「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 26

著者 高田敞


   


(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{下に落そうとしたリンゴが上に上がる?}(P78)

 

問題1

{実数時間の世界では,リンゴは下方に落ちていきます。ところが,虚数時間の世界では,リンゴは上に上がっていくことになるのです。}

考察

{虚数時間の世界では,リンゴは上に上がっていくことになるのです。}とあるが、それはどのような仕組みでそのようになるのかの説明がいる。「i」は「−」ではない。

 {虚数時間の時間が流れる世界は}そうなのかもしれないが、その世界は、「あの世の世界では」、とどのように違うのだろうか。あるいは「魔法の世界では」とどのように違うのだろうか。あの世も,魔法の世界も、現実ではないが、虚数の世界は実際の世界だと胸を張って言えますか?いえないでしょう。そんな世界があるわけないのですから。

 

@ 力がマイナスになったときの動き

重力が斥力になるという現象である。

このことから物質があったらどうなるか考えてみる。

車で考えてみる。車のタイヤが回転する。道路を後ろに押す。すると、車は力のかかる向きの反対に動くのだから、後ろに進む。そのときタイヤはスリップするのだろうか。スリップすると、力は減じ、後退速度が落ちるということになるのだろうか。

エンジンの内部を見てみよう。ピストンがシリンダー内のガスを圧縮したときガソリンに点火する。普通ならピストンは押し下げられる。しかし、虚数時間のときは反対に動くのだから、ピストンをさらに引き寄せようとする。しかしピストンはそれ以上は上には行けない。ピストンは動けないことになる。

飛行機を考えてみる。プロペラが、前進の力を作る。普通なら前に進む。虚数時間では後ろに進む。プロペラで押された空気は前に進む。前に進む空気は、反発力で飛行機を後ろに進ませる力が働く。虚数時間では力に逆行するから、飛行機は前に進む。

飛行機は、ちゃんと前に進むようだ。では前に進むとどうなるか。普通の揚力は上に働く。したがって飛行機は下に進む。飛べないことになる。なるほど。

人間を考えてみよう。歩くとき後ろに地面を押す。すると、虚数時間では、人は後ろに進む。ところが、足を前に出そうと力を加えると反対に足は後ろに進む。後ろに進む足は反発力で地面を前に押す。その反対だから、身体は前に進む。

虚数時間の世界では、非常に複雑な動きが起こりそうだ。シンプルイズビューティーとはいかないようだ。

では、{宇宙の卵}はどうなるだろう。インフラトンが膨張のエネルギーを出すと、その反対に動くのだから、宇宙は収縮してしまうことになる。このときはまだ重力はできていないから、リンゴが上に上がるようなことは起こらないから、重力による膨張は起こらない。インフレーションは起こらないことになってしまう。宇宙の卵は一瞬より短い時間で縮んで消えてしまう。

A 虚数時間の流れ方

では虚数時間とは何なのだろう。{虚数時間の世界では、この式の時間の項が「i×時間」に置きかわります。}とあるから、虚数時間の世界では時間は「i×時間」という時間が流れているのだろうと推測できる。この時間はどのように流れているのだろう。少なくとも、今の世界の実時間と同じ流れではないはずだ。

この「i×時間」が実際にどのように流れるのかを説明する必要がある。

B重力が「−」になる物理変化

 計算式では重力が反対に作用するということだが、現象として、万有引力が斥力になる物理的変化はどのようにして起こるのだろう。その説明も必要なはずだ。

結論

虚数時間について、何一つ理論も実証もないのだから、これは、まだまだサイエンスフィクションの段階であるといえる。SF小説では面白いかも。殴ろうとしたら殴られていたり。銃を撃ったら、自分に当たったり。いじめているつもりがいじめられていたり。愛しているつもりが憎んでいたり。猿が木から落ちたり、だんだん若返ったり、ライオンがシマウマに食べられたり、太陽が地球のまわりを回ったり、それが日常ならそれが当たり前になるかも。