「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 43

著者 高田敞

 

     

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{ゆっくり動くダークマターが銀河の種になったようだ}(P142

問題1

{ニュートラリーノやアクシオンがダークマターだった場合}

{ダークマターはある程度の大きさでまとまると,それ以上は小さくなりません}の根拠。

考察1

{ダークマターの密度のむらが徐々に成長していきます。}

これは、ダークマターの重力で収縮していくということなのだろう。すると、互いが接近する速度は上がっていくことになる。接近すると、重力は距離の2乗で増えるので、接近速度はますます速くなる。

 ところが、{ダークマターはある程度の大きさでまとまると,それ以上は小さくなりません}とある。

 本来速度を上げながら接近するはずなのにあるところで止まるということだ。その理由が、電磁波を出さないことだと書いてある。

 しかし、これでは、速度を上げていたダークマターが止まる原因の説明にはならない。

重力に引かれて速度を上げて接近したダークマターは衝突する。すると、跳ね返る。どこまで跳ね返るかというと、もとの距離までだ。普通の物質は、衝突で運動エネルギーを熱エネルギーに変えそれを電磁波で放出するから、もとのところまで跳ね返れない。普通の物質は、ボールが何度か跳ね返った後地球にくっつくように、くっつく。ところが、ダークマターは、位置エネルギーを運動エネルギーに変えて速度を上げて接近し衝突した後、反発して、もとの位置まで戻る、運動エネルギーを熱に変え、それを電磁波で外に放出できないから、運動エネルギーはそのまま残ってしまうからだ(エネルギー保存則)。跳ね返ったダークマターは、運動エネルギーを重力のために位置エネルギーに変えながら、もとのところまで戻る。元のもどるとすべての運動エネルギーは位置エネルギーに変わってしまうので止まる。そしてまた重力に引かれて、接近し、衝突して跳ね返るということを繰り返す。決してむらは成長しない。

ではダークマターが衝突しないですり抜けるとしたらどうなるだろう。やはり同じことが起こる。重力により位置エネルギーが運動エネルギーに変わり速度を上げてすれ違う。今度は逆に、運動エネルギーが位置エネルギーに変わりながら、遠ざかり、もとと同じ距離だけ進んだら運動エネルギーは総て位置エネルギーに変わって止まる。投げ上げたボールが、上空で止まり、また落ちてくるようなものだ。そしてまた接近し、すれ違って、同じ距離だけ進んで止まる。このときも、決して距離は縮まらない。ダークマターにむらがあっても、位置エネルギーを放出する手段がないときは、ダークマターは決して縮むことはない。エネルギー保存則である。

したがって、{ダークマターはある程度の大きさでまとまると,それ以上は小さくなりません}とあるのは間違いである。万有引力があるもの同士の距離が縮まると、位置エネルギーが少なくなる。その少なくなったエネルギー分を何か他のものに変えなくてはならない。そうでないとエネルギー保存則に反することになる。

ダークマターがある程度の大きさまで縮む理由を述べなくてはならない。そしてそれ以上縮まない理由も述べなければならない。銀河ができるときの重要な仕組みなのだから科学的根拠なのだから科学的根拠を示さなくてはならない。根拠はあるのだろうか。最後まで縮むのは無理だけど、重力があるのだから少しは縮んでもいいだろうくらいなのだろうか。もしそうなら科学ではない。

考察2

{ダークマターのむらが成長し、普通の物質を周囲から集めます。このときのむらの大きさは銀河程度になるので,ダークマターは銀河の種になれます。}

{ニュートラリーノやアクシオン}は謎の物質だ。発見もされていない。したがって、その性質は推測以外何もわかっていない。性質がわかっていないのに、{むらの大きさは銀河程度になるので}といいきっているのは変である。そして推測されているこの二つの物質はまるで違う性質を持っているといっている。それなのに同じ大きさになるといっている。たんに、自分が欲しい大きさ(銀河ができてほしいから銀河ができる大きさ)にしているだけだ。

ファーストスターを考えた吉田直紀教授は、{300光年くらいの範囲に,太陽の100万倍くらいのダークマターが集まります。}と述べている。この人は星ができる大きさがほしいから星ができる大きさのダークマターまで収縮させている。意見はまるで違う。共通しているのは、自分の欲しい大きさにしているということだ。

なぜ大きさが人によって違うのか。
 エネルギー保存則を無視しているからそうなる。エネルギー保存則から考えれば誰が考えても同じ大きさになるはずだ。エネルギー保存則という証明されている科学的理論を無視しているから、自分の必要な大きさにしてしまうのだ。科学ではないということだ。

まとめ

ダークマターは存在するか

  ダークマターは観測されていない。

 見えないからというのはいいわけである。観測できるはずの重力でも観測されていない。地球にも太陽系にもそのような謎の重力源はない。これはダークマターが存在しないということの証拠だ。

 いや、銀河の回転や、銀河団の動きから謎の重力源がある、というのは、そうだろう。しかし、それが謎のダークマターであるという証拠はない。

宇宙に通常の物質の5倍もあるものが、太陽系に痕跡もないのは大きな矛盾である。太陽系にあるといっているが、重力で観測できていないのだから、存在していないはずだ。見えないという言い訳をしてその観測をするための観測装置まで作っているのは言い訳の上塗りだけだ。観測できる重力については決して観測しようとしない。謎の重力がないのがわかっているからだ。そうでなければ一番簡単に観測できる太陽系のダークマターの重力を検出し、太陽系のダークマター量と分布を複雑な高等数学で計算するはずだ。少なくともその努力はするはずなのに、だれもいっさい手を出さない。そのような重力がないのは、今までの観測からわかっているからだ。