「重力とは何か」について目次
重力とは何か18 重力の本性
重力とは何か20 GPS衛星の時間の合わせ方

重力とは何か(大栗博司・幻冬舎新書)について19


著者 田 敞


(以下{ }内は上記本からの引用)

 

一般相対性理論の実証といわれているものは正しいか

問題

 一般相対性理論の証拠といわれているものがいくつかあります。それについて、検討します。

{アインシュタイン理論のテスト1}

{理論ができあがったら、本当にそれで自然現象が説明できるのかどうかを検証する必要があります。}

そのとおりです。しかし、それだけでは足りません。その現象が本当にその理論で起こっているのか、他の理由で起こっている可能性はないのかも調べなくてはなりません。

相対論の場合、20世紀最大の天才アインシュタインの言ったとおりだ、素晴らしいと拍手喝采して、他の理由を調べないどころか不利なことがあると無視しているところがあります。

そこで、一般相対論の証拠といわれている現象について、それが本当に相対論の証拠になりえるのか、他の理由で起こっている可能性はないのかを検討してみます。

 

1 「水星の軌道・エディントンの観測・重力レンズ」について

証拠1 水星の軌道とバルカン星

{ニュートンの重力理論では、水星の内側(太陽寄り)にもうひとつ未知の惑星がなければその動きを説明できなかったからです}

{ところが、いくら探してもバルカンは見つかりません。そこにさっそうと登場したのが、アインシュタインの一般相対論です。}

{水星の動きは一般相対論の方程式にぴったりと当てはまっていたのです。}

考察

 この水星の軌道の揺れが、一般相対論の証拠の一つとされています。相対論者はこの本の著者が{さっそうと登場したのが、アインシュタインの一般相対論です}と同じように拍手喝さいでこの現象を迎えました。一見正しいようです。しかし、水星の軌道が動く原因には、バルカン星とは違うもうひとつの説があります。この本ではなぜかそれを無視しています。

 それは、太陽が楕円球であったら、バルカンという惑星がなくてもニュートンの万有引力理論(先に書いたように、ニュートンは重力ではなく万有引力といっていました。重力はアインシュタインの意見ですから、上のニュートンの重力理論は間違った表現です。正しくは、ニュートンの万有引力理論です)で水星の軌道は説明できるという意見です。

 それに対して、ある相対論者は、太陽が楕円球であることを証明しろ、といって、取り合わなかったといいます。そして、ほとんどの(たぶんすべての)相対論者はこの本の著者大栗博司のように太陽が楕円球であると水星の軌道はニュートン理論で説明できるという説を無視しています。なぜ無視しているのでしょう。簡単です。それでは水星の軌道が相対論の証拠にならないからです。せっかく見つけた素晴らしい証拠なのに証拠にならなくては困ります。それどころか否定でもしたらみんなから、あいつは頭が悪いから相対論が理解できないのだ、と言われかねません。

 近年、観測機器が発達して、太陽が楕円球であることが実際に観測されています。太陽は自転しているので、真円ではなく楕円球であるのが自然ですから、観測結果とも一致します。

 {さっそうと登場したのが、アインシュタインの一般相対論です}が、残念ながら、バルカン星がなくても、ニュートンの万有引力の理論で水星の軌道は説明できます。

 ここで一番の問題は、相対論に不利になることを無視していることです。

太陽が自転していることから、観測ができていなくても太陽が楕円球であることは予想できました。それに対して、バルカン星はほぼ無いのが分かっていました。あればもっと早く見つけています。海王星よりはるかに近いのですから。

太陽が楕円球では、水星の軌道が相対論の証拠にはならないので困るので、ほぼあると予想できる太陽楕円球説を隠すために、ほぼ無いと予想できるバルカン星を取り上げたのなら科学としてあるまじき行為です。まさかそんなことはないと思いますが。しかし、いまだに、相対論者が、太陽が楕円球であると水星の軌道はニュートンの考えで説明できるということを無視しているのはどうしてでしょう。

