「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 16
著者 高田敞
(以下{ }内は上記本よりの引用)
{現在の加速膨張は「第2のインフレーション」!?}P49
問題1
{銀河やガス、そのほかの物質による重力は、宇宙空間を収縮させようとします。}
考察
重力が空間を収縮させるという理論は存在し、それは証明されたのだろうか。アインシュタインは重力が空間を曲げると言った。しかし、それは収縮させるということではない。
ブラックホールは空間を収縮させているだろうか。
ブラックホールの巨大な重力が空間を収縮させると、その周りの空間がそこに引き込まれる、するとその空間もブラックホールに引き込まれる。空間が引き込まれて無くなったところは何なのだろう。薄い希薄な空間が残っているのだろうか。その空間もブラックホールの重力で引き込まれてしまうだろう。区間がなくなってしまったところは何になるのだろう。周りからそこを埋めるために空間が押し寄せるのだろうか。押し寄せた空間のあったところはどうなるのだろうか。薄まった空間があるのだろうか。
押し寄せた空間もやはりブラックホールに引き込まれてしまうはずだ。これの繰り返しで、ブラックホールの周りは空間が際限なく引き込まれてしまう。空間を供給し続ける周りの空間もブラックホールができて100億年もたてば種切れになるだろう。ところが、銀河系の中心の巨大 ブラックホールのまわりにも銀河系にも空間は普通にあるようだ。矛盾する。
また、通常の物質は、ブラックホールに引き込まれるが、慣性質量を持っているから、速度に応じた遠心力が発生し、なかなか簡単にはブラックホールに引き込まれない。銀河系の物質が、中心の巨大ブラックホールに100億年を超えても引き込まれていないのは、銀河系の回転によって起こっている遠心力による。
一方、空間は慣性質量を持たないようだから、遠心力が発生しない。すると、空間は簡単に引き込まれるはずだ。ブラックホールは、空間を永遠に引きずり込み続ける。ところがそのような観測はない。
ところで、引きずり込まれた空間はブラックホールに落ち込んでどうなるのだろうか。永遠につぶれ続けるのだろうか。それとも降り積もるのだろうか。
何もない空間が引きずりこまれたり、降り積もったりできるのだろうか。
インフレーションビッグバン理論でも、空間を膨張させるのはインフラトンとか、ダークエネルギーとかである。ニュートンの万有引力は物質間に働く作用で、空間には働かない。アインシュタインの重力は、空間は曲げるが、空間を縮めたりはしない。(空間を曲げるということも、空間はなにか、空間の構造はどのようになっているのか、重力が空間のどこにどのように働いて曲がるのか、曲がるのはどこがどのようになるのか等、アインシュタインは何一つ分かっていないから、知らんぷりしている。その後の相対論者も空間について何もわかっていないから、やはり知らんぷりしている。証拠も、エディントンの観測は、重力ではなく、太陽大気の屈折現象にすぎない。素人でも分かることを物理学者がわからないわけはない。物理学者は屈折現象とわかっていても知らんぷりだ。たてつくのが怖いのだ)
ところが、空間の収縮に関しては{物質による重力は、宇宙空間を収縮させ}ると述べている。これだけは謎の力ではないようだが。万有引力にしろ、重力にしろ空間を収縮させているという観測はないから、その点で謎の力になる。
結論
重力が空間を収縮させるという新説を証明してからこの論は進める必要がある。そんなことは起こっていないから証明はできないと思うが。
問題2
{宇宙空間を満たし,空間を押しひろげる斥力を生みだしている正体不明のエネルギー源は「ダークエネルギー」とよばれています。
考察
この「ダークエネルギー」は、太陽系や、銀河系や、大小マゼラン雲、アンドロメダ銀河までの空間は押しひろげていないが、遠い宇宙空間は押し広げているようだ。
これは、重力の力がダークエネルギーに打ち勝っているからだ、とインフレーションビッグバン論者は言っている。
しかし、こうも言える。近くていろいろな観測が正確にできるところでは空間膨張はないが、遠くて、観測が不正確なところでは宇宙空間が広がっていると。
