宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 9

著者 高田敞

 

     



(以下{ }内は上記本よりの引用)

 

{インフレーションがおきるには“斥力”が必要}P34

問題1

動的宇宙と静的宇宙

考察

インフレーションビッグバン説は、動的宇宙であるようだがそうだろうか。

 インフレーションビッグバン論では、われわれの宇宙ができたのはさきに空っぽの宇宙があって、それが揺らいでわれわれの宇宙の卵ができたという。

インフレーションが起こる場所は、無の1点である。この無の1点はどこにあったかというと、広がっている無の中である。その無の真空の一点から量子的揺らぎで量子大の宇宙ができ、一瞬で膨張したということだから、このわれわれの宇宙ができる前にも、何らかの無があり、それが広がっていたということだ。われわれの宇宙はわれわれの宇宙ができる前の宇宙の中で広がっているということのようだ。すると、われわれの宇宙の外にも何らかの宇宙があるということのようだ。インフレーションで膨張したのは、われわれの宇宙であるようだから、外の宇宙はインフレーションとは関係ないようだ。

 このように、インフレーションビッグバンでも、この宇宙の外には、静的宇宙が広がっているようだ。

 

(1)エネルー不変則からこのことを考えてみる。

・ インフレーションビッグバン説から考える。

{宇宙斥力}という謎のエネルギーが必要になる。このエネルギーが、宇宙を膨張させたということだ。

物質は万有引力を持っているから、1か所から膨張させるとき、膨大なエネルギーがいる。位置エネルギーという。バケツの水を持ち上げるとき力がいるのはこの位置エネルギーを与えてやらなくてはならないからだ。

 全宇宙の物質を膨張させるには、莫大な位置エネルギーを与えなくてはならない。そのエネルギーは謎のエネルギーだ。今まで分かっている物理法則では究明されていない。

・ 高田式定常宇宙論からこのことを考える。

定常宇宙論は否定されたということだが、あえて考えてみる。

定常宇宙論では、最初に何もない広い宇宙空間がある。これは、インフレーションビッグバン説と同じだ。

そこに、素粒子が、量子的揺らぎから生みだされる。これもインフレーションビッグバン説とよく似ている。生まれるのが1個の素粒子か、1個の宇宙かの違いだ。ものすごくエネルギー量が違うのだけれど(1個の素粒子と全宇宙の物質とのエネルギーの違いだ。10の1兆倍の1兆倍の1兆倍の1兆倍でも利かないくらいの違いだ)、システムは同じだ。

(注;量子的揺らぎから量子が生まれるのは、量子論の範疇だが、量子的揺らぎから、全宇宙が生まれるというのは、量子論からははるかに逸脱している。量子的揺らぎから地球が生まれるというよりはるかに大きなものが生まれているのだから。最初はミクロな宇宙だったから、量子論の範疇だというのは間違っている。いくら小さくても、全宇宙のエネルギーを持っているはずなのだから、非常に大きな物だ。この本では、宇宙を作るエネルギーはインフレーションを起こすエネルギーが変化したものだというのだから、巨大なエネルギーが詰まっていたということを述べている。この本では、相対性理論の、エネルギーと物質は同じだという論を取っているのだからそのエネルギーが示すものはこの宇宙と同じかそれより大きい宇宙をさえ示している。

このことから、インフレーションのときの宇宙はいくら小さくても全宇宙が詰まっているということになる。また、ミクロな真空にはミクロなエネルギーしかない。いくらこの宇宙と違う宇宙の真空でも、全宇宙のエネルギーは生まれない)

素粒子は、全宇宙空間にランダムに、長い時間をかけて生まれる。すると、互いに離れている素粒子は、万有引力を持っているから、万有引力から生じる位置エネルギーを持つことになる。広い宇宙空間に、離れて次々に生まれる素粒子は万有引力を持つから、その距離に応じて位置エネルギーを必然的に持つ。そのために、宇宙全体では、膨大な位置エネルギーが自然に生まれる。宇宙斥力がなくても、万有引力さえあれば膨大な位置エネルギーが生まれる。それは、万有引力と同じ大きさになる。素粒子が生まれるたびに、素粒子はそれだけで位置エネルギーを持つ。物質の量に応じて位置エネルギーも増える。謎のエネルギーはいらない。今の物理学で知られている万有引力だけで大丈夫である。

