「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 28

著者 高田敞

 

     

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{宇宙の始まりは「特別な瞬間」ではなかった}

 

問題1

{虚数時間が流れる世界では,計算上,空間と時間を同じレベルであつかえるといいます}

考察

{計算上,空間と時間を同じレベルであつかえる}という。

 では、空間とはどのような構造をしているというのだろうか。中身は何なのか。わかっているのだろうか。この本では、真空だの、揺らぎだの、無、だの、あるいは、膨張するとか、収縮するとか、曲がるとかいっている。

しかし、真空の構造は物理学的に何もわかっていないのが現状ではないのだろうか。膨張一つとっても、空間の構造がどのようになることなのか説明すらできないのが現状ではないのだろうか。

 時間もそうだ。時間とは何かということに答えられる物理学者はいないだろう。もちろん正解を。

 そのもの自体がわかっていない二つのことを、{空間と時間を同じレベルであつかえる}というのだ。その原因が、虚数時間ということだ。この虚数時間も、実際にどのように流れるのか、どのようなことなのか、何一つ分かっていない。何一つ分かっていない3つのことを混ぜると、{同じレベルであつかえる}ということになる。昔、この世界は、火と、水と、土でできているといっていた方がよほど理にかなっている。

 計算上のことであると断っている通り、実際のことではないということなのだろう。いわゆる机上の空論ということだ。

結論

どんなに素晴らしい計算であっても、計算式から、猫が生まれたり、鳥が飛び立ったりはしない。計算式は計算式にしかすぎない。

 何一つ分かっていないことなのに計算式ではわかったことになるのは、計算式が間違っているということを示唆しているのかもしれない。計算式をもう一度見直す必要がありそうだ。

問題2

{宇宙の始まりで、空間と時間が同等になると、・・・・他の時期の宇宙と何ら区別されない}

考察

・ 現在の宇宙は、時間と空間は異なっているといえる。ところが、宇宙の始まりの虚時間のときには、{空間と時間が同等}であるということだ。このことから、今の宇宙と、虚時間のときの宇宙は同等であるとは言えないことがわかる。

・ 宇宙の始まりのときには、虚時間が流れていたということだ。今は実時間しか流れていない。今の宇宙と、始まりの宇宙は同等であるとは言えない。

結論

相変わらず、あちらを立てればこちらが立たず、である。

 

問題3

虚時間の時間方向

考察

P83の図では、虚数時間の方向と、実時間の方向が一致している。虚時間と実時間の区別は存在しないようだ。

 いったい虚時間とはどういうものなのか。虚時間が実在するといっているが、実在するとすればどのように流れているのか。実時間とはどのように違うのか。

加速は反対になるということだ。そうすると、「無」からできたばかりの{宇宙の「卵」}がどんどん小さくなり「無」に向かって進むことになり、宇宙はできなくなってしまう。卵はとても小さいから、すぐなくなるだろう。

結論

 虚時間とは{私たちの日常生活の中で流れている時間とは全く異なる}ということなのだが、虚時間そのものについては何も述べていない。虚時間について何にもわかっていないから何にも言えないのだろう。もちろん実時間そのものについても何もわかっていないのだが。共になにも解っていないということにおいては同等のレベルであるといえる。

インフレーション論の都合で考えだされた虚時間だから、インフレーションに都合のいいことにしか働かないのだろう。それ以外は関係ないということのようだ。

ま、おとぎ話だね。虚時間が実際にどのように存在するのかが不明であるし、実証もされていないから、せいぜい良くてSFというところでしょう。