ダークエネルギーは何故太陽系を膨張させられないのか。遠いところだと巨大な銀河団を猛スピードで吹っ飛ばしている。ところが、カイバーベルトにある、小さな氷の塊でさえ太陽から引き離せない。太陽の引力の方が大きいという。
銀河や銀河団は宇宙の巨大構造を構成している。これは、万有引力によって結びついた構造だ。巨大な銀河団の巨大な引力による結びつきだ。それに比べてほこりにもならない小さな太陽とそのまたほこりにもならない小さな氷の塊との引力の方がはるかに強いということなのだ。
赤方偏移は、光が分子に衝突することで起こっていることが観測されている。したがって、赤方偏移があったからといって、空間膨張があるとは言えない。他の観測で、空間膨張が証明されなければならない。ところがその証明はない。
結論
空間が膨張するとしたら、46億年間太陽系が膨張しないのは不思議なことになる。遠くでは、巨大な質量の銀河団を動かしている、空間膨張が、取るに足りない、太陽系の重力にも打ち勝てないどころか、髪の毛一筋も動かせないのは、理に合わない現象だ。
空間膨張は、赤方偏移以外の観測の結果が必要である。
問題3
{「ダークエネルギーの問題はおそらく既存の理論では解明することが難しいでしょう」}
考察
既存の物理学では、ありえないエネルギーであるということだ。これはインフラトンにもいえる。インフラトンも既存の物理学では解明できないエネルギーだ。そのほかにも、空間膨張の問題もある。これも、既存の物理学では解明されていない。又、原子より小さな偽真空というものから、宇宙すべての物質と、エネルギーが生まれるということも、既存の物理学では解明できていない。空間が銀河団を動かす仕組みも解けていない。
要するに、インフレーションビッグバンの理論はすべて、既存の物理学では解けないことばかりだ。分かっているのは、遠い銀河ほど、赤方偏移しているということだけだ(注1;後述)。
インフレーションを起こしたのはインフラトンである。今の空間を膨張させているのはダークエネルギーである。ではこれらのエネルギーは空間のどこにどのよう作用して空間を膨張させているのか、仕組みを述べよ?と聞いたら、答えは、わかりません、であるだろう。
1立方メートルの空間を1立方センチメートル膨張させるにはインフラトンどれくらい消費するのか。又ダークエネルギーではどれくらい消費するのか。もちろん答えられないですよね。
注1;赤方偏移の原因についての比較
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空間膨張 |
原子や分子に衝突してエネルギーが減じる |
理論 |
空間とは何か。 空間膨張の仕組み。 空間膨張が光を引き延ばす仕組み。 などがわかっていないから、理論はない。 |
電磁波である光が分子に衝突すると、その電子を弾き飛ばす。そのために弾き飛ばすためのエネルギーが消費されるために光はエネルギーを減じる。 今の物理学の理論で証明できる。 |
実証 |
存在しない。 |
銀河系内の恒星の光の赤化現象 太陽の中心で光がγ線で発生し、太陽面に出てくるときは、可視光線になっている。これは、途中で水素分子に衝突することで、エネルギーが減じ可視光線まで赤方偏移している。 銀河の光が、銀河間物質に衝突していることが、スペクトルで観測されている。 |
このことから、銀河の光が赤方偏移する原因を空間膨張とすると、科学的根拠はないといえるが、銀河間分子に衝突することでエネルギーが減じるとすると、今の物理学で、理論も実証もあるといえる。
結論
インフレーションビッグバン説は、既存の物理学では、何一つ証明できないことで成り立っている。証拠はかろうじて、遠い銀河ほど赤方偏移している、だけである。それさえ、空間膨張が原因であるというには科学的証拠がない。理論もない。ところが、赤方偏移は宇宙空間の水素を中心とした原子や分子に光が衝突して起こるとすると、既存の理論で説明できるし、太陽光や、銀河系内で起こっている赤化現象などで観測もされている。理論も観測による実証もある。
では何を持ってインフレーション宇宙は証明されたのか。科学的根拠ではない。単なる思い込み以外にない。キリスト教が関係しているとは思いたくはないが。科学もやっと神のひざ元にせまってきた、とか。なぜか、インフレーション論には神という言葉がよく出てくる。