ブラックホールの写真目次   「村山斉の時空自在」について ブラックホールの画像になぜジェットも降着円盤も写っていなかったのか   



ブラックホールの画像

 

著者 田 敞
2019年10月11日
(Newton2019,7号より。以下、{ }内は先本よりの引用)


まえがき

ブラックホールの画像が上記本に載っていました。

 {事象の地平面の少し外側には、ブラックホールを取り巻く光のリングが見られると予想されていて,「光子リング」とよばれている。光子リングの光は,もともとブラックホールの周辺にある高温のガス(プラズマ)から発せられたものだ。}ということだそうです。

{降着円盤やジェットは写らなかった}のです。

説明では、写っていたのはブラックホールを取り巻く光子リングでした。降着円盤ではありませんでした。光子リングを降着円盤と考えていた私の勘違いでした。勉強不足でした。

 

疑問

なぜ、光子リングだけしか映らなかったのでしょう。

本には、一緒に、この銀河の中心部分の可視光で撮った写真が載っていますが、その写真にはジェットがはっきりと写っています。また、{現在広く受け入れられているモデルでは,ブラックホールの周囲には「降着円盤」と呼ばれるガスの円盤が存在していると考えられている。}と書いています。昔はこの降着円盤が光っているというのが主流でした。

考察

その理由を{降着円盤やジェットといった構造は,今回の観測における望遠鏡の配置の都合により写らなかった可能性がある。}と述べています。しかしどのような配置だから写って、どのような配置なら写らないかという仕組みや理由は書かれていません。紙面の都合か、分からないのか、理由は定かではありません。可能性があるということですから、そのほかの理由がある可能性もあるということなのでしょう。これはたんなる憶測なのでしょう。それも根拠を示していない憶測です。

この憶測が正しいとすると、望遠鏡の配置が偶然に光子リンクだけを写す配置になっていたようです。光子リング以外に、降着円盤も、ジェットもあると予想していたのですから、この3つの予想のうち、光子リンクだけが写ったのは、観測者にとって非常にラッキーな偶然だったといえます。ほかの、例えばジェットだけしか映らなかった望遠鏡の配置であった可能性もあるのですから。

降着円盤だけが写っても、同じように真ん中が暗く写って、やはり{ブックホールが光を出さない天体であることを直接示し}た可能性がありますが、ジェットしか写らない配置であった場合は、ブラックホールは写らなかった可能性があります。まあ、何にしろ、光子リングが写ったことはとてもラッキーだったといえそうです。

しかし、光子リングが写ったのは偶然ではなく必然だったようです。どうも光子リングに特化して画像を組み立てたようだからです。以下それを見てみます。

 

問題

他の本で、この発表された光子リングは、ブラックホールのシミュレーションに瓜二つである、だから、これがブラックホールだといえるということになった、と述べています。

考察

ブラックホールのシミュレーションとそっくりだという理由で、この画像が間違いなくブラックホールの画像であるといえるのでしょうか。

ちょっとおかしい。いや、科学としてはとてもおかしな考え方です。普通は、本ものの写真が撮れて、それとシミュレーションがそっくりだったとき、シミュレーションは間違いではなかった、仮説は正しかったと胸をなでおろすものです。その本ではシミュレーションが正しいというのが前提で、画像が本当かどうかをシミュレーションで確かめています。考えの順が逆転しています。

科学は、仮説(シミュレーションもその一つ)をたて、それが正しいかどうか、実際の実験や観測で確かめるのが筋です。実際の現象と同じであれば仮説(シミュレーション)が正しいということになり、違っていれば仮説(シミュレーション)が間違っていたということになります。

ところが、ここでは、実際の画像がシミュレーション(仮説)と同じだから正しいと云っています。これでは、実際の画像がシミュレーションと違っていれば、実際の画像が間違っているということになってしまいます。実際よりシミュレーション(仮説)の方が正しいということです。

なぜこんな考えが起こるのかというと、このブラックホールの画像は、実は実際の写真ではないからです。多くの可能性のある中から2年の歳月をかけて、みんなが信じているブラックホールの理論にぴったりの画像を作り上げただけなのです。創作なのです。やはり一種のシミュレーションだからなのです。

このブラックホールの画像は、観測した実際のデーターを、自分たちが考えているブラックホールの特徴に合うか合わないかでより分けているようです。自分たちの仮説に合うデーターだけを取り上げて後は捨てているのでしょう。

・ 不思議な一致

比較したブラックホールのシミュレーションには降着円盤もジェットも写っていません。でき上ったブラックホールの画像にも、降着円盤もジェットも写っていません。形も見事に瓜二つです。まるっきり双子です。

