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ブラックホールの写真4


「村山斉の時空自在」について

(朝日新聞2019,5,15記事)


著者 田 敞


(以下{ }内は上記記事からの引用)


まえがき

 朝日新聞の「探究」という欄で、村山斉氏が{SF映画に登場する不気味な天体ブラックホールの写真が先月初めて公開された}と始め、ブラックホールについて解説しています。

 そのことについて考えてみます。

 

問題1

ブラックホールなぜ「みえた」}の答えとして{見えないはずのブラックホールが「見えた」のは周囲の光の影をとらえたからだ。}とあります。

考察1

{背後の光がまげられ、地球に届いた}、というのが村山氏の答えです。周りの円い光はブラックホールの背後の光が曲げられて届いたということです。しかし、先日の朝日新聞にはこれと違うことが載っていました。ブラックホールに{回転しながら吸い込まれる高温ガス}から{放たれた光がオレンジ色に見えた}とあります。{輪の直径は1千億キロで}とあります。ブラックホールの周囲にある高温ガスの円盤から出る光であるということです。

 見解が異なります。どちらが本当でしょう。考えてみます。

考察2

{ブラックホールの後ろでは、降り注ぐガスが電灯のように光っている。ブラックホールの近くに来た光は、重力で曲げられてから地球に届く。もっと近くに来た光は、ぐるぐる回りながらブラックホールに落ちていき出られない}と村山氏は述べています。

 図では{重力で曲げられてから地球に届く}光はブラックホールを通りすぎると、地球に向かって直進しています。だからブラックホールは光の無い穴になって見えないようです。

 しかし、{ブラックホールの後では、降り注ぐガスが電灯のように光っている}なら、ブラックホールの前でもガスが降り注ぎ、電灯のように光っているはずです。すると、ブラックホールはこの光によって隠されて暗い穴には見えなくなってしまうことになるはずです。

 また、横でも上でも下でも斜めでも振り注ぐガスがあるはずですから、そこから出た光も重力で曲げられたとしても地球に届くはずです。光はブラックホールの全面を覆っているはずです。ブラックホールの後ろからの光だけが見えるということはないのではないでしょうか。

 一方、ガス円盤はどうでしょう。恒星が生まれるとき、周りにガス円盤ができるのは、普通の現象のようです。その結果、惑星系は同一円盤上で公転することになります。太陽系もその一つです。これは、ガスの遠心力と恒星の万有引力の関係から起こる現象です。したがって、ブラックホールの周囲にガスの円盤ができても不思議な現象ではありません。そして、ブラックホールの強い引力のため高速で回転するのもあり得ることですから、この円盤が摩擦熱などで高温になり光るのも普通の現象です。

結論

 やはり、先日の朝日新聞の記事のように、ガス円盤が光っているという説明のほうが、説明としてはすっきりしそうです。

 

問題2

{重力が強いと時計が遅れる。真空中で直進すると思っていた光が重力で曲がる}と、相対性理論で起こる現象について述べています。

考察

 この理由が述べられていません。紙面の都合上仕方がないのでしょう。

 それで、代わりに述べます。これはとてもややこしいこと、われわれの周りでは起こっていない現象で、常識で判断できないことですのでうまく説明できるか怪しいですが。

もちろん、{重力が強いと時計が遅れる}のは、重力が強いと時計の針が重くなって動きが遅くなる、ということではありません。

アインシュタインによると、その理由は空間と光の関係です。

アインシュタインの相対性理論によると、物質は空間を曲げるということです。

(物質は空間を曲げる力を元々から持っているということです。アインシュタインはその仕組みは述べていません。これは、ニュートンが、物質は元々万有引力を持っていると述べたけれど、その仕組みを述べていないのと同じです。アインシュタインの重力とニュートンの万有引力の違いは、物質が元々持っているのは、空間を曲げる力なのか、物質同士引き付けあう力なのかの違いです。ついでに言えば、ニュートンの場合は、空間は曲がりません。時間も遅速は起こしません)

