「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 12

 

著者 高田敞

 

     

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{インフレーションが,銀河や銀河団の“タネ”を植えた}P40

 

問題1

{単純なビッグバンモデルでは広大な範囲に種を“植える”方法が見つかりませんでした。}

{構造の種を宇宙に“植えた”のはインフレーションだと考えられています。}

{「量子ゆらぎ」によって,インフラトンのつくるエネルギーの分布はわずかに不均一になっています。このインフラトンの不均一さがインフレーションによって一瞬のうちに拡大され,火の玉宇宙での物質密度の分布の不均一さに転化しました。}

考察

量子揺らぎが原因でインフラトンに不均一ができ、{インフレーションはその不均一さが均一化する暇を与えず、一気に宇宙サイズに拡大し}たということだそうだ。

 ところが、その後起こったビッグバンは38万年の間、超高温の火の玉であったということだ。中でも、{宇宙誕生後100万分の1秒後、宇宙は数兆℃という超高温だったと考えられています。このとき、電子や「クオーク」とよばれる素粒子、それらの反粒子は、バラバラの状態ではげしく飛び交っていました。}というのだから、インフラトンによってできた不均一は、このときバラバラに飛び散り、解消されるのではないだろうか。

また、その後、今の宇宙にある物質の10億倍あった素粒子は同じ量の反粒子とともに対消滅するということだ。今ある物質の20億倍もの粒子が対消滅するのだ。E=mcを考えると、粒子がエネルギーになったのだから、すごいエネルギーになるはずだ。もし、100万分の1秒後にもまだ量子ゆらぎがインフラトンにつくった不均一が火の玉に残っていても、ここで、その不均一は完全に吹き飛ばされて新たな宇宙空間になるはずだ。少なくとも、インフラトンがつくったという不均一はなくなるはずだ。

 そのうえ、この中で生まれた粒子は、今あるすべての物質とその10億倍の粒子と、10億倍の反粒子と今ある宇宙の全物質の5倍強のダークマターと陽子の150倍ほども質量のあるヒッグス粒子である。これが、小さな宇宙空間の中に詰め込まれている。それらが発生させた巨大な重力は、それ以前にあった量子揺らぎを引き延ばしたインフラトンのかすかな不均一など一瞬で均一化してしまうのではないだろうか。

結論

{インフレーション期の宇宙は、10の数十乗分の1という一瞬に,大きさが数十桁も増大したと考えられています。}とか、宇宙の温度は1023℃とか、100万分の1秒後とか、大きな数字を出している割には起こることは静かなものだ。量子ゆらぎが何時までもちゃんと残っているのだから。大げさな数字の割には、かすかな、検出することさえできないほど小さなゆらぎさえ消せないのだから、なんとも静かなものだ。ビッグバンの火の玉を、墓場に飛ぶ火の玉くらいにしか考えていないんじゃないだろうか。火の玉が出たというと、大騒ぎだが、その火の玉が現実世界に何もしないところなどそっくりだ。

それとも、いや、超新星くらいには考えていますよ、ということなのだろうか。

 

問題2

 {ミクロな世界では、量子ゆらぎによって,インフラトンの作るエネルギーの分布は必然的にわずかに不均一になります。}

考察

インフラトンは、全宇宙を超高速で膨張させたエネルギーのもとだ。量子揺らぎは、現代科学でも観測できないくらい小さなゆらぎだ。

 比べてみよう。

私がジャンプする。地球を蹴るときと、着地するときに力を与える。このとき地球の軌道は変わるだろうか。変わらない。

 私が地球に与えたエネルギーと、量子揺らぎはどちらがエネルギーが大きいだろうか。10×1031倍ほど私のジャンプ力が大きい。

 地球と宇宙はどちらが大きいだろうか。10×10458倍ほど宇宙が大きい。

 大きな力(ジャンプ)で小さなもの(地球)が動かないのに、小さな力(量子揺らぎ)で、大きな力、(宇宙を急膨張させるインフラトン)を動かすというのはエネルギー的に見て大きな矛盾である。

 

問題3

モノポールと揺らぎ

考察

モノポールは、インフレーションで引き延ばされて、観測できないくらい拡散してしまったということだ。

 では、揺らぎも、観測できないくらい拡散してもいいのではないだろうか。ところがそうではないみたいだ。揺らぎはしっかり残って銀河のなるという。

 何故、モノポールはなくなり、揺らぎは残ったのかの理屈がいる。もちろんそれはないでしょうね。

結論

 やはり、何事もインフレーションビッグバン説の都合次第のようだ。

 

問題4

 もしインフレーションが終わったときこの本のように直径100mほどの宇宙としたら宇宙はどうなるだろう。火の玉で済むのだろうか。

考察

 なぜなら、この時点では宇宙は、ブラックホールになるほど、密度は高かったはずであるからだ。直径100mの中に物質が詰まっていては、太陽1個だってブラックホールになってしまうのに、全宇宙の物質が詰まっていたということになるのだから、火の玉どころではない。

 ではどれくらい大きいとブラックホールにならないかというと、宇宙の全物質の量がまるでわからないから、判断のしようがない。この本では、ほぼ無限に宇宙が広がっているようなことを書いてあるから、物質もほぼ無限にあるということだから、直径が1億光年あってもブラックホールになってしまいそうだ。

 それはさておき、ブラックホールにならないくらい大きくなってから、物質ができたとしよう。すると、そのとき、今ある銀河よりかなり密度が高かったはずだ。その後、宇宙は膨大に膨張したのだから。

ところが、あるところまでは、物質は重力に逆らって離れていっていいったという。それがある程度離れると、今度は、銀河団や銀河や星になるために収縮し出したということだ。

ハッブル定数は距離が離れると大きくなる。反対に、重力は距離の2乗に反比例して弱くなる。すると、空間膨張で粒子間が離れるから、どんどん斥力が強くなる。反対に重力はどんどん弱くなる。いったん離れると、収縮は不可能になるはずだ。すると、星ができるためには、宇宙ができたとたんに物質は収縮し始めなくてはならなくなる。離れるものは常に離れ、収縮するものは常に収縮していなくてはならなくなる。

 では収縮はいつから始まったのだろうか。インフラトンが物質を作った時からだ。ビッグバン論だとそのときは銀河間距離が0になるときである。銀河のもとになった密度の低いところ同士はその時から離れ、密度の高いところは収縮して銀河になった。としよう。すると、この宇宙の無数の銀河はその時すでに、直径10万光年以上あったことになるのに、それが小さな宇宙に無数に入っていたら、それぞれの銀河の元は幾重にも重なっていることになる。膨張できる隙間などない。膨張は不可能である。

 

結論

元々、この宇宙のすべての物質が一か所に集まったらブラックホールになるはずである。それが、素粒子が飛びまわっていたり、光が飛び回っていたり、揺らぎがあったり、普通の宇宙の構造をしていることが変なのである。