ここに、光子リングだけが写り、写っていいはずのジェットも降着円盤も写っていない本当の理由があるのではないでしょうか。

ブラックホールの特徴から作られているブラックホールのシミュレーションは、ドーナツ状の光子リングだけの画像です。このシミュレーションを作ったブラックホールの特徴を利用して電波望遠鏡で撮ったデーターを処理したから、降着円盤もジェットも出てこなかったのではないでしょうか。光子リングしか映らなかったのは、望遠鏡の配置の都合ではなく、使ったブラックホールの特徴のソフトが原因ではないのでしょうか。

・ ブラックホールの特徴 → ブラックホールのシュミレーション

・ 電波望遠鏡で撮ったデーター → ブラックホールの特徴で処理 → ブラックホールの画像

 似たものができるのは明らかです。

 

問題

{不完全な元データーから画像を復元する場合,最終的に得られる画像は1通りには決まらないのが普通だ。そこで、ブラックホールの像が持つはずの特徴を利用して,たくさんの可能性の中から正しい最終画像にたどり着かなければならない。}

この考えは科学の方法として正しいのでしょうか。

考察

テレビでブラックホールを画像化する人たちのドキュメントを見ましたが、最初の画像は、中心まで光っている円盤が写っていました。{ブラックホールの像が持つはずの特徴}ではこれは間違った画像です。ブラックホールは光ってはならないというのが{現在広く受け入れられているモデル}だからです。だから{正しい最終画像にたどり着か}せるために、これを{ブラックホールの像が持つはずの特徴}で人為的に修正したのでしょう。

しかし、中心まで光っているその画像が間違いであるという根拠は、自分たちのブラックホールの仮説に合わないというだけです。仮説が正しいという実証はないのですから、それに合わないからといって間違いと決めるのは科学ではありません。集めたデーターをそのまま画像にしたら中心まで光っていたのなら、それが正しい画像のはずです。それが自分たちの考えていたブラックホールの画像と違うからといって、自分たちの仮説どおりにデーターを操作したのでは、修正画像になってしまいます。

{不完全な元データーから画像を復元する場合,最終的に得られる画像は1通りには決まらない}のだから、この発表のように1通りの画像になるのはおかしいのです。それを無理やりひとつの画像にするために{そこで、ブラックホールの像が持つはずの特徴を利用して}本来なかった情報を入れて修正したのではないでしょうか。写っていないのに写っているとし、写っているのに{現在広く受け入れられているモデル}にあわないからと削除したのではないでしょうか。手を加えずに出た画像の中心部分まで光っている画像から、中心部分の光を消したのです。なぜ中心が光っている画像が間違いだと断定したのでしょう。自分たちの考えた仮説のブラックホールに合わないというだけなら、科学の方法ではありません。

{画像合成を四つのチームが担当し,互いに情報をシャットアウトした状況で独立に画像解析に取り組んだ}とあります。{解析に使う手法やソフトウェアも複数のものを用いたという}けれど、基本は{現在広く受け入れられているモデル}のブラックホールの仮説ではないでしょうか。そのブラックホールの仮説の手法やソフトで、情報を取捨選択したら、仮説通りのブラックホールになるのは必然です。{最終的に得られる画像は1通りには決まらない}はずなのに、仮説と10%の違いしかなかったとか、シュミレーションと瓜二つだということがそれをよく表しています。まず、仮説は正しい、ありきなのです。まず事実ありきではないのです。

科学なら、ブラックホールの持つ特徴を一切入れずに、画像処理技術だけで観測した光(電波)の情報をそのまま画像に表さなければならないはずです。昔のアナログ写真のように、一般のデジタルカメラのように事実にのっとって画像にしなければなりません。ところが実際は{そこでブラックホールの像が持つはずの特徴を利用してたくさんの可能性の中から正しい最終画像にたどり着かなければならない。}として、ブラックホールはこうあるべきだということで情報を選別し、仮説に沿った画像にしたのではないのでしょうか。これでは{ブラックホールの像が持つはずの特徴}に沿った像ができてしまうのは当たり前です。誰がやっても、ブラックホールのシミュレーションに似たものしかできてこないでしょう。シミュレーションが正しいブラックホールの像ということですから、そのシミュレーションにいかにたどり着くかが目標になるからです。4つのグループがやろうと、100のグループがやろうと同じ結果がでます。

これでは実際にブラックホールを写す必要はありません。最初から{ブラックホールの像が持つはずの特徴を利用して}ブラックホールの画像を作ればいいのです。そうすれば100%仮説に一致する画像が得られることでしょう。

仮説に合わせて作った画像は仮説の実証には使えません。なんのための観測だったのだろうと疑問に思います。

 