相対性理論によると、物質が空間を曲げる(重力が曲げるのではありません)と、光はその曲がりに沿って飛ぶということです。理由は、空間は、曲がればその曲がりが真っすぐだから、という説明です。光は直進するのが原則なのだから、直進すると、空間の曲がり(これが真っすぐ)に沿って飛ぶことになるからという説明です。それを離れたところから見ると、光が曲がっているように見えるということです。(相対論では見え方が重要な要素です。ときには実際の動きより、見え方の方を重視します。この場合もそうです。光は、曲がって見えても真っすぐである空間を真っすぐな曲がりに沿って直進しているというのが相対性理論のいう実際の現象です(エッシャーの、上に流れる川の絵とか、出っ張っているのかへこんでいるのかどちらにでも見える絵の錯視のような話です。曲がっているのに真っすぐ、真っすぐなのに曲がっているとても不思議な現象です)。実際は光は空間を直進している、を取るのではなく、遠くから見ると直進しているのに曲がって見えるという見え方の方を取ります。この場合、空間は曲がっているけど真っすぐであるから光は真っすぐ飛んでいるという方を取りません。曲がっているように見えても、実質は真っすぐなのだから、実質的には外側も内側もないはずです。(曲がっているけど真っすぐであるという不思議な現象を想定していることがそもそもの問題なのですが)

それはさておき、アインシュタインは、光が曲がると、外側の光が進んだ距離より、内側の光が進んだ距離が短くなる。ところが、光はつねに光速である。外側の光も、内側の光も同じ光速なのに、進んだ距離が異なる。同じ速度なのになぜ内側の光の進んだ距離が短くなったのか。これは内側の光の時間が外側の光の時間より遅くなったからだ、と主張します。

これが、物質が空間を曲げることによって、時間の進み方が遅くなるというアインシュタインの考えです。物質が空間を曲げ、空間の曲がりが光を曲げ、光が曲がると時間が遅くなるということです。

ここにはまだ重力は出てきません。

重力が出てくるのは違う仕組みからです。そこで次に、相対性理論の重力のうまれる仕組みについて説明します。

相対性理論では、空間が曲がるとそのへこみに物質は落ちていく、これが重力である、と説明しています。重力が空間を曲げるのではなく、空間の曲がりが重力を生むのであるというのが相対性理論です。

たとえ話では、ゴム膜の真ん中に鉄球を乗せるとへこみができる。その端にビー玉を乗せると、このへこみにビー玉は落ちていく。これが重力であるということだそうです。鉄球の代わりに太陽を置き、ビー玉の代わりに地球を置くと、太陽の周りを回る地球ができるというわけです。太陽系の惑星もすべて同じ原理で公転しているということです。(相対性理論では空間はゴム膜のように弾力と張力を持ったもののようです。太陽や地球を乗せても破れないのだからかなり強いもののようです)

このことから、物質(例えば太陽)によって曲げられた空間が光の進路を曲げることによって時間の遅れを作り、また、曲がった空間に落ち込むことで、重力を作っていることが分かります。時間の遅れと、重力は、物質がつくりだす空間の曲がりの持つ、異なる作用によって引き起こされている異なる現象であるということです。相対性理論では、重力で、時計が遅れたり、光が曲がったりするのではないことが分かります。それが、いつの間にか、{重力が強いと時計が遅れ}たり{光が重力で曲がる}ということになっています。時間の遅れや、重力が生まれる本来の仕組みが消えています。これを、何の理由も述べずに、何気ない顔をして、言葉の言い換えでやってのけています。この巧みな言葉の使い方がアインシュタインの相対性理論の大きな特徴です。

(注:村山氏も{重力が強いと時計が遅れる。真空中で直進すると思っていた光が重力で曲がる}や{ブラックホールの近くに来た光は、重力で曲げられてから地球に届く}と空間の曲がりで光が曲がるのではなく重力で曲がると述べています。物質によってできた空間の曲がりは直線であるので、それに沿って飛ぶ光はあくまでも真っすぐである、という考えは消えてしまっています。鉄棒の端に重いものを乗せると鉄棒が重さで曲がるように、重力という重い力で光は曲がっています。その方が、曲がっているのに真っすぐであるなどという分かりにくい考えに比べて理解しやすいからでしょうか。しかし、相対性理論は、空間の曲がりで光が曲がる仕組みは述べていますが、重力で光が曲がる仕組みは述べていません。なぜ言い変えているのでしょう。