結論

以上のように、太陽が楕円球であると確認されているので水星の軌道はニュートン理論で説明できます。

 実証のある理論で説明できる現象は他の理論の証拠には使えないという科学の方法論があります。水星の軌道は太陽が楕円球であるために起こっているので相対論の証明には使えないということです。

 

証拠2 {重力レンズ効果が観測できた―アインシュタイン理論のテストその二}

(1)「万有引力」は光を曲げるか

{アインシュタイン理論は重力によって「光が曲がる」ことを予言していました。もっともこれはニュートン理論にもなかったわけではありません。「万有引力」である以上、どんなに質量の軽い物質もその影響はゼロではないでしょう。したがって、限りなく質量ゼロに近い光も曲がるはずだとする説はありました。}

考察

{「万有引力」である以上、どんなに質量の軽い物質もその影響はゼロではないでしょう。したがって、限りなく質量ゼロに近い光も曲がるはずだとする説はありました。}というように、万有引力が作用するにはどんなに小さくても質量が必要だということです。質量がないと作用しないということを認めているということです。

 光は質量ゼロであるとされています。また、「物質」ではありません。したがって、この本に書いてある通り、ニュートン理論の「万有引力」は質量のない光には作用しません。

 このように、相対論の「重力」は質量の無い光を曲げるけれど、ニュートンの「万有引力」は質量の無い光を曲げません。相対論者は、万有引力の考え方が間違っているというのでしょうが、そうであるにしても、重力と万有引力は違う考えであるということは間違いがありません。

「万有引力」と「重力」が同じで「万有引力」も光を曲げると言わんとしているようですが、明らかに濡れ衣です。

 

(2)アーサー・エディントンの観測は相対論の証拠になるか

1919年アーサー・エディントンが皆既日食を観測して、太陽の近くの星の光が曲がっているのを観測した。星の光が曲がったのは、重力によって光が曲げられた、ということで、アインシュタインの「重力」は光を曲げるという理論が証明されたということです。

ア 観測の評価

{観測の結果、星の光が曲がる角度は、アインシュタインの理論の予言とほぼ一致していました。}

考察

@ この星の光は太陽の重力が曲げたのか

この観測が「重力が光を曲げる」という実証になるという根拠に{アインシュタインの理論の予言とほぼ一致していました。}ということをあげています。化学は、仮説を立ててそのとおりの実際の現象があれば仮説は正しいということになります。しかし、科学の方法論にはもうひとつあります。科学は最も不利な理論や現象を取り上げて検証しなければならないということです。ここではそれがなされていません。相対論者のだれもそれをやっていません。無視しています。そこで、大栗博司氏に代わって、エディントンの観測が重力で光が曲がったという証拠になるには越えなければならない不利な理論や現象があるので、それを考えてみます。

それは大気による屈折現象です。

 エディントンの観測した星は太陽コロナの中に写っています。太陽コロナは太陽大気です。大気は光を屈折させます。したがって、この星の光は、太陽大気で屈折した可能性があります。可能性だけではありません。必ず屈折しています。これは、この本でも、水に入れた足が曲がって見えると述べていることと同じ現象です。地球大気が光を曲げる現象は、蜃気楼、逃げ水、幻日、など、枚挙にいとまがありません。物質は光の速度を変えることから、起こる現象です。

 したがって、この星の光は必ず太陽大気によって屈折しています。そのために{太陽の近くを通る星の光は本来の位置からズレて見えるはすです。}ということです。

 日の出や日の入りの太陽は、本来の日の出や日没の時刻からズレています。これは太陽の光が、地球大気によって屈折し曲げられて太陽が本来の位置からズレて見えるからです。エディントンの観測とまったく同じ現象です。曲がった原因が重力か大気かということでだけです。言うまでもなく太陽は星なのですから。

 大栗博司氏は、このことを無視しています。科学の方法論では、「一番不利になることを真っ先に取り上げなくてはならない」ということです。真っ先どころか、2番、3番でもありません。完全無視です。どうしてでしょう。

