宇宙,無からの創生」(Newton別冊)への疑問と反論 03

著 高田敞

(以下{ }内は上記本よりの引用)


    メッセージ 


 


{ビッグバン直後の残光がとらえられた}P12〜13

問題1

 {物体は,その温度に応じた波長の光(電磁波)を放つからです。}

考察

ビッグバン論が出る以前、何人かの科学者が、異なった観点から宇宙の温度が3Kであるだろうとか、宇宙の塵の出す光は、2,7Kくらいであるだろうという理論を述べていた。

 上の問題に述べているように、宇宙の塵もその温度に応じた電磁波を出している。したがって、発見された宇宙背景放射は、宇宙の塵が出す電磁波であるともいえる。

 ビッグバン論者はこれを科学的に否定しなければ、宇宙背景放射がビッグバンの残光であるとは言えないはずだ。しかし、それを証明したビッグバン論者はいない。ただ無視をしている。少しでもビッグバン論に疑いをはさむようなことを取り上げるのは、神聖なビッグバン炉を汚すことだとでも言いたげだ。

 {ガモフの理論に基づいて計算すれば}とガモフの理論によったようなことを言っているが、ガモフの予測は70Kほどであった。大きく違っていた。ビッグバン論者は実際の観測に合わせて慌ててその温度を修正したのであって、計算から出た答えではない。

 

問題2

{ガモフの唱えたビッグバン仮説は観測によって強く裏付けられました。}

考察

ガモフの唱えた仮説と、それ以前の複数の人が唱えた、宇宙の塵の出す光の仮説と、どちらの仮説も観測によって強く裏付けられている。これだけでは、どちらが本当か決められない。

 

問題3

 宇宙の塵は光を出すか。

考察

 {物体は,その温度に応じた波長の光(電磁波)を放つ}というのは観測も実験もされているから定説である。

 

問題4

宇宙背景放射がビッグバン直後の残光、の可能性はあるか。

考察

(1)ビッグバンと地球の位置

さきに述べたように、ビッグバンが正しいとすると、そのときに地球のもとになる元素も総てひとつ残らず生成されたはずだ。ビッグバン直後の残光は地球も出しているということになる。したがって、137億年前に、既にその光は地球に届いているということだ。その後直進した光は、地球を追い越して宇宙のかなたにすっ飛んで行っている。地球からはその光は見えない。

地球からビッグバン直後の残光を見るには、ビッグバンのときすでに地球は此処にあることが必要である。あるいはその後としても、ビッグバンの光と同じかそれより速く飛んでこの場所に到達していなければならない。そうでないと、残光は地球を通り越して地球の向こうにすっ飛んで行ってしまうから見えないことになる。

ところが、ビッグバンは全宇宙で起こっている。全宇宙の隅から隅までビッグバンである。その光を見るには、地球が宇宙の外に出ることでしか成り立たない。地球は宇宙の外にあり、全宇宙を外から見ている観測者だということだ。

P12の図はそのような図である。{約2700℃の物体から出る波長の短い光}として書かれている光はビッグバン宇宙の外に書かれている。P13の現在の宇宙に書かれている図では、宇宙の中に書かれている。

ビッグバン論者もいい加減なのだ。

(2) いつまで見えるか

花火を考える。花火は爆発の残光がわれわれの目に飛び込んできたときに見える。一瞬の爆発は、一瞬だけ見えて、あとは消え去る。なぜかというと、残光は光速で直進し、われわれを通り過ぎていくからだ。

ビッグバンの残光も、直進しているということだから、地球に当たると光速で通り過ぎて、見えなくなることになるはずだ。

太陽が何時までも輝いて見えるのは太陽が46億年間輝いて今も光っているからだ。太陽が輝かなくなると、地球からも輝いて見えない。

ビッグバンは終わっている。ビッグバンは38万年続いたということだから、ビッグバン名残の最初の光が地球に届いたときから、38万年たつと、ビッグバン最後の光が地球に届いて、それから通り過ぎ、あとは光は見えなくなるはすだ。花火と同じだ。花火より長い時間(38万年間)見え、太陽より短い間しか見えないはずだ。

何故消えずにいつまでも見えているのだろうか。

宇宙空間膨張の為、地球に届く光は、結果的にさまざまな時間になるというのだろうか。それにしても始まりがあり終わりがあるものは、必ず始まりが見え、終わりが見えるはずだ。終わったのにいつまでも見えるというのはつじつまが合わない。

宇宙空間膨張の為

これを考えてみる。

宇宙の晴れ上がりのときの宇宙の半径はどれくらいかというと、光速で飛ぶと38万光年になる。

この端から、地球に光が届くには、最大で直径の距離だから、38の2倍の76万年である。この光が、137億年かかって地球に届くというのである。38万光年が137億年で137億光年に広がるということだ。

38万光年というと、アンドロメダとの距離230万光年の6分の1くらいの距離だ。現在、アンドロメダ銀河と銀河系は空間膨張に打ち勝って接近している。引力の方が強いのだ。

宇宙の晴れ上がりのとき、宇宙の物質はもっとはるかに近いところにあったはずだから、重力の方が空間膨張より強いはずだ。物質は広がれない。

光速で宇宙が広がってもそうなのだ。今地球は背景放射に対して、500km/秒ほどの速度だという。とても光速などなれそうにない。

このあたりのところは、空間膨張がどのような仕組みなのかを究明してからのことだ。

 

結論

宇宙背景放射がビッグバン直後の残光というには証拠が足りない。また、空間膨張という、今の物理学では理論も実証もない現象を根拠にしなければならない。要するに聡明されていないということだから、仮説になる。

一方、宇宙背景放射が宇宙の塵の出す光であるとすると、今の物理学で、実証もされている理論ですべて説明できる。定説になってもおかしくない。

少なくとも、背景放射の中には、ビッグバン名残の光が入っていないことはあっても、宇宙の塵の出す光が入っていないことはないといえる。

シンプルイズベストである。