→培養→血液や筋肉のもとになる細胞)となる。

後半部分

(血液や筋肉のもとになる細胞→培養→始原生殖細胞(多能細胞))となる。

普通の場合、ただ培養しただけでは、培養した細胞はほかの細胞には変化しない。

(ips細胞→培養→血液や筋肉のもとになる細胞)も、(ips細胞→培養→ips細胞)となり、(血液や筋肉のもとになる細胞→培養→始原生殖細胞(多能細胞))も(血液や筋肉のもとになる細胞→培養→血液や筋肉の元になる細胞)となるはずである。

ips細胞は多能細胞だからそれから血液や筋肉になる可能性はあるかもしれない、しかし、後半部分の、血液や筋肉のもとになる細胞をただ培養したからといって、多能細胞になることはない。元がips細胞だからといっても、一度、血液や筋肉に分化した細胞は多能性を失ってしまっているはずだ。それをただ培養しただけでは元の多能性を持った細胞に変化することはない。もしips細胞から始原生殖細胞を作るなら、一度、筋肉や、血液の細胞に変化させて、多能性をなくしてから、もう一度、多能性を持った始原生殖細胞に変化させる手間をかける必要はないはずだ。ips細胞の多能性をそのまま生かして、始原生殖細胞に変化させる方が、可能性ははるかに高いのではないだろうか。一度、筋肉や、血液の細胞に変化させips細胞の多能性を取り去る必要性は何なのだろう。

問題は(化合物(化学薬品)をかけて)ではないのだろうか。この作業があったから、血液や、筋肉の細胞が多能細胞に変化したのではないだろうか。これは、小保方氏のSTAP細胞の理論と実践に見られる操作だ。また、池田氏が自然の摂理のように述べて、予言した方法とも同じだ。

このことから、この変化は、始まりが、ips細胞か、普通の細胞かが重要なのではなく、(化合物(化学薬品)をかけて)ということが決定的な作用を及ぼしたということではないだろうか。あと少し考えてみる。

 

次に理研の考えと比べてみる。

理研は、STAP細胞はなかったという結論を発表した。小保方氏の研究は捏造であり、化学薬品の処理では、リンパ球は、多能細胞に変化しないという結論であった。

ところが、斎藤通紀教授と山中伸弥教授らのチームは血液や筋肉の細胞を科学薬品の処理で多能細胞に変化させている。(小保方氏は他の細胞でも可能であると述べている)

理研の考えが間違っているということである。今までも理研は、STAP細胞はES細胞からできたと言いながら実証していない。できないからだ。ES細胞からは胎盤はできないから、胎児も育たない。実証のしようがない。ここで、新たに、血液や、筋肉の細胞を化学処理したら万能細胞ができたという実証があるということは、一度、分化した細胞でも、化学処理すると、万能細胞に戻るという小保方氏の主張と研究が証明されたということになる。普通の場合なら、検証実験が成功したから、STAP細胞は証明されたと言える、となる。

理研の考え、小保方氏の作ったSTAP細胞は捏造である、という考えは、間違っていたということだ。そして、池田氏がこの理研の見解を「ホント」としていることも、間違いであるということになる。

 

 

終りに

池田氏の「ウソ」と「ホント」は、池田氏の考えであって、単に個人的見解にしかすぎません。その見解も、理研という、日本の権威と実質を担っている組織の言っていることとそっくりと同じです。科学の世界も生き残りが権威にしたがうか否かにかかっているとしたら、ガリレオのように、それでも地球はまわっていると言ったり、小保方氏のように、それでもSTAP細胞はあります、と言わなければならない世界になってしまいます。

ということで、何が「ウソ」で何が「ホント」かはよく考えなければならないということです。もちろん私の言ったこともです。

世界の権力の頂点にいるアメリカの大統領まで、フェイクを叫んでいる時代です。今はさも本当らしいいフェイクニュースがネットだけではなく、マスコミでも流れているということのようです。なにが嘘で何が本当かなんて、普通の人が見抜くなどということはほぼ不可能です。でも、だれが何と言おうと言うまいと、地球が回っているのは事実です。人が知ろうが知るまいが、カラスが知ろうが知るまいが、事実は事実です。事実は人やカラスの認知とは関係がありません。

まあ、認知症予防をかねて、考えるカラスの真似っ子をして、たまには嘘と本当を考えてみるのもいいかもしれませんね。

2019年6月13日