「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 13

著者 高田敞

 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

     

{インフレーション宇宙論を支持する天文観測データ}P42


問題1

宇宙マイクロ波背景放射{インフレーション宇宙論を支持する天文観測データ}になりえるか。

考察

これが、{インフレーション宇宙論を支持する天文観測データ}であるという証拠はない。その証拠を示さなくてはならない。ガモフが言った予測と一致したというのは、科学的な証拠ではない。ガモフ以前に、ビッグバンとは関係なく、宇宙の塵の温度を予測した人や、宇宙空間の温度を予測した人などが、この2.7Kを予測している。違いはガモフが有名になったというだけである。予測に差はない。

ではどちらの予測が正しいか検討して見る。

塵は宇宙にあるのが観測されている。物質はその温度による光を放射しているのも、観測されている。

では、背景放射は宇宙開闢の光であるという科学的証拠はあるのかというと、ない。

よって、宇宙背景放射は宇宙の塵であるといえる。

 

問題2

{晴れ上がり前まで、背景放射のもととなる光は,物質(主に電子)と頻繁に衝突し,影響を及ぼし合っていました。}

考察

宇宙の晴れ上がりは宇宙誕生から38万年であるということだ。そのときの宇宙はまだかなり小さかったはずだ。すると、そのときそこに宇宙のすべての物質がつめこまれているはずだから、宇宙はびっしりと物質で詰まることになる。よくて中性子星、おそらくブラックホールになるだろう。電子はすべて陽子の中に詰め込まれ、単独で飛び回ることなどできないはずだ。もちろん光が飛び回る隙間もないはずだ。宇宙誕生からたった38万年で光が直進できるほどの隙間ができたなどとは信じられない。

 このときの宇宙の大きさを明示し、宇宙の総物質量を明示しなければ、宇宙の晴れ上がりは言えないはずだ。特にこの本では、宇宙はほぼ限りなく広がっているといっているのだから。

 

問題3

{宇宙マイクロ波背景放射のスペクトルがビッグバンモデルが予測するスペクトルに非常に近い精度で一致することも明らかになりました。}

考察

これも手前みそな意見である。ガモフが予測した温度と背景放射の観測値は大きくずれていた。そこで、あとから観測値に合わせてガモフの予測値も変えたのだろう。

この意見も同じである、ガモフの予測値がかなり違っていたことなどなかったことにしている。{非常に近い精度で}などといっているが、事実を述べないのは科学ではない。

一方、宇宙の塵の温度予測は宇宙背景放射の温度と一致していた。こちらは、{非常に近い精度で一致}していた。ところがそれはおくびにも出さない。不利なことは述べないというのも科学的態度ではない。

結論

宇宙マイクロ背景放射が、ビッグバンの名残の光だとすると、空間膨張という謎の現象がいる。これは、今の物理学では理論も実証もない現象だ。

一方、宇宙マイクロ背景放射が、宇宙空間の塵の出す光だとすると、今の物理学で、理論もあり、実証もある現象で説明することができる。

どちらが正しいだろう。自明である。

 

ビッグバン論者は、宇宙の塵の出す光のことは完全に無視している。科学は一番不利なことを正面から取り上げて検討しなければならない。自分の論に都合のいいように予測値をねじ曲げたり、自分の論に都合の悪いことはないことにしたりしていては真実を見つけることはできない。

もし宇宙の塵の出す光を科学的に否定できないから無視しているとしたら、それこそ科学ではない。

 ま、どちらにしろ、背景放射が{インフレーション宇宙論を支持する天文観測データ}であるというには宇宙の塵の出す光を科学的に否定する必要がある。

 

 

結論

ここには、宇宙マイクロ波背景放射が{インフレーション宇宙論を支持する天文観測データ}であるという証拠は提出されていない。なんの証拠も出さずに、えらい人の言った通りだから、と断定しているだけだ。