「宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 10

著者 高田敞

 

     


 

(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{インフラトンが,初期宇宙を急膨張させた?}P36

 

問題1

{現在では,初期宇宙で斥力の効果を生み出した正体不明の何かは「インフラトン(またはインフラトン場)」とよばれ,様々な理論モデルが提唱されています。}

考察

(1)定義について

{正体不明のなにか}ということは、なにもわかっていないということになる。もちろん実証もされていない。ということは、仮説にもなっていないということだ。まだ、単なる思い付きの段階のようだ。

(2)インフラトンの生成

{「インフラトン(またはインフラトン場)」}はどこから生まれたのか。この世界が生まれる以前の、宇宙の真空から生まれたということなのだろう。インフレーションを起こす巨大なエネルギーを持っているのだから、それを生んだ真空も巨大なエネルギーを持っていたのだろう。それは真空の定義(最小のエネルギーを持っている)には反する。

(3){インフラトンによって斥力の効果を持った真空}

 インフラトンは斥力を持つということだ。この力は、空間を膨張させるということだ。では、インフラトンは、空間のどこにどのように作用して空間を押し広げるのか。それは不明である。{インフレーションをおこした原因についてはさまざまなモデルが提唱されていますが,未解明です。}とあるように、それを説明できる理論はインフレーションビッグバン論者にはない。他の物理学者もその理論は持っていない。謎である。それなのに、インフラトンは空間を膨張させたという。理論さえないのだから仮説にはならない。これも思い付きということだ。

(4){インフラトンは通常の物質とはことなり,空間が膨張してもその分ふえるので,密度が薄まらないという不思議な性質があります。}

・ インフラトンという“何か”は何一つ分かっていない。それなのに、{空間が膨張してもその分ふえる}ということがよくわかったこと。増える原理も、何もわかっていないのだから思い付きにしか過ぎない。

・ インフラトンがどのように生まれるのかの理論が必要だが、それがない。思いつきにしか過ぎない

・ 空間を膨張させるエネルギーが勝手に生まれるという。エネルギー不変速則に完全に反している。

・ この説によると、インフラトンは生まれたばかりのミクロの宇宙を、急激に膨張させるというすごいエネルギーを持っている。すると、膨張した宇宙空間は膨大なインフラトンを生んだことになる。ミクロの空間のインフラトンでさえこの宇宙を光速の何兆倍もの速度で吹き飛ばすのだから、巨大な宇宙はものすごいエネルギーを持つことになる。1mmの宇宙空間は、宇宙を1兆倍の1兆倍では利かないインフラトンを生む。それは宇宙を1兆倍の1兆倍吹きとばす。一瞬より短い間にインフラトンはその1兆倍の1兆倍の1兆倍増える。その一瞬より短い間にまたインフラトンは1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍増える。指数関数的膨張というのだろうけど。真空がそんなに大きなエネルギーを持っているなら。太陽系の空間もミクロの宇宙の1兆倍の1兆倍の1兆倍では利かない空間を持っているのだから、太陽系は一瞬より短い間に宇宙のかなたにばらばらに吹き飛ばされてしまうだろう。

 しかし、インフラトンは太陽系にも銀河系にも、銀河系と、アンドロメダ銀河の間にも1個も存在しない。

 今宇宙は膨張しているというけれど、太陽系も、銀河系も、銀河系の周辺の銀河も固有運動はしても、空間膨張はしていない。少なくとも、230万光年先のアンドロメダ銀河までは、膨張はしていない。インフラトンは都合よく消えたということだ。(注;これは、観測がかなり正確にできる範囲ということと一致する)

・ もちろん、真空がインフラトンを生む仕組みはだれも解明していない。{不思議な性質があります。}ということでめでたしめでたしにしている。まあ、これから解明していくことでしょうということなのだろう。それまでは単なる思いつきということだ。

まあ、決して解明できないだろう。そんなものはないのだから。

結論

インフラトンは謎以外の何物でもない。インフレーション理論に必要だというだけで思いついた代物だ。素粒子はそうやって発見されてきたというのだろうけれど、それは素粒子のことであって、いつも、思いつきが当たるとは言えない。

 少なくとも、エネルギー保存則に反した現象であること、真空はエネルギー最小であるということに反していること、空間を膨張させるという仕組みが不明であるということは言える。

 インフレーションビッグバン論者には必要でも、そうそう、何でも都合よく表れてくれるとは限らないんだから。自然はそう甘くはない。