 

(2)宇宙が平坦であることから考える。

宇宙は平坦であるということが観測されている。

・ インフレーションビッグバン説

宇宙は最初に1点にあった。すると、膨張しても、やがて最初の1点に帰る。これは、投げ上げたボールが、また落ちてくるのと同じだ。万有引力によって、引きもどされるからだ。宇宙斥力が、万有引力より大きい時は、物質は戻ってこない。これはロケットを打ち上げるとき、エネルギーが大きいと、ロケットは宇宙空間に飛び去って戻ってこないのと同じだ。インフレーションビッグバン説ではこのどちらかになるという。平坦になるのは奇跡に近いといわれている。ところが、今の宇宙の観測では宇宙は平坦であるという。奇跡が起こっているのはどういうことなのだろう。加速膨張(インフレーション)しているという観測もあるが、これは太陽系や銀河系では起こっていない。太陽系の引力に負けているのだから、大したことではない。かつてのインフレーションは全宇宙を吹きとばしたというのに今は太陽系さへ微動だにできない。衰えたものだ。

・ 高田式定常宇宙論

膨張も、収縮もしない。万有引力と位置エネルギーは同じ大きさの力だから、物質が万有引力で引き寄せられて衝突すると同じ場所に跳ね返る。

これは、高いところからボールを落としたのと同じことだ、ボールは地面で跳ね返る。本来、同じ所に戻るのだが、衝突の際に、位置エネルギーが熱エネルギーになったり、他の物質を動かしたりするために、ボールの持っていた位置エネルギーが減るために元に戻れないだけだ。しかし、この移動したエネルギーは他のものを動かす。熱エネルギーも他のものを動かすエネルギーになる。ガソリンエンジンみたいなものだ。ガソリンの燃焼の熱で車が動いている。

基本的に、宇宙全体の万有引力も、位置エネルギーも一定だから、どこかで縮めばどこかで伸びる。

星はこのようにしてできる。ばらばらの星間雲は万有引力で集合する。衝突して、跳ね返る。このとき、衝突の為に、位置エネルギーが熱エネルギーになる。この熱を、光に変えて宇宙空間に放出する。すると、星間雲内の位置エネルギーが減るから星間雲は縮む。そうやって星間雲は縮み続け、やがて恒星になる。恒星になるときは、ジェットが放出され、大きく位置エネルギーが減るのも観測されている。放出された光や、ジェットは他の物質を移動させるエネルギーになる。また、星はやがて爆発しまた星間雲に戻る。

定常宇宙説では、宇宙の物質は変動はあっても、空間は膨張も収縮もしない。新しく、素粒子が誕生しても、その素粒子が持っている万有引力が同じ位置エネルギーを生むから万有引力と、反対の位置エネルギー(斥力)は常に同じ大きさになるから宇宙は膨張も、収縮もしない。

宇宙は平坦にしかなれない。

 

結論

インフレーションビッグバン説では、

@ 最初、無から、宇宙全体と同じエネルギーを持つ小さな宇宙が生まれる。

これは量子論では説明できない。

A 今まで分かっている物理学では説明できない膨張である。

B 謎のエネルギーがいる。

C 謎のエネルギーが物質を生む仕組みが今の物理学では不明である。

D 宇宙は膨張か、収縮かしかない。今観測されている平坦性と矛盾する。

 

高田式定常宇宙説

@ 生まれる仕組みは、量子論で説明できる。(ただ理論だけで実証はされていない)

A 宇宙は平坦になる。地球より近いところの、観測が正確にできる宇宙と同じ。

B 謎のエネルギーはいらない。今までの物理学で説明できる範疇である。

このように、インフレーションビッグバンでは、肝心なところは総て現在分かっている物理学では説明できないが、定常宇宙論ではほぼ説明できる。大きな違いがある。

アインシュタインの論では、働く力は重力だけしか考えていないが、この宇宙には位置エネルギーという斥力が働いているということ考慮していない。万有引力によって生まれる位置エネルギーの強さは万有引力に一致するから、宇宙は静的宇宙になる。