インフレーション宇宙への疑問目次
インフレーション宇宙論への疑問2


インフレーション宇宙論への疑問1

 
指数関数的膨張モデルと現実


著者 田 敞

(以下{ }内は「インフレーション宇宙論」佐藤勝彦著、BLUEBACKSから)の引用)

 

まえがき

 ここでは佐藤勝彦氏の「インフレーション宇宙論」を参考にインフレーション宇宙論への疑問を書いていきます。インフレーション宇宙論が今観測されている宇宙の現象とは非常にかけ離れた現象であるということと、すべてのエネルギーや現象が、今の物理学では説明できない理論や現象だけでできていることを書いていきます。ようするに、この世のものではない現象です。

前提

 佐藤氏は、インフレーション宇宙について、以下のことを述べています。

 インフレーション宇宙は、無から、ミクロな宇宙を生み、4つの力を生み、全宇宙の物質を生み、1000億年を超える宇宙に膨張させ、最後に全宇宙を火の玉にして、ビッグバンにつなげたといっています。それが、10のマイナス44乗秒でできた。

 

問題

指数関数的膨張モデルの問題点

 {指数関数的膨張モデルとは、簡単にいえば倍々ゲームで大きくなるということです}

この例に、毎日倍になるお金のことが出ています。1円から始めて、2日目には2円、3日目には4円となると、{31日目の額は、2の30乗、つまり10億円を超えてしまうのです}

 {このような倍々ゲームを100回も繰り返せば、素粒子のような宇宙でも、何億光年もの宇宙にすることができます}

考察

 こんな素晴らしい考えがあるとは知りませんでした。さっそく、億万長者になるために、1日目1円、2日目には2円と倍々ゲームで貯金をしてみることにします。31日後にはトータルで20億円近くの金が貯まります。誰でも簡単に億万長者になれます。なんと素晴らしい考えでしょう。(でも、内緒だけど知ってますよね、そんなことができないことは)

 1か月なんて待てない。1時間ごとに倍々で貯金してみよう、という人がいたら、31時間後には20億円貯まります。1日半で億万長者になれます。素晴らしい。こっちでやらなくちゃ。

いや私は1秒ごとに倍々で貯金する。そうすると、31秒後には、20億円貯金できる。こっちの方がはるかに手っ取り早い。ですよね。

 とてもいい考えです。31秒後には億万長者です。

 いやもっと早く億万長者になりたい。私は、10のマイナス45乗秒ごとに貯金しよう。すると、瞬きする前にもう億万長者になっている。これがいい。

そのとおりです。みんなそうすればいいのです。{このような倍々ゲームを100回も繰り返せば、}億万長者どころではありません。世界一の金持ちになれます。これを逃す手はありません。

 ところがこの方法を使って億万長者になった人は一人もいません。こんな素晴らしい手があるのにだれも見向きもしません。なぜでしょう。当たり前です。できないからです。15日目の32768円を貯金するのはサラリーマンでもなんとかできるでしょう。しかし、18日目の262144円は普通のサラリーマンにはかなり難しい金額です。20日目の1048775円となると、まあ普通のサラリーマンには無理でしょう。26日目の67121600円を貯金できる人はほとんどいないでしょう。最後の4日は億を超える金を毎日積まなければなりません。毎日何億円もの金を貯金することができる人は世界でもそんなにはいないでしょう。

 もちろん、10のマイナス45乗秒ごとに貯金などできません。1円だって貯金できないでしょう。さいふから1円を取りだすだけでも1秒以上かかります。瞬きする間に億万長者になどなれないのです。

 倍々ゲームは計算上では億万長者になれます。しかし、現実はそうはいきません。現実にはそれを支える金がありません。ない金は貯金できません。「ない袖は振れぬ」です。昔の人は云いました。「獲らぬ狸の皮算用」とか。今で言えば、こういうのを机上の空論といいます。

 もうひとつの問題もあります。貯金するのは自分の金です。だから貯金しようがしまいが、自分の金は増えも減りもしないということです。20億円貯金するには20億円持っていなくてはならないということです。それで、「打ち出の小づち」なるものを夢見たりしたのです。

 

 では宇宙ではどうでしょう。直径1ナノメートルの宇宙を10のマイナス45乗秒で倍の2ナノメートルにすることは可能かもしれません。それを次の10のマイナス45乗秒で4ナノメートルにするのも可能かもしれません(たぶん無理だと思うけど)。ところで、そんな短い時間は一瞬で過ぎ去ってしまいます。1円玉を財布から取り出す間もない時間です。指をかすかに動かす時間さえありません。光だって1京分の1ミリも動けません。

では、直径1億光年に成長した宇宙を10のマイナス45乗秒で倍の直径2億光年にするのはどうでしょう。かなり困難だと考えられます。10億光年の宇宙を10のマイナス45乗秒で20億光年の宇宙に広げるのはかなり大変だと考えられます。10のマイナス45乗秒で10億光年分大きくするのです。光速の10億の60×60×24×365×45乗倍の速度になります。10のマイナス45乗秒でこの速度に加速するのです。それも全宇宙をです。

直径100億光年の宇宙を、10のマイナス45乗秒で直径200億光年の宇宙に膨張させるのはどうでしょう。一瞬より短い時間で100億光年膨らませるのです。どういう仕組みがあれば可能なのでしょう。

 そのエネルギーは?その仕組みは?今の物理学では解けないでしょう。勿論佐藤氏もその仕組みを述べていません。倍々貯金と同じです。机上の計算では簡単にできても、現実には不可能です。机上の空論です。

 また、そのエネルギーは自分持ちです。宇宙はこの宇宙しかありません。どこからもエネルギーの供給を受けません。すべて自前ですから、エネルギーは増えも減りもしません。インフレーション宇宙では、貯金する金が10のマイナス45乗秒ごとに勝手に湧いて来るように、宇宙を急速膨張させるエネルギーが10のマイナス45乗秒ごとに勝手に湧いてきています。それも巨大以上に巨大なエネルギーです。真空のエネルギーは打ち出の小づちの10の44乗倍以上に便利な代物ですね。

結論

 宇宙を、指数関数的に膨張させることは、パソコン内ではできても、現実には不可能です。パソコンなら、指の動きだけで完璧にシュミレーションできます。しかし、直径500億光年の宇宙を、10のマイナス44乗秒で1000億光年の宇宙に膨張させるのは不可能です。自前の巨大なエネルギーがいります。どこからそのエネルギーが湧きだしたのでしょう。できるというならその物理的な仕組みを述べなくてはなりません。地球を10のマイナス45乗秒で500億光年先まで飛ばすのです。今見えている一番遠い銀河(到達するのに光でさえ120億年かかるという)の4倍ほど先までです。それどころではありません。全宇宙を吹っ飛ばすのです。地球1兆個を吹き飛ばすだけでは足りません。地球の10の44乗倍ほどの物質を吹き飛ばすのです。それができたというのがインフレーション宇宙です。口では言えます。穂の小さなエネルギーで口は動きます。しかし、現実の宇宙を吹き飛ばすのは不可能です。倍々ゲームで億万長者になれないのと同じです。打ち出の小づちがおとぎばなしの中にはあっても現実には存在しないように、インフレーションを起こすという巨大な真空のエネルギーなるものは、インフレーション宇宙論の中にはあっても現実には存在しない架空のエネルギーです。