相対性理論家はこのあたりを曖昧にします。アインシュタインは言葉を言い変えて、都合の良いように論を進める傾向があります。この記事の時計もそうです。本当の時間の遅れを時計の遅れに言い変えて、問題の複雑さを回避しています)

(注:屈折でも光は曲がります。このときは内側の光が物質の影響で速度が遅くなったからです。だから相対性理論と違って時間は関係していません)

 

一応相対性理論が正しいとして、このことから問題を考えます。

(1){重力が強いと時計が遅れる}

(相対性理論では、空間の曲がりが大きいと、重力も大きくなるし、時間の進み方も遅くなります。しかし、アインシュタインの説明では、上に書いたように、時計が遅れるのは重力が強いからではありません。空間が曲がったからです)

それはさておき、相対性理論では、地上の時計が遅れる原因は、空間が物質で曲がることから起こる時間の遅れから起こっている現象だということです。時間の遅れ、すなわち本当の時間の進み方が遅くなるから、時計の針の進み方も遅くなる、ということです。時計の針だけが重力で遅くなるのではありません。電子時計でも同じです。相対論効果で本当の時間が遅くなるから電子の振動が遅くなるということです。

したがって、時計の針や電子の振動の速度が遅くなるのと同じように、時間の遅くなっている空間のすべての物質の動きも遅くなっているはずです。

例えば、時速60キロで進む自動車があるとします。空間の曲がりの効果で時間の進みかたが2分遅くなるとします。時間が遅くなっていない所の自動車が1時間進む間に、時間の遅くなったところの自動車は58分しか時間が進んでいません。だから、自動車は、58分ぶん、58キロしか進んでいません。時計の針も58分しか進みませんし、電子も58分ぶんしか振動しません。単純に考えるとそういうことです。

遅れるのは{時計}ではなく本当の時間が遅れるのです。それを、本当の時間ではなく時計としたところがこの話のみそです。

時計は本当の時間ではありません。地球が1回自転する間に、短針が2回回転するようにした機械です。地球の回転を計っているので、本当の時間を計っているのではありません。もし、生命が火星に生まれ人間に進化したなら、火星の自転と公転に合わせた時計を作ったでしょう。その時の時計の針の進み方は地球の時計とはまるで違ったスピードでしょう。でも、火星と地球の本当の時間の進み方は同じです。太陽も地球も火星も、できてから46億年たち、今、同じ時刻にあります。相対性理論では、重力がそれぞれに異なるので、太陽系の惑星はみんな違う時間の進み方になっているはずですから、今、違う時刻になっているはずですけど、違う時刻の物質は見ることはできないのですから、見えるということは実際には同じ時刻にあるということです。

本当の時間についてはアインシュタインも何も言っていません。分からないからです。時間とは何かについて分かっている人はいまだにいないのが現実です。だから時計については云えても、本当の時間についてはなにも云えないのです。

(2)

 {カーナビや、携帯電話で使われているGPSは1日に10キロ以上も狂ってしまう。人工衛星の時計に比べて、地上は重力の効果で遅れるので、時計がずれていってしまうのだ。}