これは、例えば運転免許証の写真と、お見合い写真の違いです。運転免許証の写真は、写したままの情報だけで出来上がっています。しかし、お見合いの写真は目標(きれいな顔)に近づけるために意図的に修正します。

今は、アプリを使うと、どんな顔にでも修正できるようです。寂聴氏が助手の人にスマホで写真を撮ってもらい、その顔を、アプリを使って猫の顔と合成して、猫顔に変化させて笑い合っているのをテレビでやっていました。撮った写真に猫の顔の特徴を入れて修正したのです。

電波望遠鏡で写した情報に、ブラックホールの像が持つはずの特徴を入れると、それは、もうスマホのアプリを使った写真と変わらないのではないでしょうか。猫の特徴を利用した寂聴氏の顔です。必要なとんがり耳と、ひげを入れ、不必要な人間の耳を削除した写真です。ブラックホールは光らないから真ん中の光を消して、光子の飛び方は重力によって曲がるから、このようにドーナツ状に光らせて、と作っていったのではないでしょうか。そのソフトの中に、ジェットや、降着円盤の仮説が入っていなかったのでジェットや降着円盤は書き込めなかったのでしょう。

科学の画像は、運転免許証の写真でなくてはなりません。それがいかに気に入らない顔であっても、それに意図的にアランドロンの顔の特徴を加味しては本当の写真にはなりません。電波望遠鏡で手に入れた情報から何通りもの画像ができるのなら、その何通りもの画像が正解なはずです。1通りにするためにブラックホールの特徴のソフトで修正したら、それは、もう事実を表した画像ではありません。猫の顔をした寂聴氏の写真、あるいは、アランドロンの顔に似せた見合い写真にしかすぎません。この画像は、昔の火星の運河のスケッチと同じことです。火星には運河があるというから、みんな血眼になって運河を見つけたのです。運河があると信じているからないものが見えたのと同じです。

太陽を撮った情報を、{ブラックホールの像が持つはずの特徴を利用して}画像にしたらどのような画像になるでしょう。やはり光るドーナツになるのではないでしょうか。

 

問題

{そこでブラックホールの像が持つはずの特徴を利用してたくさんの可能性の中から正しい最終画像にたどり着かなければならない。}

考察

情報に仮説で修正を加えるのではなく、情報を情報どおりに像にするのが本来の画像です。それが複数の画像になるなら、それが情報通りの画像なのだからそれが今のところ手に入れることのできた情報からできる最上の画像です。1通りにできないはずなのに、1通りの画像しか出てこなかったのは実際の画像ではないということの証です。1通りにしたいなら、さらに観測を精密にして、実際のデーターだけでより正確な画像にしていくしかありません。やり方が間違っています。これでは仮説ありきになってしまっています。

 

 いや、ブラックホールの研究は進んでいて、仮説は絶対正しいのだからそれでいいというかもしれません。しかし、天動説はどうだったでしょう。科学者も普通の人もみんな信じていました。大陸移動説はどうだったでしょう。科学者はみんな大陸が動くはずがないと信じていました。

 昔と今は違う、今の科学は発達していて、間違った仮説は立てない。特にブラックホールは研究されていて、絶対間違いないというでしょう。しかし、仮説は実証しなければならないのは科学の方法論として守るべきことです。それを、実際の観測データーを仮説で処理しては、仮説通りの画像になってしまって、本ものではなくなってしまいます。だから、シミュレーションと同じだから正しい画像だ、となってしまうのです。科学の方法論ではやり方が間違いです。

 

結論 

決まらないはずなのに決まった

四つのチームが独立で画像処理を行ったら、いろいろな画像が出てきていいはずです。それが、{決まらない}はずなのにみんな同一の画像に決まったということは、みんなブラックホールの仮説に即した画像にしたということです。

これは電波望遠鏡で写した事実をそのまま画像にしたのではなく、理論にしたがって創り上げた合成画像であるといえます。実際そう言っています。

得られたデーターだけで、画像を作るべきだったと思います。不完全なデーターだから、完ぺきな画像が得られないからといって、自分たちの気にいったソフトで、写っていないものを足し、写っているものを理論に合わないからといって削除しては、何のために、たくさんの望遠鏡を動員し、たくさんの科学者たちが多くの労力をかけてブラックホールを写したのか。意味がなくなってしまいます。

{不完全な元データーから画像を復元する場合,最終的に得られる画像は1通りには決まらないのが普通}なのなら、複数の画像でいいのではないでしょうか。いや、複数の画像しかないはずです。今の科学力ではこれが精いっぱいだということですからそれを認めることが次への一歩になるのではないでしょうか。

この画像はブラックホールの実像であるとはいえません。仮説のシミュレーションでしかありません。