「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 31

著者 高田敞


     


(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{素粒子が生まれ,宇宙は灼熱状態になった}(p90)

このときの宇宙の状態

時刻    誕生後10−27

大きさ   1000km

温度    1023

出来事   素粒子ができた

      火の玉になった

      緩やかな膨張に変わった

名称    ビッグバン

問題

{宇宙を急膨張させたエネルギーから、物質のもととなる素粒子が誕生したと考えられています。その種類はおそらく100種類以上に上ります。これらの素粒子の中には,「ダークマター」も含まれていたと考えられています。}

考察

この時できた素粒子はどれくらいあるのだろうか。ビッグバン宇宙論では、物質は火の玉宇宙のときにできたことになっている。その後はそれが拡散していっただけだ。

すると、このときに今の宇宙にあるすべての物質とダークマターの元となる素粒子はできたと考えられる。

ダークマターは、通常の物質の、約5倍ほどだということだ。

すると、この時できた粒子は、それだけで今全宇宙にある物質の6倍になる。これだけの粒子が直径1000kmの宇宙空間に入っていたということになる。

これだけのものが、直径1000kmの宇宙の中に詰め込まれている。通常なら、ブラックホールになってしかるべき状態だ。銀河系1個分だってここに詰め込んだらブラックホールになる。銀河は数千億個あるといわれている。それなのに、宇宙はブラックホールにならずにこれらの大量の粒子を引き連れて膨張していくという。いまの宇宙とはまるで違うビッグバン仕様の物理法則なのだろうか。たぶんそうなのだろう。都合次第で何でもありという法則だ。

問題2

{素粒子が生まれた灼熱の宇宙}の図

考察

{素粒子が生まれた灼熱の宇宙}の図では、素粒子は普通に飛び交っている。素粒子間の間も十分ある。これでは、太陽の中心の方がぎっしり詰まっている。せいぜい溶鉱炉の中くらいじゃないだろうか。直径が1kmといったって、こんなスカスカでは、今ある宇宙のすべての物質がここに入るわけがない。この量ではせいぜい小さな石ころ3個くらいしかできないだろう。なんとも不合理で適当な図だ。

 

結論

 全宇宙の物質がビッグバンのときにできたとすると、必ずブラックホールになる。その上、重力を持ち、物質の5倍もの量があるダークマターまでできたというのだから、物質は完全につぶれるだろう。銀河系中心のブラックホールの周りでも空間はつぶれていないようだから、空間はつぶれないにしても。

 ビッグバンはそれでも膨張するという。不思議なことだ。宇宙誕生のめでたい時だから、ややこしいことは抜きにして考えようということでもないのだろうが、今わかっている物理の理論を、もう少し尊重してもいいような気がするのだが。