「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 37

著者 高田敞

 

 

     

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{ビッグバンでの素粒子誕生を加速器で再現}(P102)

問題1

{光速に近い速度まで加速させた陽子どうしを正面衝突させます。すると陽子の中にあるクウォークどうしが激しくぶつかり,そこから別の素粒子が新たに生まれます。規模は小さいですが,ビッグバンで起きた素粒子の誕生と同じです。}

考察

(1)加速器の実験はビッグバンを再現しているか?

ビッグバンのときは、真空から素粒子が生まれたといっている。ぶつかりあった物質は何もない。加速器の場合は、{陽子の中にあるクウォークどうしが激しくぶつかり,そこから別の素粒子が新たに生まれます。}ということだ。物質同士の衝突から生まれている。まるで違う現象である。

真空には物質はなにもない。なにもないところから物質が生まれるのだから不思議なのである。陽子衝突では、最初から陽子という物質がある。物質が他の物質に変化しただけである。不思議なことではない。

車を時速200kmで正面衝突させてみる。様々な形の部品が飛び出してくる。とても車だったとは思えない。陽子を光速で正面衝突させれば陽子が粉々になって、さまざまな破片になって飛び出してくるのじゃないだろうか。それを{そこから別の素粒子が新たに生まれます。}ということにしているのじゃないだろうか。車の破片は新しいのだろうか。飛び出してきた別の素粒子は元もと陽子の一部が変化しただけのものじゃないのだろうか。真空から生まれたのじゃなく。

(2){そこから}とはどこからか。真空からか?

{「LHC」では、光速に近い速度まで加速させた陽子同士を正面衝突させます。}ということだ。このとき陽子は空間の中を光速に近い速度で飛んでいる。このことから、陽子は、光速に近い速度で空間に衝突していることになる。それも連続して衝突している。しかし、何もそこからは出てきていない。光速という、物質としてはこの世界でもっとも速い速度で物質が空間にぶつかっても空間からは何も出てこないということの証明実験でもある。

空間から粒子が生まれたビッグバンとは完全に違うということの証明だ。実際、どのような加速器でも、空間から直接何かが生まれたという実験はない。今のところ、何かを飛び出させるには物質に衝突させるしかない。

 

 

結論

{ビッグバンで起きた素粒子の誕生と同じです。}は、なにゆえに同じなのかの根拠がないということがいえる。なにもない空間から生まれたことと、陽子の衝突から生まれたという現象はまるで違う現象であるといえるから、{同じです}とはいえない事の証明である。

 やはり、これも、インフレーションビッグバン論の手前みそな解釈であるといえる。