考察

 人工衛星より地上の時間の進み方が遅くなると、地上のすべての動きが、その分人工衛星より遅くなります。上の自動車で書いたように、その分進む距離が短くなります。

 ここでは、{距離が10キロ以上も狂ってしまう}仕組みは書いてありませんが、そのためでしょうか。これについては私にはわかりません。

 ここには書いてありませんが、GPSの人工衛星は距離が狂わないように相対性理論にのっとって時計を補正しているということです。

しかし、時計をいくら合わせても、本当の時間は動かせません。

 私の家のメインの時計は、もう40年を超えて動いています。だからか、半年に5分ほど遅れます。だからといって、私の家の本当の時間が半年に5分他より進み方が遅いわけではありません。当たり前です。だから、ときどき、ノブを回して時計の時間をテレビの時間に合わせます。だからといって、それで、本当の時間が5分進んだということにはならないのは知ってのとおりです。そんなの当たり前だ。馬鹿なことを言っていると思うでしょう。時計の針の動きが本当の時間と関係ないのは当たり前です。時計が遅くなったからといって、時間が遅くなることはありません。止まったからといって時間が止まるわけではありません。ノブをグルグル回すと、その速度に応じて、時間がどんどん進むということもありません。でも相対論者はいいます。{人工衛星の時計に比べて、地上は重力の効果で遅れるので、時計がずれていってしまう}から、GPSの衛星では相対論に合わせて時計の進み方を遅くしているとか。私の家のアナログ時計は動かしても何の影響も無いけれど、GPSの時計は動かすと、GPSの衛星の時間も共に動くようです。全世界のカーナビや、携帯の時間が動くようです。最新式の素晴らしい時計は、動かすと、本当の時間も修正できるようです。そのことはなにも言いません、時計に限定して、本当の時間には触れないことにしています。面倒になるからでしょうか。

 問題は時計ではなく本当の時間です。相対性理論によると、人工衛星の本当の時間はつねに地上の本当の時間より先へ先へと進んでいってしまいます(地上の時間がどんどん遅くなっているからです)。人工衛星は、地上より未来の時間に行ってしまうことになります。すると、未来にいる人工衛星からの電波を現在の地上のカーナビや携帯電話は受けているということになります。とても不思議な現象が起こります。これでは困るので、{人工衛星の時計に比べて、地上の時計は重力の効果で遅れるので、時計がずれていってしまうのだ。}と本当の時間ではなく時計だけの問題にしてしまっています。

 時計の針をいくらいじっても本当の時間がそれで動くことはありません。GPSの人工衛星に積んである精巧な時計をいくらいじっても、相対論効果で人工衛星が未来に進んでいってしまうことを止めることはできません。それを止めるには、人工衛星のある場所の空間の曲がりと速度を地表と同じにするしかないのです。相対性理論では、時間が遅くなる原因は速度と空間の曲がりだけです。相対性理論には、時計の速度を変えると本当の時間の速度が変わるという理論はありません。ところが、時計を合わせると、時間がすべて合うような錯覚に陥いらせています。それは本当の時間ではなく時計が遅れると言い変えて、時計の問題だけにすり替えているからです。

 GPS衛星の時計を合わせると、GPS衛星の時間が地球に合うと考える人は、私の家の時計を合わせると、時計が遅れているために私の家の遅れていた時間が地球の時間に合うと考えることを笑うことはできません。

 {カーナビや、携帯電話で使われているGPSは1日に10キロ以上も狂ってしまう}とあるから、本当の時間の遅れによって人工衛星の距離も毎日10キロずつ加算されていくことになるはずです。しかし、これは、計算してそのずれを修正して送れば地図上の狂いは修正されます。現実の現象ではなく、映像の問題だからです。動画を作るようなものです。しかし、上に書いた本当の時間の遅れは修正ができません。

 これでは困るので、本当の時間には触れずに時計の時間をうまく使っているのが相対性理論です。カーナビの問題も、時計が遅れることにして、時計を合わせたから問題は解決した、ということにします。本当の時間を持ちだすと、上にかいたような未来からの電波を現在のカーナビが受けてしまうからです。望遠鏡で、未来にいるGPS衛星を見ることになるからです。時計だけなら、私の家の時計と同じように、時計を合わせれば済むからです。

結論

相対論者は、相対論の証拠にいつもカーナビを持ちだします。相対論が正しいという前提で相対論に合わせて計算して答えを出しているのだから、相対論に合うに決まっています。相対論効果による時間の遅れは、時計を動かすことでは解決しません。相対論には、速度と、空間の曲がりで時間が速くなったり遅くなったりするということはあっても、時計の針を動かすと時間が動くという理屈はありません。それをやっていて、相対論の証明だといっています。

 GPS衛星も、カーナビも、携帯電話も、地球も、我々も、みな「今」という同一時刻に存在しています。未来の時刻に存在しているものは何一つありません。時間の遅速がないということの実際の証拠です。相対性理論家は、時間の遅速で、過去の時刻に存在することになったものや、未来の時刻に存在することになったものを実際に示す必要があります。しかし、GPS衛星が現在の時刻に存在することはそれを否定しています。