「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 24

著者 高田敞

     



(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{宇宙の山をこえる「トンネル効果」が,宇宙の誕生に役立った}P68

 

問題1

{トンネル効果は,大きな物体ほど起こる確率が低くなる現象です。}

考察

宇宙は大きい。{私たち人間のような大きな物体が,トンネル効果で楽をして山の向う側に行きつける可能性は完全にゼロとはいえないですが、おこらないと考えてよいでしょう。}とある。宇宙は人間より格段に大きい。したがって、トンネル効果が{起こらないと考えてよいでしょう。}となるはずだ。

宇宙は最初、ミクロな粒子だったからトンネル効果は起こったといいたいのだろう。しかし、この広大な宇宙がミクロな粒子になるはずがない。人間一人だってミクロな粒子が膨大に集まっている。地球全体でどれくらいあるか。宇宙全体でどれくらいあるか。考えてみなくてもそれくらいはわかる。そんな小さなところに宇宙が詰まるわけがない。

一歩譲って、インフレーションビッグバンが正しいとして、もし大きさがミクロな粒子として宇宙が生まれたこととしてみよう。すると、その粒子が、10−34秒の時間で、1の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍の38倍に増えることになるのだ。ものすごいエネルギーだ。この本がよりどころの一つとしている相対論ではエネルギーと質量は同じだといっている。生まれた宇宙は、形はミクロでも、空間を膨張させる膨大なエネルギーを持っている。巨大なエネルギーを持った宇宙は巨大な物体と同じだということになる。形は小さくても実態は宇宙と同じ巨大さを持っているということだ。

これなら、人間1人がトンネル効果で山の向うにすり抜ける方が38万の1千京倍くらいは簡単だ。

結論

なんで38倍かって。嘘の三八。インフレーション論の桁はずれの数字の物真似。インフレーション論の数字だってもったいぶっているけど科学的根拠も実証も何もないこけおどしみたいなものなのだ。もちろん私のは口から出まかせ。インフレーション博士たちのは、権威の出まかせ。いやそうではない、われわれは理論的にうんぬんというのでしょう。しかし、今の物理学では説明できない現象や出来事ばかりでできているインフレーション宇宙の、物理学的根拠を示して、実証して見てほしいものだ。それくらい科学の常識です。でもそんなことはしないで、昔のことだから、解りようがないし、実証しようがないというのでしょう。今の物理学では限界があるというのでしょう。その他の言い訳を五万と並べるのでしょうが、言い訳は言い訳で、決して科学ではないのです。

 

問題2(P72)

{宇宙は空間も時間も何もない「無」から生まれた,という仮説「無からの宇宙創成」を発表したのです。}

考察

宇宙は「無」から生まれたという。素晴らしいことだ。「無」は何でも生むのだ。鶏のまねして、宇宙の卵など産むのだ。

 おそらく、「無」はこの宇宙のほかにも38個ほどいろいろなものを生んだんじゃないだろうか。神様とか、八百万の神とか。恐竜とか。ウルトラマンとか。バルカン星人とかその他不可思議なものを。いや、八百万の神を生むと、それだけで38個はこえてしまうか。

 まず空間も時間もない「無」とはどういうものなのかを物理学で説明することが先決だ。

・ “無”の宇宙とはどういう宇宙なのか。真空の宇宙とはどのように違うのか。

・ 空間がないとはどういう状態か。

・ 生まれた宇宙の外側は何か。

・ 大きさ0の宇宙の卵=“無”ということは、卵は無ということだ、そんなのが卵といえるのだろうか。卵ケースの中に何も入ってなくて、そんなもの卵として買う人はいない。それでも空気は入っている。無が卵であるということの科学的説明がいる。証明も。

・ 時間がないということはどういう状態か。

・ 時間がないところに、卵が生まれるという現象が起こっているとすると、時間が動いているということではないのか。時間0で起こる現象があるのだろうか。

 

問題3

・{宇宙の卵がトンネル効果を使って“山”をこえ、はかない運命の宇宙から、急膨張する宇宙に転じて生じたものだ}

考察

宇宙はなく“無”しかないのに、“山”があるというのは変な話だ。

この山はどこにあったのか。宇宙の外だから、“無”の中にあったのだろうか。宇宙を巨大化するというのだから、富士山よりは大きかったのだろうか。

“無”という幻想の中の、幻想のエネルギー供給の山ということだ。そんな状態もそんな山も、インフレーション論には不可欠でも、現実には存在しない。“無”の物理学的証明と、“無”の中に存在する“山”の物理学的理論と証明が必要である。できないでしょう。当然です。そんな“山”はないのですから。

結論

 空間も時間もない“無”の中に“山”があるという。不思議な“山”だ。都合によって何でも消せるし、何でも現れる。ドラエモンのポケットはとても便利だ。まあ、単なるファンタジーですね。

問題4

{何と、宇宙の卵の大きさがゼロであってもトンネル効果が起こる}

考察

この、{大きさがゼロ}の{宇宙の卵}とはどういう構造をしているのだろう。どれくらい温めたら孵るのか、物理学で説明する必要がある。

{むしろ0にした方が計算は単純になりました}なんて当たり前だ。

卵ケースが、47398個ある。それぞれにゼロ個の卵が入っている。全部で何個の玉が入っているでしょう。答えは、ゼロ個。簡単だ。

「ゼロ」の卵などありえない。大きさゼロの卵とはどんなものか、説明の必要がある。そんな卵が物理学的に存在するわけがない。

結論

馬鹿ばかしいの一言である。科学者がよくこんなことを言うこと。

無が揺らいだり、ゼロが山を潜り抜けたり、好き放題だ。無とは何か、ゼロとは何か、定義を考える必要がある。無が揺らいだら、それはもともと無の定義ではない。0が山を潜り抜けたらそれはもはや0の定義ではない。無ではなく何々である、0ではなく何々であると説明しなくてはならないはずだ。何かがあったり起こったりしたら、それがどんなにかすかでも、それはもはや無でも0でもないはずなのだから。