A {星の光が曲がる角度は、アインシュタインの理論の予言とほぼ一致していました。}

 この星の観測値にはばらつきがあったということです。大栗博司氏はこのことも無視しています。このばらつきに対して、誤差が大きいのは当時の観測技術の限界だった、と述べている人さえいます。それほどのばらつきがあるのに、{アインシュタインの理論の予言とほぼ一致していました。}と、いうのはどうしてでしょう。見解の違いだけでしょうか。先の大気の屈折を無視したように、相対論に不利な現象を無視したといわれてもいたしかたないのではないでしょうか。もしそれが、20世紀最大の天才の予言通りになるはずだ、では、権威主義といわれても仕方がありません。

 そこでばらつきの原因を考えてみます。

 夜空の星はまたたいて見えます。これは地球大気が動いているために、大気の屈折率が変化しているから、ということです。上空の風が強い時は、またたきが大きくなるとのことです。

 エディントンの観測値のばらつきは、太陽大気の動きで、屈折率が変化したために起こっているとしたら矛盾なく説明できます。太陽大気は地球大気どころではない変化をしています。激動です。またたき現象も大きくなるでしょう。

 これなら、エディントンの観測を観測技術が未熟であったと全否定することもありません。観測技術が未熟であったためというのは濡れ衣です。彼への侮辱でさえあります。

B{ここでも、一般相対論はニュートン理論に勝ったのです}

 マクスエルとニュートンの理論は持ち場が完全に違うのです。電磁波のマクスエルと、物質のニュートンです。光にも物質にも作用するアインシュタインの「重力」と物質だけのニュートンの「万有引力」は違う理論です。

勝ち負けを言っているということは、大栗博司氏も一般相対論はニュートン理論と違う理論であると認めたということです。ニュートン理論は、相対論の近似値ではないということを暗に認めたということです。

これについて、{ところが、スウェーデン王立科学アカデミーのノーベル賞選考委員会は「水星の軌道の謎の解明」や「エディントンの光の曲がりの観測」を相対論の検証とはみなしませんでした。}と書いています。わたしも上に書いた理由からそう思います。

 

(3)重力レンズ効果は相対論の証拠になるか

{1930年代}ツビッキーは{銀河団の動きが、目に見える天体の重力だけでは説明できないことを発見しました。銀河団全体の「光」の量から計算した質量よりも、銀河団の運動から計算した質量の方のほうが、はるかに大きかったのです。銀河団の中に、何か目に見えない重力源があるとしか考えられません}{ツビッキーは、光が曲がる効果を使えば、その見えない重力源を観測できるはずだと主張しました。たとえ暗黒物質そのものは見えなくても、その近くを通る光は強い重力によって曲がります。}

{これが「重力レンズ効果」と呼ばれるもので、その後、宇宙ではそれが実際にたくさん観測されました。}


考察

ア 暗黒物質の正体

{銀河団全体の「光」の量から計算した質量のほうが、はるかに大きかったのです。銀河団の中に、何か目に見えない重力源がある}

 ツビッキーの時代、1930年代は、まだ、観測機器が今に比べて貧弱でした。その20年ほど前に、やっとアンドロメダ銀河が、銀河系の外にあるというこが分かったくらいですから。それまで宇宙は銀河系だけだと考えられていたのです。勿論、すばる望遠鏡も、ハッブル宇宙望遠鏡もありません。だから観測できる光りも今と比べられないくらい少なかったのです。光はたっぷりあるのに観測機器が貧弱であったためにツビッキーには見えなかったのです。宇宙には可視光以外の電磁波(光)が大量にあるのです。ツビッキーにはこの光が見えなかったのです。それが時代の限界ということです。

 現在、銀河団が大量のガスに埋もれているのが観測されています。万有引力で集まったガスの中にすっぽりと銀河団が埋まっているのです。銀河も、やはり、それぞれ巨大な球状のガスの中に埋まっているのが観測されています。円盤銀河も、そのガスを含めると、巨大な楕円銀河のようになるものも観測されています。わたしたちの銀河系を取り巻くガスは、230万光年先のアンドロメダ銀河のガスとつながっているという観測もあります。アンドロメダも銀河系もおとめ座銀河団の一員ということだから、おとめ座銀河はすっぽりと、ガスに包まれているのだから当然のことです。

 ツビッキーはこのガスの光を見ることはできませんでした。観測手段がなくて見えなかったのです。このガスは水素を主として作られています。希薄な水素ガスは地上の望遠鏡では観測できません。昼間、明るすぎて星が見えないのと同じように、地球大気の水素の光が強すぎて見ることができないのです。

 ツビッキーは、この銀河間ガス、そして、銀河団をすっぽり包んで広がっているガスの光を計算に入れていないから、{銀河団全体の「光」の量から計算した質量よりも、銀河団の運動から計算した質量の方が、はるかに大きかったのです。}ということになったのです。

 ガスはとても希薄だから、それほど重力に寄与しないというかもしれません。そうではありません。たとえば、地球にいちばん近い恒星は4光年離れた所にあります。半径4光年の球形の中に、太陽とその星の2個だけです。その星はかすかに点にしか見えません。勿論その星から見ると太陽も点です。半径4光年の空間にかすかな光が2個だけです。その中に、星間ガスがあります。希薄でも体積は膨大です。掃き集めれば星が何個もできるでしょう。

 銀河も同じです。マゼラン銀河やアンドロメダ銀河は、遠くにあります。占める空間は全体に比べて、非常に小さいものです。銀河間ガスが、非常に希薄でも、その占める体積は巨大です。掃き集めるといくつもの銀河ができるほどあるでしょう。

 これがツビッキーには見えなかった暗黒物質の正体です。水素ガスを主体とするガスやチリです。

(注:宇宙論者は新しく発見されたこのガスのことを無視しています。ビッグバン論には、謎の暗黒物質(重力しか持たない見えない何か)が必要だからです。それがたんなる水素ガスであっては、ビッグバン論が成り立たなくなるのです)

イ 重力レンズ効果

{たとえ暗黒物質そのものは見えなくても、その近くを通る光は強い重力によって曲がります。}

{これが「重力レンズ効果」と呼ばれるもので、その後、宇宙ではそれが実際にたくさん観測されました。}

 銀河団の向こうにある銀河の光が曲げられて細長く伸びたり、別れたりしているのが観測されています。アインシュタインリングとか、アインシュタインクロスとか呼ばれています。

 これが、重力によって光が曲がった証拠といわれています。そうでしょうか。先に書いたように銀河団は大量のガスに埋もれているのが観測されています。銀河団の後方の銀河から出た光は、このガスの中を通っています。ガスは光を屈折させます。したがって、銀河の光はそのガスによる屈折で、伸びたり別れたりします。銀河団をすっぽり覆っているガスは、宇宙に浮かぶガスでできた巨大なレンズです。

 このことから、アインシュタインリングやアインシュタインクロスは、重力でできたのではなく、ガスの屈折でできたと言えます。なぜなら、気体による光の屈折は、地球上で蜃気楼や逃げ水などさまざまな例がありますが、重力による光が曲がる現象はエディントンの観測以外には存在しないからです。

 相対論者は、このガスのことを無視しています。光を屈折しない謎の暗黒物質でないと、一般相対論の証拠にならないからです。


結論

 既存の証明された理論で説明できる現象は、新しい理論の証明には使えないという科学の考え方があります。

 銀河団による光の曲がりは、銀河団の「ガスによる屈折」で説明できます。ガスによる光の屈折は、実証もありますしその仕組みも解明されています。これが既存の理論になります。したがって、銀河団による光の曲がりは、新しい理論「重力による光の曲がり」の証拠には使えません。

 相対論者は、自分たちの理論「重力は光を曲げる」を証明するために、重要な現象、銀河団はガスに包まれている、を無視しています。科学の方法ではありません。

 


結論

 水星の軌道、エディントンの観測、重力レンズは、このように、一般相対性理論の証拠にはなりません。すべて、相対論以外の既存の理論で説明できる現象です。